個人再生 [公開日]2018年6月4日[更新日]2024年8月13日

個人再生の完済後、いつから住宅ローン・車のローンを組める?

個人再生後は、一定期間は新たに住宅ローンや車のローン(カーローン)を組むことができません。
個人再生(債務整理)をすることで、信用情報機関に「この人は過去に借金を整理したことがある」という「事故情報」が記載され、審査に通らなくなってしまうからです。

では、個人再生の完済後はいつから自動車や住宅などのローンが組めるようになるのでしょうか?

この記事では、個人再生をしたらローンを組めなくなる理由から、個人再生後の残務の完済後何年でローンを組むことができるのか、個人再生後にローンを組む際の注意点を解説していきます。

1.個人再生後にローンが組めない理由

冒頭で述べた通り、個人再生をすると信用情報機関という組織に「事故情報」が記載されてしまいます(これを「ブラックリスト状態になる」と俗に言います)。

ローン会社は、ローン審査の際に信用情報を確認します。
ここに「過去に債務整理(個人再生・自己破産など)をした」という事故情報が記載をされていると「この人は過去に借金を返せなかったことがあるから、ローンを組んでも支払い切れない危険がある」として、審査が通らなくなるのです。

これはローン(マイホーム、車、銀行等)だけでなく、消費者金融から借入を行う場合や、新たにクレジットカードを作成する場合、携帯電話本体代金などの分割払いを行う場合にも同様です。

信用情報機関は3つありますが、いずれの機関も相互に事故情報を共有しているため、あらゆる審査に通らないと考えるべきです。
つまり、個人再生後は「借金」と呼べるようなことはいずれもできなくなるとお考えください。

CIC:クレジットカード会社、携帯電話会社などが加盟
JICC:貸金業者、保証会社などが加盟
KSC(全国銀行個人信用情報センター):銀行、信金、農協、ろうきんなどが加盟

[参考記事]

信用情報機関とは?|信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)とブラックリスト

2.個人再生後はいつからローンを組めるのか

事故情報の登録期間は信用情報機関ごとに異なります。
それぞれの登録年数の目安は以下の通りです。

CIC:5年
JICC:5年
KSC:10年

これは自動車ローンであっても住宅ローンであっても変わりません。
つまり、個人再生後5~10年はあらゆるローンが組めなくなると考えておくべきでしょう。

問題は、いつから起算して5~10年なのかということです。

この点については、「裁判所の認可決定のとき」からのカウントとされています。「完済後から○年」という数え方ではありません。

個人再生後の返済プラン(再生計画案)は原則3年での完済を目指しているかと思いますので、残務の完済後も2~7年ほどはブラックリスト状態が続くということになります。

稀に、「個人再生後でもすぐに住宅ローンや車のローンが通った」という噂を聞くかもしれませんが、これは起算点を勘違いするなどして思った以上に早くローンを組めた人の口コミであると考えられます。

[参考記事]

個人再生によるブラックリストの掲載期間

ブラックリストから本当に削除されたかどうかは、信用情報機関へ開示請求をすることで確認ができます。

信用情報機関の開示請求は、所定の開示申込書に必要事項を記入し、身分証明書とともに指定の宛先に郵送します。機関によっては窓口で手続きを行うこともあります。
手続きに関する費用はいずれも1,000円程度です。

[参考記事]

信用情報の開示方法と見方

照会後、個人再生から相当の年数が経過しているのに情報が残っていた(登録内容が事実でない)場合は、当該の信用情報機関に修正請求をしましょう。

また、情報開示から一定の期間内であれば再調査をしてもらうこともできるようです。

3.個人再生後にローンを組む際の注意点

さて、個人再生の認可決定から5~10年が経過してブラックリスト状態から解放された場合であっても、すぐに問題なくローンが組めるわけではありません。

最後に、個人再生後にローンを組む際の注意点を解説します。

(1) 個人再生をした関連会社は避ける

まず、個人再生で対象とした債権者、またその関連会社は避けるようにしましょう。
ブラックリストが消えても、過去に自社で債務整理をした人には貸さないという社内ルールを設けている会社も多くあるからです(社内ブラック)。

社内ブラックは何年経っても消えることがないのが原則ですので、一度掲載されるとほぼ永続的に審査落ちになると考えるべきです。

ちなみに、基本的に審査を通らない可能性がある場合は、申込自体をしないのが無難です。
なぜなら、審査に落ちるとその「審査落ち」の情報も信用情報機関に残るからです。

(2) 短い期間で多く申し込まない

短い期間にローンの申込み何度もすると(特に、数か月の間に3社以上のローン申込をすると)、お金を借りるのに必死な人と判断され、審査に通りにくくなるようです。
このような「申込ブラック」の登録機関は6ヶ月~1年ほどで、その間はローンが借りられなくなる可能性が高くなります。

最近は本審査に入る前に、個人を特定しないで行える仮審査制度を導入している会社も多いので、心配なときは事前に借り入れ可能かチェックするのもおすすめです。

(3) 大きなローンの前に少額の借り入れから始める

住宅ローンや車のローンは、どうしても金額が大きくなりがちな買い物です。そのような買い物となると、当然ながら審査は厳しくなります。

個人再生の後にいきなり大きなローンを申し込むと、どうしても審査落ちの可能性は大きくなってしまいます。
そこで、まずはクレジットカードの支払いや携帯電話の分割払いなど、少額の借入から始めることがお勧めです。

このような少額の借り入れをしっかり返済していくことで、信用情報機関には「しっかりと借金を返している」という情報が載っていきます。
プラスの信用情報が積み重なることで、やがて多額のローンでも審査に通りやすくなるでしょう。

【すぐに車などが必要な場合は?】
ここまで説明した通り、個人再生後にローンを組むには最低でも5年が必要ですし、その後も暫くは大きなローンを組めないことが多いです。しかし、仕事などの関係で今すぐ車が必要などという場合は、以下の方法を検討してみましょう。
・配偶者名義でローンを組む:本人の事故情報が存在していてローンが組めない場合は、配偶者名義でローンを組むことを検討しましょう。
・一括購入する:あまり現実的ではありませんが、ローンを組めない場合は一括購入しかありません。手持ちのお金が少ない場合は、身の丈にあった額の車を購入することになるでしょう。
この他にも、親族などから譲渡してもらう・安価で買い受けるなどという方法もあります。家族に迷惑がかからないよう、色々と検討してみることをお勧めします。

4.まとめ

個人再生をしても、一定期間が経過すればローンを組むことは可能です。一生ローンを組めないということはないのでご安心ください。

ネット上における「個人再生後に住宅ローンを組めた(審査に通った)」という人の経験談は、ブラックリストから削除されてから相当程度の期間が経過した結果、無事に信用情報が回復した方によるものと思われます。

ブラックリスト入りを過剰に恐れず、借金が膨らむ前に出来るだけ早く弁護士にご相談することをお勧めします。
個人再生を始めとした債務整理は、泉総合法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。

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