住信SBIネット銀行からの借入で借金を作ってしまった場合の対応策
住信SBIネット銀行でお金を借りている方必見です。
銀行カードローンは少額から手軽に利用できるので、軽い気持ちで借入をしてしまう方が多いです。
中でも住信SBIネット銀行は有名な大手のネット銀行で、世間における信用も高く、カードローンの利用者数が多いです。
しかし、病気、リストラ、減給などでローン返済できなくなるケースもありますし、借入金額が膨らみすぎて借金返済ができなくなくなってしまわれる方もおられるでしょう。
今回は、住信SBIネット銀行でカードローンを利用した後、返済できなくなってしまったらどうすれば良いのか、弁護士が解説します。
1.住信SBIネット銀行の特徴
まずは住信SBIネット銀行カードローンの特徴を把握しましょう。
(1) 住信SBIネット銀行とは
住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同出資して設立した銀行です。
三井住友信託銀行は「三井住友トラスト・ホールディングス」の傘下の完全子会社です。「三井住友フィナンシャルグループ」には属しておらず、三井住友銀行子会社の「SMBC信託銀行」とは異なる金融機関です。ただし、三井住友銀行との関連性はあります。
一方、SBIホールディングスはソフトバンク系の会社で、ネット事業を中心にして、さまざまな事業を行っています。
同じグループ会社にも金融事業を行う会社、アセットマネジメントを行う会社、バイオ関連事業を行う会社などがあります。
このように、住信SBIネット銀行は、金融機関としてのノウハウを持った三井住友信託銀行と、ネット事業に強いSBIホールディングスが共同して、ネット銀行事業を行うために設立した株式会社です。
ネット専業銀行であり、実店舗は有しておらず、新宿にローンプラザがあるだけです。
(2) 住信SBIネット銀行カードローンの利用資格
住信SBIネット銀行カードローンは「MR.カードローン」という商品名となっています。カードローン利用の際には審査があり、利用資格が認められるのは、以下のような方です。
- 満20歳以上満65歳以下
- 安定した収入がある
- 住信SBIネット銀行の口座を持っている
正社員だけではなくパートやアルバイトの方でも審査に通りますし、収入は年収100万円程度の方でも利用できます。ただし、無職の方や専業主婦で収入のない方は利用できません。
また、カードローンを利用するためには、住信SBIネット銀行に口座を持っていることが必要です。
口座のない方の場合には、カードローン申込みの際に口座開設も同時に申請する必要があり、カードローン借入までに時間がかかります。ネット銀行ですから、カードローンの申込みはネットによる受付が前提となります。
審査に申し込むと、勤務先の会社へと在籍確認が行われますが、会社に対し、カードローンの審査であることを告げたりはしないので、このことによって会社に借金を知られる心配は、ほとんどありません。
カードローンを申請する際、限度額が設定されますが、契約後に増額申請できるケースがあります。
ただし、増額できる利用者は、住信SBIネット銀行から「カードローン増額申込みのご案内」という書面を受け取った人のみで、一般の利用者が自由に増額を申請出来るわけではありません。
増額案内は、会員ページのメッセージボックスあるいはメールで届きます。
(3) 住信SBIネット銀行カードローンの2つのコース
住信SBIネット銀行のカードローンには、2種類のコースがあります。1つはプレミアムコース、もう1つはスタンダードコースです。
この2つは、適用金利に大きな違いがあります。
- プレミアムコースの場合:年率0.99%~14.79%
- スタンダードコースの場合:年率8.39%~14.79%
どちらの金利が適用されるかは、申込みをして仮審査を経ないと分かりません。
低金利のプレミアムコースを利用したいと思って申し込んだけれど、実際に適用されたのは高いスタンダードの金利であった、という方もたくさんおられます。
その際には、申込みの撤回が可能ですが、わざわざ撤回せずにカードローンの利用を続けてしまわれる方が多いです。
そうなると、結局は高い金利が適用されたままカードローンの利用を続け、いつしか返済が苦しくなってしまわれる例がみられるので、注意が必要です。
また、プレミアムコースとスタンダードコースでは、借入限度額も異なります。プレミアムコースの場合には1200万円となっていますが、スタンダードコースの場合には300万円です。
つまり、スタンダードコースに振り分けられた場合には、適用金利も高い上に、他の銀行カードローンと比べて借入限度額もかなり低くなるため、住信SBIネット銀行カードローンは、メリットの小さい銀行カードローンと言えます。
