アイアール債権回収株式会社から突然の連絡が来た場合の対応方法

借金を支払わずに放置していると、当たり前ですが取り立て・督促はどんどん厳しくなる傾向にあります。

借金の返済が長期間滞ると、債権が譲渡され、債権者（返済先）が切り替わることがあります。
元の債権者から債権を譲り受けて債権回収業務をする有名な会社の一つが「アイアール債権回収株式会社」です。

借金の滞納を続けていると、ある日このアイアール債権回収株式会社から連絡が来ることがあります。
これまでお金を借りた覚えのない会社名から郵便が届き、突然「お金を返してください」などと言われるので、何かの間違いや詐欺ではないかと警戒する人も多いでしょう。

しかし、アイアール債権回収株式会社からの連絡を放置していると大変な目に遭うおそれがあります。

この記事では、アイアール債権回収株式会社についての解説をしてきますので、督促の連絡を受けた人や目下借金の未払いがある人はぜひお読みください。

１．アイアール債権回収株式会社とは

アイアール債権回収株式会社は、読んで字の如く「債権の回収」を仕事にしている会社です。
他の会社から債権を譲り受け、債権者の立場を得ることで合法的に取り立てを行っています。このような債権回収会社は「サービサー」とも呼ばれます。

アイアール債権回収株式会社は、消費者金融として有名なアコムグループに属しています（2024年7月現在）。

アコムはACマスターカードを発行していますし、アコムの親会社は三菱UFJフィナンシャル・グループです。
このため、ACマスターカードや三菱UFJフィナンシャル・グループの関係会社からの借金を支払わないままでいると、アイアール債権回収株式会社が取り立てをしてくる可能性があります。

既に述べたように、アイアール債権回収株式会社は「新しい債権者」に他なりません。しかも債権回収のプロです。
連絡を無視していると、そのうち粛々と法的手段を講じられてしまいます。

そうならないためにも、アイアール債権回収株式会社から連絡があったらすぐにでも対策を考えて、行動に移す必要があるのです。

２．アイアール債権回収の取り立て方法

債権回収のプロという部分を強調してきましたが、アイアール債権回収株式会社は違法な取り立てを行う会社ではありません。
闇金のように精神的に債務者を苦しめるような方法を使った取り立ては行わず、あくまで法に則った手段で債権を回収しています。

どのような手順で取り立てを行うのか、一般的な例を見てみましょう。

(1)「受任通知兼代金請求書」が届く

まず、アイアール債権回収株式会社が新しい債権者になった（債権回収を受任した）ことを報せる「受任通知」が届くでしょう。

受任通知と同時に、あるいは受任通知の後に来る催告は、主に圧着はがきで届きます。
基本的には「請求書」等の文面であることが多く、譲り受けた負債の一括返済を求められます。

なお、元の債権者（譲渡人）からは、「債権譲渡通知書」が届きます。
これはその名の通り「債権譲渡してアイアール債権回収株式会社が新しい債権者になった」事実を債務者に通知するための書類です。この連絡を受けた後は以前の債権者とではなく、アイアール債権回収株式会社とやりとりをすることになります。

(2) 延滞していると訴状や支払督促が届く

アイアール債権回収株式会社から届く一括請求や和解案の連絡を無視し続けると、法的措置の実行を匂わせる内容の書類が届くケースもあるので要注意です。
元の債権者に対して滞納を開始してから3ヶ月以上延滞した場合は、裁判になる可能性が高くなるようです。

アイアール債権回収株式会社は裁判所に申し立てを行い、裁判所から訴状や支払督促といった法的措置に入るための書類が届きます。
この時点で危機感を感じて弁護士などに相談をすれば良いのですが、裁判所からの郵便に驚いて放置を続けてしまう方も多いです。

訴状・支払督促を無視していれば、当然ながら良い裁判結果（判決）は期待できません。
滞納が事実ならば、知らないうちに「債権者に借金を全額支払うように」という判決が下ります。

(3) 財産を差し押さえられる

裁判で判決を受けた場合（訴状が送付されたケース）や、借金を支払わないまま仮執行宣言付の支払督促が送付された場合（支払督促が送付されたケース）は、強制執行を受ける可能性も否定できません。
こうなると、給与や預貯金が差し押さえられ、生活に直接的な悪影響が及びます。

差し押さえの解除をするには、弁護士の手を借りて債務整理をするべきです。とはいえ、できればこのような状態になる前段階から弁護士に相談してください。

３．アイアール債権回収から連絡が来た場合の対処法

さて、実際にアイアール債権回収株式会社から連絡があったとして、具体的にどうすればいいのでしょうか？

この場合は、以下のような対応を取ることで、差し押さえを回避・解除した上で借金問題を根本から解決することができます。

(1) 請求が本物かどうか確認

アイアール債権回収株式会社は正規の債権回収会社ですが、アイアール債権回収株式会社を名乗る詐欺団体が連絡をしてくるケースもあるかもしれません。
特に、借金の記憶が全くないという場合には注意が必要です。

