失業して借金が払えない時の対策方法
最近では、新型コロナウイルスの影響もあって減給・失業してしまったという方も多いです。
借金が嵩み生活もままならないという場合、借金の返済が滞ると債権者からの取り立てが激しくなり、精神的にも追い込まれ、どう対応すれば良いか分からなくなってしまいます。
そんなときは、公的支援制度や債務整理を活用しましょう。
今回は、「失業して借金が支払えない場合の対処法」について解説します。
1.失業中に利用できる各種の公的支援制度
突然失業した場合、生活費のやりくりすら難しくなる方も多いでしょう。
そんなときは、まず公的支援制度の活用をお考えください。
失業中に利用できる生活福祉資金貸付制度とその他の制度についてご紹介いたします。
(1) 生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度では、失業などで生活が困窮した国民に対し、生活費や一時的に必要な資金の貸付を行なっています。
貸付であるため、将来的には返済しなければいけませんが、返済までの据置期間があったり、利息は無利子または低利率だったりするなど銀行や消費者金融よりも有利な貸付条件となっています
貸付金には、主に以下4つの種類があります。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
総合支援資金は、生活費の必要経費にかかるお金を支援しています。生活必需品を購入するための生活支援費だけではなく、住宅入居費や債務整理をするためにかかる費用、技能習得にかかる費用である一時生活再建費用なども含まれます。
生活支援費用は3ヶ月〜12ヶ月まで貸付可能であり、月20万円まで貸付が行われます。その他、住宅入居費用は40万円まで、一時生活再建費用は60万円までです。
福祉資金は、福祉費と緊急小口貸付資金制度があります。
福祉費は、生業を営むために必要な費用や病気療養のために必要な費用、住宅修繕などのために必要な費用を貸し付けています。
緊急小口貸付制度は、一時的に困窮して生活費が必要になった方に対し少額を貸し付ける制度です。
教育支援資金には、教育支援費と就学支援費用があります。
これらは低所得者層の子どもの教育費に対する貸付金です。高校や大学に上がる際に一時的にお金が必要になった場合に役立ちます。
不動産担保型生活資金には、不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金の2つがあります。
両者ともに高齢者世帯向けの支援ですが、前者は低所得者の高齢者世帯に対して生活資金を貸し付けるものです。後者は、要保護の高齢者世帯向けです。
これらの支援制度の対象となるのは、他から必要な資金を借りることが難しい低所得者層や障害者手帳を持つ世帯、65歳以上の高齢者がいる世帯となります。
(2) その他の公的支援制度
生活福祉資金貸付制度は失業者向けの公的支援制度ですが、他にも支援できる制度はいくつかあります。
- 生活保護
- 失業保険
- 求職者支援制度
- 傷病手当金
生活保護・失業保険は聞き覚えがある方も多いでしょう。
求職者支援制度とは、雇用保険の受給資格がなかった人で失職した人(アルバイトや非正規雇用など)向けの支援制度です。給付金の支給だけではなく、就労技能を身につけられる無料の職業訓練を受けられます。
雇用保険を受け取れない方は、求職者支援制度を利用してください。
傷病手当金は、業務外の病気やケガによって会社を休職している場合で給料が減額・支給されていない場合に手当金を受給できる制度です。
失業している場合には利用できませんが、怪我や病気によって給料がもらえず実質的に失業状態だという方は申請できますので、確認してみましょう。
2.失業者が可能な債務整理
失業の影響で借金の返済が難しいという場合、債務整理を検討する方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際に無職の状態で債務整理はできるのでしょうか?
(1) 任意整理・個人再生
任意整理は債権者との個別の交渉で利息の免除や返済計画のリスケジュールを図るものであり、個人再生は再生計画を裁判所に認めてもらうことにより最大1/10まで減額が可能となる手続きです。
これらの手続きは、「債務整理の手続き後も引き続き返済が必要」という点が共通しています。
失業中の場合は「継続した収入がない」ということになりますので、任意整理も個人再生も手続き自体が難しいでしょう。
特に個人再生の場合は、継続的に安定した収入があることが手続きの条件となりますので、まずは新しい仕事を見つけない限りは難しいということになります。
任意整理でも、交渉で必ず指摘されるのは「安定した継続収入があるかどうか」です。
しかし、失業保険を受給していれば任意整理が可能な場合もあります。生活保護とは異なり失業保険から借金の返済をすることは禁止されていませんので、一定の金額が受給されるのであれば任意整理が可能なケースもあるでしょう。
もっとも、失業保険にも限度があるので、積極的に就職活動をしていることや家族からの支援が得られること、借金総額が少ないことが条件となることもあります。
(2) 自己破産
失業中であっても、自己破産であれば手続き自体は可能です。
他の債務整理手続きと違って、自己破産は現在抱えている債務全てが免除される手続きであるためです。
裁判所にて免責が認められれば、その後返済する必要はなくなるため、継続した収入は条件にはなっていません。
しかし、自己破産する場合でも一定の費用(裁判所費用・弁護士費用)は必要です。安く済む同時廃止事件であったとしても、総額15万円〜30万円程度はかかるでしょう。
まとまったお金がすぐに用意できないという場合は手続き自体が危うくなってしまいます。
・法テラスの費用建て替え制度を利用する
・分割支払いが可能な法律事務所に依頼する
法テラスでは、低所得者層や生活困窮者層向けに裁判費用や弁護士費用の立替制度を実施しています。現在収入がない場合はこれを利用できる可能性が高いので、一度相談してみましょう。また法律事務所では費用の分割支払いが可能なケースもあります。ホームページなどを調べ、分割支払い可能と書かれている法律事務所に相談してみましょう。事情を話せば、法律事務所にて生活保護に関する相談にも乗ってくれることがあります。
参考:自己破産の弁護士費用|目安はいくら?安く抑える方法は?
参考:生活保護と借金・自己破産の関係〜法テラスの利用について
3.失業者も自己破産可能!借金でお困りなら弁護士へ
以上のように、失業者であっても自己破産は可能です。
しかし、生活の困窮度合いによっては、借金の整理だけでなく公的支援も同時に受けていく必要があります。
ご自身でどう対応して良いかわからない場合には、専門家である弁護士にご相談ください。