プレミアムコースの目先の利益につられて申込みをしない方が良いでしょう。
(4) 金利の引き下げサービスについて
住信SBIネット銀行カードローンには、一定条件を満たすと金利の引き下げを受けられるサービスがあります。
金利引き下げの条件と程度は、以下の通りです。
- SBI証券に口座を持っている場合、0.5%引き下げ
- 住信SBIネット銀行で住宅ローンを利用中の場合、0.5%引き下げ
- SBIカードを持っており、住信SBIネット銀行を引き落とし口座に指定している場合、0.1%引き下げ
たとえばSBI証券に口座を持っている人がSBIカードを使って住信SBIネット銀行から引き落としをしていたら、金利を0.6%下げてもらうことができます。
(5) 借入方法と返済方法
住信SBIネット銀行の借り入れ方法には、銀行振替の方法とATMを利用する方法があります。
銀行振替であれば利用料金は無料であり、メンテナンス中などをのぞいて、即時に反映されます。
ATMの場合、全国のコンビニなどの提携ATMなどを利用できます。原則月2回までは無料であり、以後は1回の利用につき108円がかかります。
返済方法は、基本的に銀行口座からの引き落としのみで、返済日も指定されます。
(6) 保証会社について
銀行カードローンを利用するときには、たいてい「保証会社」がついていると考えて間違いありません。
保証会社とは、債務者が銀行カードローンの返済を滞らせたときに、代わりにカードローンの残債を支払う会社です。
保証会社をつけることにより、銀行カードローン事業では、銀行が損をしない仕組みになっています。
住信SBIネット銀行の場合、保証会社は以下の2つです。
- SMBCコンシューマーファイナンス株式会社
- 住信SBIネット銀カード株式会社
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社は、三井住友銀行系列の消費者金融で「プロミス」の商号で知られている会社です。有名な大手消費者金融なので、ご存知の方も多いでしょう。住信SBIネット銀カード株式会社は、SBI系(ソフトバンク系)の貸金業者です。
これらの保証会社はカードローンの審査も担当しています。住信SBIネット銀行のカードローンを利用した後、返済を滞納すると、上記のいずれかの保証会社が代位弁済を行い、以後は保証会社が債務者へと支払い請求をしてくることになります。
なお、2014年7月28日より前から住信SBIネット銀行のカードローンを利用されていた方の場合、保証会社がオリックスクレジットやJCBになっている可能性があります。
住信SBIネット銀行のカードローン事業は、保証会社の点も含めて2014年7月からに大幅にサービス内容の見直しを行っているからです。
2.返済が滞ったらどうなるか
住信SBIネット銀行カードローンを利用しても、支払いが苦しくなってしまうことはあります。返済が滞ったら、その後どのようなことが起こるのか、順を追ってみていきましょう。
(1) 督促される
住信SBIネット銀行の場合、返済方法は銀行引き落としのみです。
引き落とし日に口座内の残高が不足していると、返済を滞納してしまいます。
約定通りに銀行引き落としができなかった場合、住信SBIネット銀行から支払の督促が行われます。
まずは電話がかかってきて、電話で解決できなければ自宅宛に督促書が送られてくるケースが多いです。
電話や郵便で督促を受けたとき、きちんと話をして、いつまでに滞納分を支払えるのかを明らかにし、約束通りにきちんと返済したら、それ以上問題が大きくなることはありません。
この時点で支払いをすれば、いわゆる「ブラックリスト状態」になることもありません。
(2) 内容証明郵便で一括請求される
住信SBIネット銀行の借金を滞納したまま2、3か月が経過すると、銀行から借金残高の一括請求をされてしまいます。
一般的に、銀行カードローンを利用するときには、返済を怠って一定金額以上の滞納金額となった場合には、借金の分割払いができなくなって一括払いしなければならないことになっているからです。このことを「期限の利益の喪失」と言います。
銀行が一括払い請求してくるときには、「内容証明郵便」という種類の郵便で請求書が届くことが一般的です。
内容証明郵便は特殊な書式になっており、直接手渡しするタイプの郵便になっているので、受け取ると、大きなプレッシャーを感じる債務者の方が多いです。
ただし、内容証明郵便自体に「差押」などの効果があるわけではないので、さほどおそれる必要はありません。
この段階で債務整理をしておけば不利益も小さくて済むので、もしも、銀行カードローンの返済を滞納して内容証明郵便が届いてしまっているなら、お早めに弁護士までご相談下さい。
なお、内容証明郵便が届く頃には、ブラックリスト状態になります。これについては、債務整理をしても防ぐことができません。
