個人再生 [公開日]2018年6月22日[更新日]2021年10月6日

FX取引により個人再生をする場合の注意点

「FXにのめり込んだ結果、借金が膨らんでしまった」と相談にいらっしゃる方は少なくありません。
FX(海外FXを含む)が原因の借金は、債務整理により解決が可能です。

中でも「自己破産」は、借金を原則として0にできるので、債務整理の中でも特に効果が大きい借金整理方法と言えるでしょう。
しかし、「免責不許可事由」という規定があり、FXを含めたギャンブルなどの射幸行為が原因の借金は免除が認められない可能性があります。

[参考記事]

免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!

一方、借金の元本を大幅に圧縮できる「個人再生」には、そのような規定がありません。
よって、自己破産が認められるかどうか不安な方は個人再生を視野に入れると良いでしょう。

ただし、FXによる借金を個人再生で解決しようとする場合には、以下の点にご注意ください。

1.個人再生後の返済額が高くなる可能性

個人再生には「清算価値保障の原則」というものがあります。
これは、簡単に言うと「債権者(お金を貸した側)の保護のため、個人再生をする場合は自己破産で処分されるよりも多くの金額を返済しなければならない」という決まりです。

すなわち、自分名義の家や車など、自己破産をすると処分しなければならない大きな財産が仮に500万円あったとすると、個人再生で借金が圧縮されるとしても、最低でもその500万円分はこの先返済をして行かなければならないのです。

[参考記事]

個人再生の最低弁済額|月々の支払いはいくらになるの?

この清算価値には、FX口座や証券口座の残高も含まれます。
個人再生申立時にFX口座に残金がある場合は資産として扱われるので、債務整理後の返済額が増えてしまう可能性があるのです。

個人再生手続の際には、財産状況を明らかにするため、FXの取引明細を資料として提出することになります。
FXの取引明細は1~2年分必要とされていますが、裁判所によって運用が異なるので、どれくらいの明細が必要かは裁判所に確認する必要があります。

なお、取引明細は、FX取扱会社の取引画面を通じて発行可能な場合が多いようです。

【FX口座の存在を隠すとどうなる?】
仮に、資産が多く計上されることを嫌がり、裁判所に見つからないよう不正にFX口座を隠した(隠匿した)場合、それが発覚したら個人再生に失敗してしまう可能性があります。
もしFX口座を隠していれば、何らかの痕跡が裁判所に提出する財産関係の資料の中に現れるので、不正は暴かれることがほとんどです。個人再生に失敗するとこれまでの手続きの努力が無駄になってしまいますので、財産隠しは絶対に行うべきではありません。

2.個人再生中にFX取引は厳禁

「個人再生の申請中や手続き中に投資行為をしてはならない」といった具体的な制約はありません。

しかし、FXは株取引と同じくハイリスクな取引です。いくら形式的には「投資」であるとはいえ、個人再生の手続き中にFXにお金をつぎ込むのは望ましい行為とはいえません。

個人再生は、借金を大幅にカットした上で、裁判所の認可した返済計画に従い債権者に返済していく手続きです。
そのような状況下にありながら、FXにお金をつぎ込んでいると、本当に計画通りに返済できるか?と疑問符がついてしまうのも当然といえるでしょう。

裁判所に個人再生を申し立てた後も相変わらず多額のお金をFXにつぎ込んでいるようだと「今後借金を返していける見込みがない」と判断され、そもそも開始決定が出ずに申立てが棄却される・手続きを廃止されるなどのリスクがあります。

裁判所に与える印象が悪化することは避けられないため、申立て中・手続き中にFX取引をするべきではありません。

【個人再生手続終了後のFX取引について】
裁判所から再生計画の認可を受ければ、あとは「認可を受けた計画通りに返済していくだけ」です。この段階になると、裁判所から一方的に再生計画を取り消されることは基本的にありません。
しかし、やはりFX取引は慎重に考えるべきでしょう。なぜなら、再生計画どおりの返済ができなくなった場合の不利益が大きすぎるからです。
もし、借金を計画通りに返済できなくなり、再生計画「取消」の申立てが裁判所に認められた場合には、再生手続きの中で大幅にカットした債務はもとの金額に戻ってしまいます。結果として、次は自己破産を選択せざるを得ないでしょう。
参考:個人再生後の残債務を支払えない!遅延や滞納が続いたら裁判沙汰?

3.まとめ

FX取引で借金を抱え、返済できない状態になってしまったら、一度泉総合法律事務所にご相談ください。

泉総合法律事務所では、FX取引による借金を個人再生で解決した実績がございます。

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