犯罪行為による損害賠償金は自己破産でも免除にはならない
50代男性 会社員 借入理由: 住宅ローン、横領による損害賠償請求 手続き : 破産・管財事件 |
ご相談前 | ご依頼後 | |
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借⾦総額 | 約6800万円 | 3500万円 |
毎月の返済額 | 約20万円 | 0円 → 免責許可決定後は不明 |
背景
Aさんは、自宅を購入する際に2700万円の住宅ローンを組みました。しかしその後、勤務先の業績悪化が原因で、ボーナスが9割以上カットされてしまいました。そこでAさんは、取引先との接待を増やして、売上成績をアップさせることを思いつきました。
接待費は後々、経費請求できました。しかし、最初の捻出は自己負担であり、Aさんはそれを借入れで工面していたため、次第に返済が厳しくなりました。そのような折、取引先の1人から会社への水増し請求の話を持ち掛けられました。Aさんは借金の返済費用と接待費用を用意しなければならなり厳しい状況だったため、この誘いに応じ、会社へ接待費の水増し請求を行ってしまいました。結局、この背任行為が会社に知られてしまい、Aさんは懲戒解雇となりました。
その後、Aさんは当時の勤務先から損害賠償金として3500万円を請求され、困り果ててしまい当事務所を訪れました。
弁護士対応 - 免責不許可事由、および損害賠償金が免除にならないことを説明
Aさんの住宅ローン以外の借金は殆んどが免責不許可事由にあたる飲食費であったため、管財事件での受任となりました。また、これまでの借金理由について正直に裁判所へ申告し、現在はその理由が取り除けていること(Aさんのケースだと接待を止めること)、今回破産手続に至った点について反省していることを示すことができれば、借金の免除を受けられる可能性が高いことをAさんに説明しました。
そして、破産手続を行ったとしても免除にならない借金があること、Aさんの場合であれば会社への水増し請求による損害賠償金がそれに該当することをきちんとご説明して、Aさんに納得していただきました。
結果 - 犯罪行為による損害賠償金以外は破産手続で全額免除となった
私から管財人弁護士に対して、Aさんは好き好んで飲食をしたわけではなく、あくまで勤務先の売上アップに貢献する目的があったことを何度も説明しました。加えて、ご依頼後、接待を止め倹約に努めていたAさんの姿勢をアピールした結果、無事にAさんの損害賠償金以外の借金は全て免除されました。
破産法には、借金の大きな原因が浪費・無駄遣いであったとしても、裁判所の裁量により借金の免除を認める(これを「裁量免責」と言います)、と明示されています。裁量による免責許可決定を得るためには、弁護士に依頼後は借金の原因である無駄遣いをやめ、家計簿をつけて金銭管理をしっかりすることが大切です。
また、破産法には、そもそも破産手続をとっても免除にならない借金についても明示されています。税金、養育費、婚姻費用、およびAさんのような不法行為に基づく損害賠償請求権などが該当します。これを聞いて、「じゃあ、Aさんが破産手続をとった意味はあったの?」と思われるかもしれませんが、実はAさんは、当時の勤務先から「損害賠償請求権につき、今後の返済計画を説明しないと刑事告訴する」と言われていたのです。Aさんは、損害賠償金をきちんと支払うことを示して、刑事告訴だけは回避する必要があったので、他の借金を免除してもらい、返済費用を確保する必要があったのです。
泉総合法律事務所ではAさんのように犯罪行為をしてしまい、損害賠償請求されている方の破産手続による解決実績が多数あります。「どうせ破産手続をとっても免除にはならない」と諦めてはいけません。今回のAさんのような解決策を導き出せることもありますので、まずは泉総合法律事務所までご相談ください。きっと良い解決方法をご提案できると思います。