借金返済 [公開日]2020年4月21日

新型コロナウイルスの影響で収入激減、借金が返済できない

新型コロナウイルスは現在も世界的に猛威を振るっており、未だ収束の気配を見せていません。
外出自粛などの影響で収入が激減してしまい、借金の支払いに窮してしまっている方も多くいらっしゃるでしょう。

突如として借金滞納の状態に陥ってしまったら戸惑ってしまうでしょうが、適切に対処しなければ問題が大きくなってしまいます。

この記事では、滞納状態に陥ってしまった借金をどうにかする方法について、法律の専門的な視点から詳しく解説します。

1.借金滞納のリスクとは

借金の滞納は様々なデメリットを引き起こします。
まずは、借金を滞納するとどのような事態になってしまうのかについて解説します。

(1) 度重なる督促により精神的に疲弊する

借金を滞納している場合、債権者から電話がかかってきたり、督促の郵便が届いたりということが何度も行われます。

債務者としては、このような借金の督促に対応するだけでも、精神的に大きなプレッシャーがかかって疲弊してしまうでしょう。

(2) 遅延損害金が膨らんでしまう

借金の滞納は「債務不履行」と呼ばれる状態です。
債務不履行の状態では、履行期限を過ぎてから支払いが行われるまでの期間、毎日「遅延損害金」が発生します。こんな事態で苦しいのに、さらに遅延損害金まで取られるのです。

コロナによる世界的な経済的ダメージは、まさに不可抗力による事情といえるでしょう。しかし、借金の返済の債務者はこの不可抗力という事情をもって法的反論をすることできません(民法419条3項)。

契約によっては、遅延損害金は年率で14%程度などの重い金額が課されていることもあります。

そのため、遅延損害金が膨らまないうちに、早急に借金問題を解決する必要があります。

(3) 最終的には裁判・強制執行(差し押さえ)に発展する

債権者からの督促に債務者が応じず、いつまでも借金が返済されないと、債権者は法的手段に訴えることになります。

具体的には、まず債権者が裁判所に対して訴訟を提起します。

訴訟が提起されると、債務者に対して訴状が送達され、裁判に出席するよう出頭要請がなされます。

裁判の中で債権者の主張が認められると、債務者に対して「借金を返すように」と命ずる内容の判決が出されます。確定してしまった判決には、蒸し返し防止の効力(既判力)がありますので、たとえば本当は訴訟提起時に既に時効だったとしても、もう主張できなくなってしまいます。

判決が確定してもなお債務者が借金を返済しない場合には、債権者は裁判所に対して強制執行を申し立てます。

強制執行がなされてしまうと、債務者の預金や給与債権、その他の財産がいきなり差し押さえられてしまい、債務者はさらに生活に困窮してしまう可能性があります。

この他にも、支払督促により強制執行へ発展することもあります。

[参考記事]

簡易裁判所からの支払督促・訴状を受取拒否したらどうなる?

このように、強制執行の段階まで至ってしまうと、取れる手段が極めて限られてしまいますし、何より債務者にとっては大きな不利益が現実に発生してしまいます。

そうなる前に、借金問題を早めに解決することがきわめて重要です。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

2.借金問題は債務整理で解決可能

借金が返済できない場合には、問題が深刻化する前に債務整理を行うことがおすすめです。

債務整理とは、債権者との話し合い・交渉や、裁判所を通じた法的な手続きによって、借金返済のスケジュールの見直しや、借金の減額・免除を行うことをいいます。

債務整理には、大きく分けて①任意整理、②個人再生、③自己破産の3種類があります。
それぞれの概要について解説します。

(1) 任意整理

任意整理とは、債権者と交渉することで、借金の返済期限を遅らせてもらったり、一部借金をカットしてもらったりすることをいいます。

任意整理は裁判所を通さない手続きなので、書類作成などの手間が少ないことや、債務整理案の内容を自由に決められることなどに特長があります。

その反面、任意整理は債権者ごとの個別の交渉によるため、複数の債権者がいる場合にはそれぞれ交渉を行う必要があります。

また、過払い金があるケースを除けば、借金の元本を大幅にカットしてくれるケースは少ないのが実情です。

任意整理とは?

返済スケジュールの見直し、利息カットで返済できそうなら任意整理

債務整理手続きの中では、裁判所を通さない任意整理が最も簡単な手続きです。
また、任意整理であれば、債権者との個別の交渉により内々に借金問題を処理できるため、第三者に債務整理の事実を知られることが基本的にはありません。

したがって、任意整理で解決できるのであれば、任意整理で済ませるのが無難と言えます。

多くの場合、任意整理でできることは、①返済スケジュールの見直しと、②利息のカットのみです。
(債権者が合意してくれさえすれば、これに加えて元本のカットもできるのですが、あまり認められないのが実情です。)

よって、今現在は手元に資金がないので借金を返済できないけれども、将来入ってくるお金から少しずつ返済していくことができる見込みがあるという場合には、任意整理を利用するのが良いでしょう。

(2) 個人再生

個人再生とは、裁判所における個人再生手続を通じて、借金を減額した上で、新たな返済スケジュールを立てることをいいます。

個人再生手続では、借金の金額を大幅にカットできるメリットがあります。
また、担保が付いていない財産については処分する必要がないという特長もあります。

ただし、個人再生手続を利用するには安定した継続収入があることが条件となります。

また、原則として(小規模個人再生の場合)、債権者の頭数および債権額に応じて過半数の同意が必要です。

個人再生とは?

