貧乏飯が流行?貧困の中で借金を完済する方法
貧困問題や格差社会が話題になって久しくなりつつあります。
これらが影響してか、近年密かに「貧乏飯」なるものが流行しているそうです。例えば、クックパッドに「貧乏飯」と入力して検索すると、100を超えるレシピがヒットします。
また、検索サイトで「貧乏飯」と入力すると、「簡単貧乏飯」や「貧乏飯ダイエット」などとともに、「貧乏飯で借金返済」などのブログも見つかります。
貧乏飯は低収入でも前向きに生活しようという知恵から生まれた言葉なのかも知れず、貧乏飯を紹介するブログやページなどからあまり悲壮感は漂ってきません。
しかし、貧乏飯で必死に節約しても、借金を返済できなかったらどうなるのでしょう?
そういった場合には具体的にどうすればいいのか、ここでは借金解決のために出来得る手段を解説します。
1.貧乏飯が出現した社会的背景
節約レシピは元々存在したのに、それよりさらにお金をかけない貧乏飯がなぜポピュラーになってきたのでしょう?
それには、以下のような原因があると考えられます。
(1) 雇用の不安定化
労働者全体に対する非正規雇用者の割合は年々増加し、近年では全労働者の4割近くが非正規雇用だとされています。
非正規雇用の大半はバイトやアルバイトですが、派遣社員や契約社員などの人も数多く存在します。
こういった人たちは雇用が不安定なため、いつ仕事がなくなるかわかりませんし、収入も多くないので節約を強いられます。
そのため食費を削るために、貧乏飯の需要が高まったのだと考えられます。
(2) 実質賃金の伸び悩み
実質賃金とは、受け取った賃金で現実的にどれだけの品物を購入できるかを表す値です。
例えばそれまで30万円の賃金をもらい、仮にその全てを生活に費やしている人がいるとします。その人が昇給によって31万円の賃金を得た場合、毎月1万円の貯金ができることになります。
しかし同時に物価が上がるなどして、生活費に32万円が必要な状況になったとします。こうなると「賃金が上がったのに毎月1万円の赤字が出る」という状態になります。
賃金の額は上がったけれど、実質的に賃金が下がったような形になるのです。
こういった状態を「実質賃金の低下」と言います。
現在の日本は物価の上昇や増税などで、たとえ収入が増えたとしても生活が楽になるとは限らない、非常に難しい状態になっています。
このため、少しでも支出を減らそうとして貧乏飯に頼る人が多くなったと考えられます。
(3) 労働分配率の低下
労働分配率とは「人件費÷付加価値額」で求められる値です。付加価値額とは、品物に企業が加えた価値のことです。
例えば、企業が500円の物を仕入れて1000円で売った場合、企業がその品物に500円の付加価値を付けたと言えます。付加価値額が同じであれば、人件費が下がると労働分配率が低下します。
労働分配率は世界的に低下しています。人件費の安い国に仕事を依頼したり、人間の仕事を機械やAIに任せたりしていることがその原因です。
人件費削減の悪影響を受けるのは労働者であり、この悪状況を節約で乗り切るために、貧乏飯が広まった可能性は高いと言えます。
(4) 格差の固定化
上記で述べたことなどから、一億総中流とも言われた時代はとっくに過ぎ去り、貧困層の拡大が続いています。
日本は税制や社会保障の仕組みから、富の再分配機能が欧米先進国に比べて低いと言われています。
このため富裕層と貧困層の格差は固定化されやすく、貧しい層はいつまでも貧しいままとなります。
この貧しさを耐え忍ぶために、食費の削減に特化した貧乏飯が流行したと思われます。
(5) 借金問題
あまりイメージが無いかも知れませんが、日本人の多くは借金をしています。住宅ローンを利用している人は多いですし、消費者金融からお金を借りている人も多いです。
調査によって異なりますが、クレジットカードやショッピング枠の利用も含めると、日本人の3人に1人程度は何らかの借金をしているという説があるほどです。
問題なく返済できる借金であれば問題ないのですが、借金を返すために借金を重ねている多重債務者もいます。
これらの借金を返済するために食費を節約しようと、貧乏飯が広まった可能性があります。
2.借金生活から脱出するための方法
ここからは借金のせいで貧乏飯を強いられている人のために、借金生活から抜け出すための方法を考えていきます。
(1) 支出を抑えて収入の範囲内での生活
やはり王道は、支出を抑える方法です。貧乏飯も支出を抑える手段なのですが、実は食費の節約はなかなか続けづらいという欠点があります。
