借金返済 [公開日]2018年1月18日[更新日]2024年6月4日

借金がある場合の離婚|財産分与はどうなる?

離婚すると「財産分与」が行われ、夫婦の共有財産は主に半々にわけられます(割合は協議により任意で決めることができます)。

通常、財産分与の対象である共有財産は、預金・株・不動産などのプラスの財産(積極財産)です。
しかし、夫婦の共同生活では、積極的財産だけでなく、借金のようなマイナスの財産(消極財産)を形成することもあります。

このような借金は、財産分与の対象になるのでしょうか。また、なるとしたらどのように分けられるのでしょうか。

1.財産分与の仕組み

(1) 離婚すると共有財産は分けられる

離婚することになると、「財産分与」といって、プラスの共有財産が基本半分ずつに分けられます。
しかし、必ずしも半分ずつにする必要はなく、財産形成の貢献度などによって割合は任意に決めることができます。

共有財産とは、婚姻中のお互いの収益の総計です。
名義が片方であったとしても、婚姻期間中に一緒に築いたものであれば夫婦の財産とされます。

ただし、あくまで結婚後に共同で築いた財産のみであり、結婚前に持っていた個人の財産、相続した財産などはこれに含まれません。

(2) 借金も財産分与の対象になる

実務では、借金のような消極財産でも、財産分与の対象とすることが認められています。
夫婦の共同財産を清算するに際して、一方の配偶者が夫婦の共同生活のために負った借金を考慮しないことは公平ではないからです。

ですから、離婚時は積極財産から消極財産を差し引いた残りの部分について夫婦で分けることになります。

もっとも、財産分与の制度は「夫婦共同財産の清算」であることから、財産分与で考慮することのできる借金は、あくまでも「夫婦の共同生活のための借金」にかぎられます。

例えば、夫婦の生活する自宅購入のための住宅ローン・ 子どもの教育費を使途とする教育ローン・家族の病気やケガの治療のための診療報酬債務などです。

一方、個人の趣味・娯楽のための借金や、パチンコなどのギャンブルのための借金は、財産分与の対象とみなされません。

(3) 借金>財産の場合は財産分与されない

では、借金(マイナスの財産)がプラスの財産より多い場合はどうなるのでしょうか。
そのような場合、実務においては、分与すべき財産がないとして財産分与をしないのが一般的です。

その理由は、そもそも財産分与は、夫婦間の積極財産を清算する制度であり、借金のような消極財産は(財産分与において考慮することはできるものの)それ自体を分与する制度ではないからである、と説明されています。

この場合、借金については、借り入れをした配偶者がそのまま背負っていくことが多いです。
もちろん、話し合いによっては差し引いた結果残ったマイナスの財産を分配するケースもあります。

とはいえ、財産分与は夫婦がお互い納得する条件であれば成立します。
「借金>財産の場合は財産分与されない」というのは、あくまで調停も成立しなかった場合の原則的な考え方であるため、夫婦が納得できるならば、どのような財産の分け方でも成立し得ます。

2.離婚の財産分与で財産隠しを疑われる危険

財産分与と借金についてもう一つ注意しなければならないのが、個人再生や自己破産などの債務整理を行う前に離婚をして財産分与をした場合、場合によっては「財産隠し」のための離婚を疑われてしまい、個人再生や自己破産の許可がおりないリスクがあるということです。

特に自己破産は、自己破産した当人の預金やマイホームが処分の対象となる可能性があります。逆に言うと、親族や配偶者などは一切このデメリットを受けません。
これを逆手にとって、「離婚するフリ」をして、自分の財産の半分を配偶者に財産分与する事で、処分を免れるという企みを持たれるかもしれないのです。「財産の隠匿」をしたと見なされれば、自己破産の免責がされない可能性があります。

また、個人再生でも財産の隠匿は禁止されており、これを犯すと個人再生が認可されない危険があるので、絶対にやってはいけません。

もし離婚が「フリ」ではなく本気のものだったとしても、債務整理直前に離婚して配偶者に通常の額を超える額の財産分与をしていたら「財産隠しをしているのでは?」と裁判所に疑われることになります。
その場合、手続きが大変になるので、債務整理の前に離婚するのはお勧めできません。

[参考記事]

自己破産で財産隠しは絶対NG|タンス貯金も調査される?!

3.まとめ

財産隠しを疑われないためには、何より、疑われそうな行為をしないことが大切です。
自己破産・個人再生などの債務整理の前に不動産売却や離婚による財産分与等を行い、大きな金銭を動かすことは得策とは言えません。

もし、どうしても先に財産分与をしなくてはいけない理由がある場合は、弁護士に相談してから行うのが良いでしょう。

債務整理をする際にも、まず依頼する弁護士を探しましょう。

借金問題は、早く解決すればするほどダメージが小さくて済みます。特に任意整理ならば、財産隠しを疑われることもありませんし、家族に秘密で債務整理することもできる可能性があります。

任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理手続きや、借金問題の解決は、実績豊富な泉総合法律事務所にご相談ください。

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