嘘をついて借りた借金(消費者金融からの借入)は債務整理できる?
「どうしてもお金が必要だけど、手元にお金がない」
そういったとき、消費者金融からお金を借りることがあるかもしれません。
消費者金融からキャッシングを受けるには、申し込みの際に、「審査」があります。
具体的には、申込者の氏名、住所、年齢、年収、勤務先、勤続年数、借入状況などを業者に申告し、申込者に貸したお金をきちんと返済できるかどうかについて、業者が判断することになります。
この審査で、申込者が借りたお金を返済できるだけの資力がないと判断された場合には、審査に通らず、お金を借りることができなくなってしまいます。
そこで、自分の年収を高く申告するなど、申込時に嘘をついてしまうケースがあるようです。
このような虚偽の申告をして借りた借金については、後にお金を返すことができなくなったとき、債務整理をする際に問題になることがあります。
1.嘘をついてお金を借りることのリスク
早速ですが、審査に通るために嘘の年収や勤務先などを記載した場合はどうなるのでしょうか。
申込書に嘘の年収などを記載することそれ自体や、その後審査に通って借入を行うことにより、場合によっては、詐欺罪、有印私文書偽造・同行使罪といった罪に問われる可能性があります。
(1) 詐欺罪
詐欺罪とは、「人を欺いて錯誤に陥らせ、錯誤に基づき財産の交付を受けたり、支払いを免れたりする」罪で、10年以下の懲役刑に科せられます(刑法246条)。
今回のケースであれば、収入がほとんどなく、初めから借りたお金を返すつもりがないのにも関わらず、申込時に虚偽の事実を申告するなどしてお金を借りた場合には、業者に対する詐欺罪に問われる可能性がありますのでご注意ください。
もっとも、借入の当初は返済する意思があり、実際に何度か返済がなされているなどの事情があれば、この罪に問われる可能性は低いです。
(2) 有印私文書偽造・同行使罪
私文書偽造罪とは、「行使の目的で、他人の署名などを使用して、契約書や申込書などの文書を偽造した場合」に成立し、偽造した文書を使用した場合には、同行使罪が成立することになります(刑法159条、161条)。
この場合、3月以上5年以下の懲役刑が科せられることになります。
今回のケースであれば、年収を実際よりも高く記載する程度であれば、罪に問われる可能性は低いです。しかし、氏名や住所など、申込者と全く異なる人格を用いて申し込みを行った際には、有印私文書偽造・同行使罪に問われる可能性があります。
2.虚偽の内容で借りたお金でも債務整理は可能
審査に落とされたくないから、実際より高い年収を記載するなど虚偽の内容で申し込みをしお金を借りたが、いざ返済しようと思ったら返済できなくなってしまった……。
そんなときに、債務整理を行うことはできるのでしょうか。
結論を言うと、キャッシングを受けた際に嘘の年収などを記載したとしても、その後返済できなくなった際に債務整理手続をとることは可能ですので、安心して弁護士にご相談ください。
ただし、任意整理ならば嘘をつかれた業者が虚偽記載を理由に和解に応じることを渋る可能性があります。
また、自分の収入から見て不相応な金額の借入をすることで借金が膨らみ、自己破産を選択せざるを得るなど、事実上の不利益が生じるおそれは考えられます。
いずれにせよ、債務整理は自力で行うことは難しい手続きですので、独断する前に弁護士へご相談いただくことをお勧めします。
3.借金でお困りの方へ、債務整理は弁護士へ
そもそも、氏名・住所・勤務先などは、仮に嘘の記載をしたとしても、本人確認資料の提出や、勤務先への在籍確認の電話などが行われることで、虚偽記載が判明する可能性が高いといえます。
また、年収を本来よりも高く記載した場合も、源泉徴収票の提出などで虚偽記載が判明する可能性があります。
よって、借入の際に年収などで嘘をつくことは考えないようにしましょう。
虚偽の申告をせずとも、通常、消費者金融からの借入は、銀行などの金融機関に比べて審査が緩やかです。また、スピーディーにキャッシングを受けることができることから、お金がすぐに必要な方にとってはありがたい存在かもしれません。
しかし、その分金利が高いのが一般的であり、十分な返済計画を立てずにまとまった額を借り入れた結果、返済が困難になり借金生活に陥ってしまうことは少なくありません。
そうならないために、借入の際には収支のバランスを考え、計画的に借入を行うようにしましょう。無計画な借入を行うことは、かえって自分の首を絞めることにもつながります。
もし、借金でお困りの方は、ご自身で抱え込まずに弁護士にご相談することをおすすめします。
泉総合法律事務所には、借金問題の解決実績が豊富にあり、借金問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。
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