債務整理弁護士 [公開日]2017年11月22日[更新日]2021年1月18日

債務整理事件処理の規律を定める規程とは?

弁護士選びの基準とは?債務整理事件処理の規律を定める規程

借金の返済に苦労している場合、考えるべきは「債務整理」の手続きです。
債務整理をすることにより借金を減額・免除でれば、家計への負担を大きく減らすことができます。

債務整理は弁護士などの専門家に依頼するケースが多いですが、債務整理に関わる規則なども少し知っておくと、弁護士選びの際に役立つでしょう。

そこで今回は、日弁連にて定められている「債務整理事件処理の規律を定める規程」(債務整理事件を取り扱うにおいては弁護士が守らなければいけない規則)を解説します。

1.「債務整理事件処理の規律を定める規程」とは?

「債務整理事件処理の規律を定める規程」は、債務整理の事件を取り扱うに際して配慮すべき内容や規則を定めたものです。
法律ではありませんが、日弁連が定めた規則であり、債務整理事件を取り扱うにおいては弁護士が守らなければいけないものです。

債務整理を依頼する人が守るべき規程ではないものの、弁護士が違反するとその弁護士が懲戒処分を受けるなど、依頼者の利益に関わることもありますので、軽く内容を知っておくと役に立つでしょう。

この規程は、過払金返還請求事件を主として一部の弁護士が不適切な勧誘や不適正な弁護士報酬を得ていたことから、弁護士報酬の適正化や事件処理の適正化を目的として作成された規程です。

仮にこの規程に反した場合には、懲戒処分により弁護士としての職を続けることが難しくなることもあります。

2.規程の内容

規程では、主に以下のような内容が定められています。

  • 直接面談の原則
  • 事件処理方針等及び不利益事項の説明
  • 過払い金返還請求のみの受任の原則禁止
  • 弁護士報酬の規制
  • 事件処理の報告
  • 広告の規制

これらは全て、依頼者の利益を擁護することを目的としています。
依頼者の側として知っておくべき内容としては、以下で詳しくみていきましょう。

3.債務整理をする人が知っておくべき規程

債務整理を依頼する側としては、以下でご紹介する「面談に関する規程」と「報酬に関する規程」を理解しておくと良いでしょう。

(1) 面談に関する規程

第3条にて面談に関する取り扱いが規程されています。具体的には以下の通りです。

  • 弁護士が直接の面談を行うのが原則である
  • 事務職員の聴取は補助的にとどめること
  • 遠方など特段の事情がある場合は、面談に代わる適切な手段により実施すること

まず、債務整理事件を受任する際には、弁護士が依頼者に直接の面談を行うことが原則としています。

これは弁護士が事務職員に事情聴取を任せきりで責任の所在をあやふやにすることを防ぐ目的があります。依頼者にとっても、担当した弁護士がきちんと話を聞いてくれることは安心感に繋がります。

次に、事務職員による聴取は補助的に止めることです。

事務職員が事情聴取に参加するのは問題ありません。しかし、事務職員が主に依頼者から話を聞き、予備的に弁護士が話を聞くというスタンスはNGです。

規程上は、履行補助者として聴取させることは問題がないとされています。履行補助者としての業務では、法律事務の重要な判断を行わず、法律事務職員の当該業務が弁護士によって指揮・監督されていることが必要です。

つまり、事務職員が聴取をしたとしても、後から重要事項に関しては弁護士からの説明と確認が必要になるということです。

最後に、直接面談が実施できない場合の代替手段についてです。

依頼者が病気や怪我で直接面談が実施できない場合や、遠方に住んでいて直接面談が難しいケースなどが想定されています。このような「特段の事情」がある場合には、電話や書面、FAX、メールなどを利用して事情聴取を実施することを認めています。

(2) 弁護士費用に関する規程

債務整理事件における報酬に関する指針もあります。
規程にある内容としては、以下が依頼者にとって重要です。

  • 過払金返還請求のみを引き受けることの禁止
  • 報酬に関する具体的な説明があること
  • 任意整理事件の報酬規程に反しないこと

まず、過払金返還請求のみを事件として引き受けることの原則禁止が明らかにされています。

借金があるのに過払金を請求しただけでは借金問題の解決になりませんし、また多数の過払金返還請求事件が起きたことで、報酬等に関するクレームが多く発生したことからこの規程が策定されました。

債務者の負債状況を適切に把握することや他に負債があるのにも関わらず過払金請求のみを取り扱うことは禁止となったのです。

次に、報酬に関しては誤解がないように適切な説明をすべきとされています。これも過払金返還請求で報酬受け取りに関して問題があったため規程が作られました。

依頼者が最終的に支払うことになる弁護士報酬について理解に齟齬が生じないようにするために、具体的な説明をすることを求めています。

依頼者としては、弁護士費用についてわからないことがあれば積極的に説明を求めるべきです。

最後に、任意整理の報酬規程についてご説明します。
この規程では、解決報酬に関して以下の上限以下でなければいけないことが明らかにされています。

  • 解決報酬金:1社につき税別2万円以下(商工ローンは税別5万円以下)の報酬
  • 減額報酬:10%以下
  • 過払金回収報酬:20%以下
  • 訴訟による過払金回収の場合:25%以下

解決報酬金とは、最終的に任意整理の手続きで利率の減額に成功した場合に発生する報酬のことです。
また減額報酬は、最終的な借金減額から報酬を決める方法です。20万円の減額成功なら、2万円までとなります。

過払金回収報酬は、回収できた過払金をもとに報酬を決める方法です。20万円の過払金が返還された場合は、このうち4万円が弁護士報酬となります。

4.債務整理は信頼できる弁護士に相談を

債務整理を弁護士に依頼するべきメリットは多岐にわたります。

[参考記事]

借金返済にお困りの場合、弁護士に相談をするメリットとは?

弁護士への依頼にあたり、債務整理事件処理の規律を定める規程における、面談に関する規程・報酬に関する規程は依頼者にとっても重要ですので、上記で説明した点について頭の片隅に置いておくことをお勧めします。

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