(3) 代位弁済
内容証明郵便による一括払い請求が届くと、ほどなくして保証会社が住信SBIネット銀行に対し、代位弁済を行います。
代位弁済とは、債務者が借金返済を滞納したときに、保証会社がそのときの残金を一括払いすることです。代位弁済が起こると、保証会社が銀行に代わって債権者となり、銀行は契約関係から外れます。
また、保証会社から自宅宛に「代位弁済通知書」という書類が届きます。
保証会社は債務者に対し、銀行へ代位弁済した借金残金に遅延損害金を足した金額を、一括払いするように要求してきます。
(4) 訴訟
銀行カードローンを滞納して代位弁済が起こったら、遅延日数がかさむほどに遅延損害金がかさんでいくので、借金がどんどん膨らんでいます。
支払いをせずに放置していると、保証会社であるSMBCコンシューマーファイナンスまたは住信SBIネット銀カード株式会社から「貸金返還請求訴訟」という民事裁判を起こされます。
訴訟をされると、債務者に支払い義務があることには間違いがないので、判決で支払い命令が出てしまいます。支払い義務の内容は、保証会社が代位弁済をした金額と支払までに発生する遅延損害金の合計の金額です。
なお、弁護士に訴訟対応をご依頼いただいた場合、訴訟上で分割払いの和解ができる可能性が高いです。
和解できれば、次に説明する強制執行(差押)をされることはありません。
(5) 強制執行
判決で借金全額と遅延損害金の支払い命令が出ても、そのような多額の支払いに対応できる方はほとんどいません。放置しておくと、保証会社から強制執行をされてしまいます。
強制執行の対象になるのは債務者名義の預貯金や生命保険、現金、投資信託や株、不動産などのあらゆる財産や債権です。
会社員の場合には、給料を差し押さえられる可能性もありますが、給料差押えが起こったら会社にも借金の事実を知られてしまいます。
以上のように、住信SBIネット銀行のカードローンの返済を滞納し続けていると、最終的には裁判をされて給料などの資産を差し押さえられる状態となります。
できれば、そのようなことになる前に対処しておくべきですし、万一そのような事態になってしまったら、一刻も早く債務整理によって解決すべきです。
3.返せなくなってしまった場合の対処方法
住信SBIネット銀行カードローンを利用して返済が苦しくなってきたら、どのように対処すれば良いのか考えましょう。
(1) お勧めする方法は任意整理
住信SBIネット銀行に限りませんが、銀行カードローンの支払いが厳しくなったとき、まずは任意整理を検討することをお勧めします。
①任意整理とは
任意整理とは、借入先の債権者と直接交渉をして、借金の返済金額や返済方法、条件などを変更する手続きです。
銀行カードローンを任意整理すると、債権者との合意後に発生する利息を全額カットできるので、借金の総支払額が減額されます。
また、任意整理の手続きが始まったら、その後は一切の借金ができなくなるので、借り増しによって借金が増えることもありません。
つまり、任意整理をすると、合意したときの元本や既発生の利息のみを分割で支払ったら、借金生活から解放されるのです。任意整理後の借金支払い期間は、およそ3~5年間です。
②任意整理の手順
任意整理の手続きを進めるときには、まずは借入先に対して取引履歴の開示請求書を送り、契約当初から現在に至るまでの取引履歴を入手します。
それを利息制限法に引き直し計算して、借金額が確定したら、借金の返済計画案を作成します。計画案を相手に送って交渉を続け、お互いが合意できたらその内容で和解が成立します。
後は決まった内容に従って返済を続けていくことになります。
③任意整理を弁護士に依頼すべき理由
このように、任意整理では、借金額の正しい計算や債権者との交渉が必要となるので、専門家が対応しないと、債務者が不利になってしまうおそれが高いです。
また、弁護士が任意整理に介入すると、その時点から債権者による督促が止まり、借金返済も一時停止します。
支払いが苦しくなったとき、早期の段階で弁護士に対応を依頼していただいたら、裁判をされたり差押を受けたりすることなく、スムーズに借金を整理することができます。
住信SBIネット銀行カードローンの返済が難しくなってきているなら、すぐに弁護士までご相談下さい。
④任意整理するときの注意点
住信SBIネット銀行カードローンの任意整理を進めるときには、注意点もあります。
・口座の凍結
1つは、住信SBIネット銀行の口座を凍結されてしまうことです。
任意整理をするときには、銀行に対して受任通知を送り、取引履歴の開示請求をしますが、この時点で銀行口座の取引を止められてしまうのです。
口座凍結は、保証会社による代位弁済が終了するまで続きます。また、凍結時に口座内に残高があると、相殺によってその預金は失われてしまいます。
