債務整理弁護士 [公開日]2018年4月12日[更新日]2021年9月22日

債務整理をするときに弁護士に嘘をつくとどうなる?

債務整理をするときに弁護士に嘘をつくとどうなる?

借金を支払いできない状態になった場合、確実に借金問題を解決するには「債務整理」を行う必要があります。

債務整理は弁護士に依頼して手続きや交渉を代行してもらうことが一般的です。しかし弁護士に相談したときに嘘をつくと、後々問題になる可能性が極めて高いです。

もし弁護士に嘘をついたらどうなってしまうのでしょうか?
ここでは典型的な嘘のパターンと、その嘘がバレたらどうなるのかを解説します。

1.債権者の数や名称で嘘をつく

破産手続や再生手続といった裁判所を介して行う債務整理の場合、全ての債権者を平等に扱うという原則あるため、債権者の数や名称を正確に申告する必要があります。

弁護士は依頼人の申告に基づいて申立書などを作成しますが、このときに嘘を言う人が見られます。

例えば「自己破産をすると借金がゼロになるけれど、そうするとお世話になった人に迷惑がかかる。だからこの人への借金だけは支払おう」と考えて、意図的に一部の債権者を除外する人がいます。

また、「親からお金を借りているけれど、自己破産をすると債権者に連絡が行くからバレてしまう。バレないように親を債権者から外して申告しないようにしよう」と考える人もいるようです。

債権者を隠すなどすると、裁判所に提出する書類に虚偽を書くことになります。

嘘がバレた時点で手続きが打ち切られるなどのペナルティが課せられるおそれがあり、債務整理に失敗する可能性が高くなります。最悪の場合、詐欺破産罪などの犯罪になります。

任意整理の場合でも、弁護士に正確な債権者の情報を告げなければ、事務処理や交渉に時間がかかることが考えられます。

効率的な任意債理をするには全体を俯瞰して、どの様に毎月の資金を配分するか等を判断する必要がありますので、弁護士に隠し事をすると大きな失敗に繋がりかねません。素人判断でそれなら返済できると思って、途中で頓挫してしまうとお金の無駄になってしまいます。

2.保有資産の額で嘘をつく

持っている資産の額を少なく申告する人は「財産の隠匿」を狙っている場合が多いです。

自己破産では一定以上の財産が処分されますし、個人再生では保有している財産が多いと手続き後の返済額が上がってしまいます。財産を少なく見せかけるために、一時的に他人に譲ったり安く売ったり、直前で名義変更する例が目立ちます。

少なく申告するということは、財産を隠して申告したということです。

財産の隠匿などは自己破産や個人再生で禁止されているため、手続きが打ち切られるおそれがあります。

また、自己破産や個人再生では裁判所が「否認権」という権利を行使して、手続きの直前に他人に譲った財産の所有権を債務者の元に戻す手続きが実施されることがあります。

例えば自動車を譲っていた場合、裁判所が譲り受けた人へ「その取引は無効なので自動車を返却するように」と働きかけたり、管財人の権限で強制的に取り上げます。譲り受けた人に大きな迷惑がかかりますし、手続きに時間がかかると借金問題の解決が伸びてしまいます。

【多く申告したことがバレるとどうなる?】
保有資産を多く申告する動機はあまり多くありませんが、単なる見栄や勘違いなどが考えられます。
自己破産や個人再生をする場合は、手続きの中で財産調査が行われます。調査のときに齟齬が発生すると修正に手間と時間がかかり、借金問題の解決が先送りになってしまいます。
また、任意整理の場合は「それだけ財産があるなら、毎月このくらいは支払えますよね」という誤った前提で交渉が進んでしまいます。結果として毎月の返済額が自分の支払能力を超えることにもなりかねません。結局支払えなくなって、再度債務整理をする必要に迫られるおそれがあります。

3.借金の理由で嘘をつく

例えば借金の理由がギャンブルや浪費なのに、「生活苦のため」「学費のため」などと嘘を言う人がいます。
本当の理由を弁護士に知られたくないと考えて、嘘を言うケースが多いようです。

借金の本当の理由がバレると、特に自己破産で問題が出てきます。

自己破産では「免責不許可事由」というものが定められており、これに該当する事情のある人は自己破産しても借金をゼロにしてもらえません。
そしてギャンブルや浪費などによる借金は、免責不許可事由に該当します。

裁判官の裁量で借金をゼロにする「裁量免責」を受けられる可能性もありますが、裁量免責をするかどうかは裁判官次第です。

弁護士に予め伝えておけば、弁護士が裁量免責を受けやすくなる策を考えてくれます。

しかし、弁護士に嘘をついた場合は何の策もなく、また悪質であると考えられるため、裁量免責が受けられなくなる可能性が高まってしまいます。

4.偏頗弁済を隠す

偏頗弁済とは、他の債権者を差し置いて一部の債権者のみに返済するような「えこひいき」に当たる行為です。

偏頗弁済の自覚がない方もいらっしゃいますが、偏頗弁済のことがバレると問題になることを知りつつ、敢えて嘘をつく人が散見されます。

「偏頗弁済なんてどうやってバレるの?」と思うかもしれませんが、自己破産や個人再生の手続き中に財産の減り方などを調べられると、必ずどこかで辻褄が合わなくなってバレてしまいます。

自己破産や個人再生では偏頗弁済が禁止されており、場合によっては手続きが打ち切られます。

手続きが進んでも、個人再生の場合は偏頗弁済した金額が個人再生後の返済額に上乗せされることがあります。

5.弁護士には包み隠さずお話ください。

上記が典型的な嘘の例ですが、他の嘘がバレても問題になります。

嘘が悪質な場合は、債務整理の手続きが厳格化されるかもしれません。そうなると余計な時間や費用がかかることもありえます。
また、手続きが途中で打ち切られることもあります。

更に、破産法には「詐欺破産罪」というものが定められています。1ヶ月以上10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課せられる重い罪です。
財産の隠匿などでも、悪質であれば詐欺破産罪になることがあります。

借金は他人に相談しづらい悩みです。初めて会う弁護士に正直なことが言いづらい気持ちもあるでしょう。

しかし、弁護士は借金について多くの悩みを相談され、解決しているプロです。正直にご相談いただければ判断を誤ることはまずありません。
先述のとおり裁量免責の制度があるので、多少問題があっても正直に申告すれば、裁判所は免責を出すことも多いです。

一方、嘘の相談をされてしまうと正しい判断ができず、結果的にご相談者様の不利益になってしまいます。

自分に不利なことを相談したとしても、弁護士には守秘義務があるため外部に漏れることはありません。ぜひご安心のうえお問い合わせください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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