住宅などの財産を残しつつ借金の元本をカットしたいなら個人再生

借金の利息だけでなく、元本もカットしたい場合には、基本的には法的整理手続による必要があります。

法的整理手続である個人再生と破産の大きな違いの一つは、財産の処分が必要かどうかという点にあります。

個人再生であれば、担保が付いていない財産であれば、処分をする必要がありません。
また、住宅に限って言えば、担保が付いていたとしても、「住宅資金特別条項」を再生計画の中で定めることにより、住宅を手放さずに済む可能性があります。

したがって、住宅などの財産を残しつつ借金の元本をカットしたいという場合には、個人再生手続を利用するのが良いでしょう。

(3) 自己破産

自己破産とは、裁判所における破産手続を通じて、基本的には借金を全額免除することにより、債務者を借金の負担から解放することをいいます。

自己破産では借金の全額免除が認められるので、最も強力な債務整理手続と言えます。

ただし、破産手続においては、債務者の財産は生活に必要な最低限のものを除いてすべて処分されてしまいます。

自己破産とは?

失業などで返済の見通しが立たない場合には自己破産

任意整理や個人再生を利用するためには、安定した継続収入が必要です。
また、負債総額のうち過半額を有する債権者達が同意してくれなければ、個人再生手続による債務整理は実現しません。

よって、失業などで返済の見通しが立たない場合には任意整理・個人再生を利用することは不可能ということになります。

その場合は、最後の手段として破産手続を利用するほかありません。

破産手続により、債務と財産をすべて清算して、新たなスタートを切りましょう。

3.債務整理は弁護士に依頼するのがおすすめ

債務整理を行う場合、債権者との交渉や裁判所への書類の提出などを行う必要があります。

しかし、こうした作業は、法律の専門知識と経験がなければ非常に大変です。
準備が十分にできないばかりに、債務者にとって不利な解決になってしまうことは避けなければなりません。

そこで、債務整理を行う場合には弁護士に相談・依頼することがおすすめです。

債務整理を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。

(1) 交渉や書類の作成・裁判所における手続きを代行

債権者との交渉や裁判手続きは、債務者にとって大きな負担です。

弁護士は、法律の専門家としての経験と知識を生かして、債務者の代理人として、債権者との交渉や書類の作成・裁判所における手続きを代行してくれます。

これにより、債務者の負担が軽減されるだけでなく、準備に漏れがなくなるため、債務者にとって有利な解決に繋がります。

(2) 最適な債務整理の方法を検討

上記で解説したように、各債務整理の方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
そのため、債務者の状況や希望に応じて、手続きを使い分けることが大切です。

弁護士は、債務整理の方法に精通しているため、債務者にとって最適な債務整理の方法が何かを検討してくれます。

正しい債務整理方法の選択ができれば、やはり債務者にとって有利な解決に繋がります。

(3) 受任通知を送付することにより督促が止まる

弁護士が債務者の代理人に就任した場合、債権者に対して「受任通知」を発送することになります。

受任通知には、以降借金に関する連絡は弁護士宛にするようにという内容が記載されますので、受任通知の送付以降は借金の督促が止まることになります。

債務者にとっては、精神的な負担軽減に繋がるため、大きなメリットでしょう。

督促がとまる「受任通知」とは

(4) 弁護士費用の分割払いが認められる場合も

弁護士費用を準備する余裕がないという場合には、弁護士が費用の分割払いに応じてくれる場合も多いです。
また、法テラスの民事法律扶助制度を利用して、弁護士費用を立替払いしてもらうこともできます。

そのため、依頼費用が準備できるかどうか不安があったとしても、まずは弁護士や法テラスに費用面の相談をした上で、依頼を受けてもらえないか交渉してみましょう。

4.新型コロナウイルスによる借金返済にお困りなら弁護士へ

借金問題の解決は、早ければ早いほどプラスに働きます。負債額が積みあがる前であれば、任意整理で柔軟に解決もできます。訴訟提起前であれば、提起後よりも有利な条件で和解することもできるでしょう。

弁護士は、債務整理を中心とした借金問題の解決について豊富な知識と経験、ノウハウを有しています。
弁護士に相談すれば、依頼者にとって最適な解決方法を一緒に考えてくれるでしょう。

新型コロナウイルスにより借金問題に悩まされている方も、ぜひ早めに弁護士に相談して、一刻も早く借金問題を解決することをお勧めします。

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なお、当事務所では現在、新型コロナウイルス対策として、「電話相談」を受けて付けております。
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