過払い金とグレーゾーン金利
過払い金とは、利息制限法の上限を超えて、貸金業者に対して支払い過ぎてしまった利息のことです。
1. なぜ過払い金は発生するのか?
貸金業者がお金を貸す場合、守らなければいけない法律がありました。
- 出資法(上限金利29.2%)
- 利息制限法(上限金利15~20%)
この2つの法律の上限金利が異なっていたことが、過払い金が発生する原因です。
2. 利息制限法と出資法
利息制限法とは
元本が10万円未満、10万円以上100万円未満、100万円以上の3つに分けて利息を制限しています。
出資法とは
元本の金額に関わらず、上限金利29.2%です(平成22年6月17日まで)。現在は出資法が改正され、利息制限法と同水準になりました。
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 29.2% |
10万円以上100万円未満 | 29.2% |
100万円以上 | 29.2% |
元金 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
出資法で借りたときの取引履歴を取り寄せ、利息制限法で引き直し計算して過払い金が発生するか調べます。過払い金が発生していれば、貸金業者に請求します。これが「過払い金返還請求」です。
3. グレーゾーン金利とは?
利息制限法で定められた上限金利と、出資法で定められた上限金利の間の金利のことを、グレーゾーン金利といいます。
利息制限法および出資法における、国が定めた罰則を伴う上限年利をまとめると、下の図のようになります。
多くの貸金業者は上限金利の高い出資法でお金を貸し、利息を取っていました。
このグレーゾーン金利(取られすぎていた金利)で発生した利息を返してもらうのが「過払い金返還請求」です。
4. 法改正後
平成22年6月18日の法改正前までは、多くの貸金業者が2つの法律の上限金利の間(グレーゾーン金利)で利息を取っていましたが、出資法の上限金利が利息制限法の上限金利まで引き下がり、グレーゾーン金利で支払いすぎた利息は過払い金として請求することが認められました。
現在は法改正にともない、貸金業者は利息制限法以内での貸付金利になっていますので、新たに過払い金が発生することはありません。
したがって、この上限金利の高い出資法での利率でキャッシングされていた方は、過払い金が発生することになりますし、一方、法改正後の上限金利の低い利息制限法の利率でキャッシングしていた方には過払い金は発生しません。
取引や返済の状況にもよりますが、「過払い金が発生するのかどうか?」は平成22年6月17日以前の借り入れであることが一つの目安になります。