個人再生ができる条件
1.個人再生の条件
個人再生が認められる条件としては、主に以下が挙げられます。
- 負債総額が5,000万円より少ない
- 支払不能状態である
- 再生計画の遂行可能性が見込める
- 債権者から過半数の同意がある(小規模個人再生の場合)
- 却下、廃止、不認可、取消し原因がない
負債総額が5,000万円より少ない
個人再生をする場合、負債金額が5,000万円よりも少ないことが必要です。具体的には、利息制限法に沿った形で利息の引き直し計算をした後の債務の総額が5,000万円以下でなければいけません。
住宅ローンを残したまま手続きを行う場合には、住宅ローンの債務は5,000万円に含まれず、担保不足見込み額が含まれるのみです。
支払不能のおそれのある状態である
支払不能とは、すでに弁済期(支払い期日)にある債務を返済できない状態が続くことを指します。
一時的に支払えないだけの場合や弁済期前の場合は、支払不能には当たりません。ただし、再生の場合は、破産と異なり「支払不能」とまでいえる必要はなく、そのおそれで足ります。
再生計画の遂行可能性が見込める
再生計画の遂行可能性が見込める場合とは、将来的に反復継続した収入があり、再生計画を履行できることを指します。
つまり、将来的に返済ができない人、収入がない人は個人再生をすることができません。
サラリーマンはもちろん、個人事業主、アルバイト、年金受給者であっても可能ですが、場合によっては継続収入があると認められないケースもありますので、詳細は弁護士にご確認ください。
債権者から過半数の同意がある
これは、小規模個人再生の場合のみ必要になる条件です(もう片方の給与所得者等再生については後述します)。
より具体的には、債権者の決議の際に、議決権者である債権者の半数以上の不同意がないこと、または議決権のある債権額の1/2を超える不同意がない(民事再生法230条6項)場合に再生計画が認められます。
債権者からの反対の声が過半数を占める場合には、給与所得者等再生や自己破産を考える必要があります。
却下、廃止、不認可、取消し原因がない
手続き途中に却下・棄却、廃止、不認可、そして認可後に取消しとならないことも重要です。
申立ての却下・棄却とは、個人再生手続き申立て時に満たすべき条件が揃っていない場合に個人再生が認められないケースを指します。予納金がたりない、書類の不備などが理由となります。
個人再生の廃止とは、個人再生手続きが開始され再生計画案が認可される前に手続きが中止されることを指します。再生計画の見込みがないことが明らかな場合や債権者の過半数の不同意がある場合等です。
再生計画の不認可とは、再生計画案が可決されているものの不認可事由に該当する場合を指します。
具体的には、反復継続する収入を得る見込みがなくなった場合などが挙げられます。
認可後の取消しとは、一旦再生計画が認められたものの、債権者の申し立てにより再生計画を取り消すことを指します。取り消されてしまうと元どおりの債務を返済しなければいけません。
再生計画通りに返済しなかった場合などに、取り消されることがあります。
2.給与所得者等再生の条件
個人再生では上記の条件全てをクリアする必要があります。
これらに加えて「給与所得者等再生」の場合は、以下の条件も満たす必要があるでしょう。
給与変動の幅が年間で20%以下であること
給与所得者等再生の場合には収入の安定性が厳しく求められます。具体的には、給与変動の幅が年間で20%以下であることが必要です。
個人事業主やアルバイトなどで収入の変動が激しい場合には給与所得者等再生が認められないことがあります。
なお、給与所得者等再生の場合は多くの人が選ぶ小規模個人再生より、返済額が多くなる可能性があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。
[参考記事]
小規模個人再生とは|個人再生手続きの種類を解説
3.弁護士へ相談して個人再生失敗のリスクを減らす
個人再生には回数制限があるわけではないため、失敗してももう一度申し立てることは可能です。
しかし、もう一度やり直せば認可されるという類のものではありません。失敗した内容を見直し、内容を変えない限り認めてもらえることはないでしょう。
失敗した原因を探るには専門的知識が必要になります。
[参考記事]
個人再生ができない人とは?|失敗する理由と対策
失敗の繰り返しは時間や費用の無駄遣いにもなりますので、申し立てる前に専門家である弁護士に相談するのが得策です。
是非一度、泉総合法律事務所の無料相談をご利用ください。