そこで、まずは書類が本当にアイアール債権回収株式会社から来たものなのかどうかを確かめなければなりません。

検索サイトで「アイアール債権回収株式会社」と入力して検索し、アイアール債権回収株式会社の公式サイトにアクセスしてください。
そこに記載してある住所や電話番号と、手元にあるアイアール債権回収株式会社からの書類に書かれた住所や連絡先が一致していれば、その書類はアイアール債権回収株式会社から届いたものだと判断してほぼ間違いありません。

もし一致しない場合は詐欺である可能性が高いので要注意です。

どうしても不安な場合は、公式サイトにあるアイアール債権回収株式会社の電話番号に電話をかけて「自分に書類を送りましたか？」と確認するのが良いかもしれません。
しかし、この場合は下記で説明する時効がリセットされないよう、言い方に注意する必要があります。

(2) 時効を確認

「借金は時効になると消えてなくなる」という話を知っている人も多いでしょう。
しかし、実際には一定期間が経過すれば何もしなくても借金がゼロになるわけではありません。

時効で借金をゼロにするには「援用」という意思表示が必要で、これを行ってはじめて借金がなくなるのです。
援用は口頭で相手に告げても効果がありますが、後で「言った」「言わない」の水掛け論になるのを防ぐために内容証明郵便で行うのが普通です。

また、金銭消費貸借契約の場合、時効は大抵5年で成立しますが、ケースによっては借入から5年経っても消滅時効の条件を満たしていないこともあります。時効のカウントの起算点を間違っている可能性もあるでしょう。

自分の借金が時効にかかっているかどうかは、弁護士に依頼して調べてもらうのが確実な方法です。
時効にかかっていれば、弁護士に援用の手続きもしてもらえます。

なお、仮に時効にかかっているにも関わらず、アイアール債権回収株式会社との連絡で「その借金は確かに自分の債務です」「○日までに払います」等と言ってしまうと、時効の援用ができなくなってしまいます。
というのも、これらは時効の更新事由（中断事由）にあたり、これらの事由があると時効期間がリセットされ１から数え直しになるからです。

アイアール債権回収株式会社はそれを知っているので、色々な方法で時効の援用を防ごうと試みます。

「今払ってもらえれば少し減額します」「せめて100円だけでも払ってくれませんか？」
こういった誘いも時効の更新を狙ったもので、応じてしまうと時効期間がリセットされてしまいます。

時効の確認前にアイアール債権回収株式会社と連絡を取るときは、「確認したいことが多いので、改めてご連絡します」等と回答を保留しておくといいでしょう。

(3) 分割払いをお願いしてみる

アイアール債権回収株式会社が詐欺ではなく、消滅時効の援用もできない場合は、借金の支払い義務があります。
とはいえ、延滞を続け膨らんだ借金を一括で支払うことは難しいケースがほとんどでしょう。

そこで、分割払いで返済できないか？をアイアール債権回収株式会社の窓口に相談してみてください。
アイアール債権回収株式会社も債務者の一括払いが難しいことは分かっていますので、収入や経済状況に合わせた無理のない返済プランを提示できれば、分割払いに応じてくれるかもしれません。

しかし、これまでずっと滞納を続けていた債務者として、アイアール債権回収株式会社の信頼を得るのは大変なことです。
当事務所としては、アイアール債権回収株式会社からの信頼を得て分割払いを確実なものにするためにも、自力の交渉ではなく弁護士に相談することをお勧めします。

(4) 債務整理で借金を減額・免除してもらう

借金の額が大きすぎて自力ではとても払えそうにない場合や、単なる分割払いでも完済が難しそうな場合、多重債務状態に陥っている場合には、債務整理を考えた方が現実的かもしれません。
個人ができる債務整理には、任意整理・自己破産・個人再生といった３つの方法があります。

任意整理では、アイアール債権回収株式会社と直接交渉をして、将来利息のカットや返済スケジュールの変更（3年〜の分割払いなど）を認めてもらいます。
自己破産では、手持ちの高額な資産（不動産など）を処分して債権者に最大限の弁済を行った後、裁判所の認可を得て借金を全額免除してもらいます。
個人再生では、裁判所に再生計画を認めてもらい、借金を元本から大幅に圧縮した上で残りの借金を原則3年かけて分割払いしていきます。

どの方法もメリット・デメリットがありますが、あなたにとって最もリスクが少ない手段については一般の方には判断がつきづらいことが多いです。
よって、弁護士に相談して、自分のケースにピッタリ解決方法を提案してもらいましょう。

４．借金問題に少しでも不安があれば弁護士へご相談を

アイアール債権回収株式会社は債権回収のプロなので、連絡を受けた後は思ったよりも早く強制執行に乗り出される可能性があります。
借りたものは返さなければならないのはその通りですが、ない袖は振ることができません。債務者側も、自分の財産や生活を守るために弁護士に相談しましょう。

借金問題に詳しい弁護士ならば、時効の援用や債務整理など、最も良い解決方法をアドバイスしてくれます。弁護士は借金で困っている人の強い味方なのです。

弁護士費用等を気にして相談に行かない人も多くいるようですが、相談無料の弁護士や、弁護士費用の分割払い等に対応してくれる弁護士も現在はたくさんいます。一刻も早く弁護士に相談した方が実行可能な選択肢が広がるでしょう。

借金問題は、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。