個人再生 [公開日]2018年6月21日[更新日]2021年11月22日

個人再生からの復活|完済後の生活はどうなる?

借金の返済が難しくなったとき、最大1/10までの債務の圧縮が認められる「個人再生」を検討する方も多いでしょう。

実際に手続きが終わり、再生計画が認可されると、次に気になるのは今後の生活ではないでしょうか。
「今後の返済はどうなるの?」「完済後に何か手続きが必要になるの?」などさまざまな疑問があるかと思います。

そこで今回は、個人再生から復活するための疑問にお答えします。個人再生が終わりそう、その後の生活が不安だという方は、是非お読みください。

1.再生計画を完済するとどうなる?

再生計画にある債務を完済すると、残債務が免除されます。

個人再生は、借金額によりますが、裁判所に借金を5分の1〜10分の1程度に減額することを認めてもらい、減額後の借金を毎月少しずつ返済していく債務整理方法です。

認められた再生計画の内容によって異なりますが、減額後の借金を完済すれば、最大で残りの債務(借金額や資産の額によっては90%ほど)が免除されることになるのです。

単純な計算をしてみると、3000万円の債務があった場合には300万円に圧縮されるケースがあるのですから、借金の負担は大幅に軽くなります。

また、住宅ローン特則を利用した場合には、これまで通りマイホームに住み続けることが可能です。
もっとも、住宅ローンは減額の対象外となりますので、他の借金とは異なり、最初の契約通りに返済を続けていく必要があります。

[参考記事]

個人再生の最低弁済額|月々の支払いはいくらになるの?

2.個人再生完済後の生活

次に、個人再生完済後に注意すべきこと、知っておくべきことについてご説明します。

(1) 減額されない債務の支払いは続く

残念ながら、完済後も免除の対象とならないものもあります。具体的には、以下のようなものです。

  • 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求
  • 故意または重過失によって加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求
  • 上記賠償金に含まれる慰謝料
  • 夫婦や扶養家族の生活費、子の養育費などの請求権

上記のような「非減免債権」は、他の債務と同様に毎月の支払額が減額されますが、再生期間が終わった後で残務の一括払いを求められることになります。
よって、再生計画上の支払い中に一括払いのお金を貯めておく必要があります。

また、滞納していた税金、社会保険料や罰金等は「一般優先債権」として、減額の対象とならず、再生計画中も随時支払いをしていくことになります。
経済的に難しい場合は、市役所にて別途分割払いなどの相談をしましょう。

[参考記事]

個人再生の非減免債権(非免責債権)の扱い

(2) 完済後に必要な手続きや通知はない

個人再生計画の通りに返済を進めれば、通常は3年程度で完済できます。

そして、再生計画通りの返済が終わったら、特に何の手続きも必要ありません
裁判所も認可確定後は返済に関与しないため、特に裁判所に対して手続き等は予定されていないのです。

また、完済後の通知証明のようなものもありません。完済を誰かに証明する必要はないということなので、ご安心ください。

(3) 信用情報の回復について

個人再生計画に沿って借金を完済したら「クレジットカードを作り直したい」と考えている方も多いでしょう。

しかし、結論からいうと、すぐにクレジットカードを作ることは難しいです。完済したことと、経済的信用の回復期間については別問題であるからです。

通常、個人再生計画は3年で完済する計画のものが多いですが、完済しても「信用情報機関」に連絡がいくことはありません。

信用情報機関は、個人の経済的信用に関するデータを集積しており、銀行や金融機関は、住宅ローンやクレジットカード審査などの際に、信用情報機関へと経済的信用状況を照会します。

個人再生を行ったら、「債務整理をした」という金融事故情報が信用情報機関に記載されるため、これにより審査落ちをしてしまい、数年間はクレジットカードの作成をしたり、ローンを組んだりすることができなくなります。

[参考記事]

信用情報機関とは?|信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)とブラックリスト

信用情報機関には、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)などがあり、それぞれ信用回復までの期間は異なります。
個人再生を行うと、CICとJICCには5年、KSCには10年間事故情報が残ると言われています。

従って、3年で計画通りに完済しても、すぐにクレジットカードを作ることは難しいということになります。
仮に3年で完済したら、その後少なくとも2年間ほどはクレジットカードを作れないと考えた方が良いでしょう。

[参考記事]

個人再生によるブラックリストの掲載期間

【新たにクレジットカードを申し込む際の注意点】
通常は、完済から少なくとも2年程度が経過したら、クレジットカードを作ることができることが多いでしょう。しかし、すぐに申し込むのではなく、事故情報がきちんと消えているのかを開示申請で確認することをおすすめします。
また、個人再生の手続きの対象として、クレジットカード会社への滞納があった場合には、当該クレジットカード会社への申請は控えましょう。というのも、信用情報機関のデータ以外にも、カード会社が独自に顧客の情報を蓄積しているため、以前に個人再生の経歴があれば永続的に審査落ちしてしまう可能性が高いからです。
参考:個人再生後にクレジットカードは作れる?

3.個人再生は専門家である弁護士に相談を

個人再生は、借金を大幅に減額できるという大きなメリットがあります。
しかし、長期的な手続きになりますので、失敗なく完済を目指すなら計画段階からの専門家のサポートが必要不可欠です。

安心して手続きを完遂するためにも、どうぞ早い段階で、債務整理の経験豊富な泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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