生活費の削減は固定費から見直すのが効果的です。安い保険に乗り換えたり、スマホを格安スマホに変えたりすれば、あまり無理なく節約ができます。
また、電気の契約を見直してアンペア数を下げると基本料金が下がるのでお得です。
その他、なんらかの定額サービスを解約するだけでも固定費が抑えられます。食費の節約だけでなく固定費を節約することで、生活レベルの低下を抑えて支出を減らすことができます。
(2) 収入を増やす
当たり前ですが、収入を増やせばその生活が楽になります。
賃金に不満がある場合はより賃金の高い職場を探す、資格を取得して資格手当をもらう、取得した資格でさらに賃金の高いところに転職するなどの方法があります。副業OKの会社であれば、副業をするのも一案です。近年はネット上でできる副業も増えています。
代表的な例として、デザイン系の仕事をしている人が個人でデザイン業務を請け負って副収入を得るものがあります。
この他、プログラム業務やランディング業務の請負案件などが多数ネット上に存在し、一定のスキルがある人であれば在宅で好きな時間帯に働いて収入を得ることができます。
特別なスキルがない人であっても、諦める必要はありません。例えば家事代行と言う働き方があります。
家事代行サービスサイトに登録しておけば、場所や時間が合う案件を選んで掃除や買い物の代行業務を行い、副収入を得ることが可能です。
この他、交通量調査などの単発バイトもありますし、内職などの方法もあります。副収入を得る方法は意外と多いので、自分にできるものを探してみてください。
3.それでも借金の返済ができない場合
働いても節約しても借金で苦しんでいるような状態であれば、借金そのものをどうにかしなければなりません。これには以下のような方法があります。
(1) 任意整理
債権者と個別に交渉し、将来の利息カットや借金の減額を求めるのが任意整理です。
自分で個別に交渉するのはハードルが高いですが、弁護士に相談すれば全て行ってくれます。減額された借金は3~5年程度かけて分割払いすることになります。月々の負担が減るので生活が楽になります。
(2) 個人再生
裁判所に申し出て借金を5分の1程度に減らし、それを3~5年程度かけて分割払いする方法です。
任意整理よりも借金圧縮効果が高いのですが、手続きが煩雑などのデメリットがあります。しかし手続きに関しては弁護士に依頼すれば問題なく行ってくれるので、あまり心配しなくても大丈夫です。
(3) 自己破産
こちらも裁判所を通して行う手続きで、借金をゼロにすることができます。ただし、借金の理由などによっては借金がゼロにならないこともあります。
また、一定の財産がある場合は処分して換金し、債権者に弁済しなければなりません。
デメリットはありますが、人によってはデメリットの影響をほとんど受けない場合もあり、毎年数万件の自己破産が行われています。
(4) 過払い金請求
お金を借りたら利息を上乗せして返済することになりますが、このときの金利には法律で上限が定められています。
過払い金とは、この上限を超えて支払ってしまったお金のことです。払いすぎてしまったお金なので返還してもらうことができますが、いくら返してもらえるかの計算は一般人にとって非常に難しいものです。
過払い金の返還請求は弁護士に相談した方が確実です。過払い金の計算をしてくれますし、返還請求の手続きもしてもらえます。
もし過払い金があれば借金と相殺できますし、相殺して余った分は現金として手元に残せます。過払い金には時効があるので、できるだけ早く弁護士に相談してください。
(5) 弁護士費用は心配不要
借金を整理する場合は弁護士に依頼する方が安心です。一般的に高額なイメージのある弁護士費用ですが、実際にはあまり心配しなくても大丈夫です。
相談料を無料にしている弁護士事務所が多いですし、分割払いや後払いに対応している事務所もたくさんあります。
法テラスを利用してコストを避ける方法もあるので、早めに弁護士に相談して借金問題を解決してください。(※ 現在、当事務所では法テラスの取り扱いはしておりません。)
4.まとめ
借金で生活が苦しい場合、貧乏飯だけで解決するのは限界があります。食費の節約で栄養不足になったり、働きすぎで身体を壊したりしては元も子もありません。借金問題で苦しんでいる場合は、ぜひ泉総合法律事務所までご連絡ください。
ご相談いただいたケースに応じて適切な方法をご提案し、生活再建のお手伝いをさせていただきます。借金は放置すればするほど問題が深刻になるので、可能な限り早くご相談ください。