そこで、住信SBIネット銀行のカードローンを任意整理するならば、事前に住信SBIネット銀行の口座からの引き落としを停止して、他の口座に変更しておく等の対処が必要です。
例えば、光熱費や通信費などの引き落とし口座にしている場合、支払い日に引き落としができず未払い状態になってしまうので注意が必要です。
また、住信SBIネット銀行を給与振込口座に指定している場合には、給料を受け取れなくなってしまう可能性があるので、別の口座に変更しておきましょう。
・ブラックリストに掲載される
任意整理をすると、個人信用情報に事故情報が登録されるため、その後は他のローンやクレジットカードなどの審査に通らなくなります。
それだけではなく、今使っている他のクレジットカードも止められますし、携帯電話の機種変更や新規契約の際の端末代分割払いなどもできなくなってしまいます(携帯電話の通信契約自体は可能です)。
任意整理後のブラックリスト状態は5~8年間程度継続するので、借金を完済し終わってもローンやクレジットカードを使えない不便な状態が、数年間続く可能性があります。
(2) 借り換えについて
借金問題を解決する方法として、借り換えを検討される方もおられます。たとえば銀行で「おまとめローン」を利用することなどが考えられます。
ただ、弁護士としては、基本的に借り換えはお勧めしていません。借り換えをしてもそれなりに高額な利息がかかり続けますし、借金を借金によって解決使用とするものであり、根本的な解決にはつながりにくいからです。
借り換えによって状況を改善できるのは、明らかに有利な条件で借り換えができるケースのみです。
たとえば生命保険からの契約者貸付によって対応する場合、親やその他の親族から無利息で借りられるケースなどでは、借り換えによって、状況が良くなる可能性があります。
これに対し、銀行からのおまとめローンや他のカードローンへの借り換えなどはお勧めしませんし、まして自宅を担保に入れる不動産担保ローンなどは利用すべきではありません。
4.任意整理でも解決不可能なケースにおける対処方法
借金額が膨らみすぎていて任意整理では対応できない場合や、支払能力が0になっているので少しの借金も返せない場合には、個人再生や自己破産によって銀行カードローンを整理しましょう。
(1) 個人再生
個人再生をすると、裁判所の許可を得て、借金の返済金額を大幅に減額することができます。
任意整理でカットできるのは保証会社との合意後に発生する将来利息程度ですが、個人再生に成功すると、借金を元本ごと5分の1や10分の1などに減額することができます。
また、住宅ローンを返済中の方は、家を失わずに住宅ローン以外の借金のみを減額することも可能です。
さらに、既に給与差押が起こっている場合に個人再生をすると差押を止めることができますし、個人再生手続きを開始したら新たな差押ができなくなるので、銀行カードローンを長期滞納して保証会社から裁判を起こされているケースなどでも、個人再生は非常に有効です。
個人再生も、弁護士が介入すると債権者は債務者に直接督促をしてこなくなりますし、個人再生手続きが開始したら債権者への支払をストップします。
得られるメリットが大きい割にリスクの小さい手続きですので、借金額が大きく膨らんでいる方や住宅ローンを抱えておられる方は、是非とも個人再生をご検討下さい。
(2) 自己破産
自己破産は、非常に有名な債務整理方法です。
自己破産をすると、基本的にすべての借金を免除してもらえます。手続き後に支払いが残らないので、無職無収入の方や生活保護の方であっても自己破産で借金問題を解決できます。
住信SBIネット銀行でカードローンを借りてしまったけれども、その後リストラや失業などで収入が途絶え、返済ができなくなってしまったならば、まずは自己破産を検討しましょう。
自己破産をすると財産が失われることが知られていますが、実際には99万円分の評価額までであれば、財産を残すことが可能です。
手続き後ブラックリスト状態にはなりますが、それ以外のデメリットは世間で思われているほど大きくないので、住信SBIネット銀行カードローンの返済から解放されたい方は、一度弁護士までご相談下さい。
5.まとめ
住信SBIネット銀行カードローンは、利用者にとって、有利な銀行カードローンサービスとは言いにくいです。
借り増しによって借金が増えすぎてしまったり返済能力が無くなったりしたら、滞納してしまう前に、任意整理を始めとした債務整理手続きによって解決すべきです。
どの債務整理方法を選択するとしても、スムーズに進めて借金問題を解決するには弁護士によるサポートが重要です。
銀行カードローンの返済でお悩みなら、まずは一度、泉総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。