年金受給者でも個人再生できる?
近年、高齢化社会が進んで高齢者の人口が増えると同時に、経済的に苦しい高齢者世帯が増加しています。
年金を受給していても、その年金がほんの僅かしかないので借入に頼らざるを得ず、借金を重ねてしまうこともあるでしょう。
「老後破産」という言葉も近年ささやかれていますが「自己破産は避けたい」という方も多いようです。
実は、年金受給者の方であっても、「個人再生」によって借金問題を解決できる可能性があります。
今回は、高齢の年金受給者の個人再生について解説いたします。
1.個人再生とは?
債務整理と言えば、「自己破産」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、借金を整理するための「債務整理」には、自己破産以外にも「任意整理」と「個人再生」があります。
個人再生では、借金を元本ごと大きく減額することができます。
任意整理では借金の利息の免除が認められる程度ですので、任意整理で解決できないくらい大きな借金があっても個人再生なら解決できる可能性があるのです。
減額してもらったお金は、原則3年で返済していくことになります。
たとえば、500万円の借金が100万円にまで減額され、それを3年で返済する場合、月々の返済額は28,000円程度です。
そのくらいなら返済していける、という方も多いのではないでしょうか。
ただ、個人再生を成功させるには、安定した継続的な収入が必要です。
いくら収入が安定していても、収入の「金額」が足りないと、個人再生の手続には失敗してしまいます。
また、個人再生の後に途中で返済ができなくなってしまったら、債権者から督促をされたり、再生計画認可決定(借金を減額してもらうための決定)を取り消されたりして、借金が全額復活してしまいます。
しかし、個人再生に熟達した弁護士に依頼するならば、あなたの収入で完済できる無理のない再生計画を作成してくれるので、過度の心配は不要でしょう。
財産の額等の具体的事情によって異なりますが、自己破産のように財産を現実に処分することなく、借金を大幅に減額できる可能性があるのが、個人再生の特徴です。
2.年金受給者でも個人再生できる?
では、年金受給者が個人再生をすることはできるのでしょうか?
結論から言うと、年金で生活している人でも個人再生を利用することができます。
年金は、かなり安定した収入と見做されます。よって、年金の金額さえ足りていれば、裁判所は年金生活者の再生計画案を認可してくれるでしょう。
(なお、個人再生には「小規模個人再生」「給与所得者等再生」の2種類の方法がありますが、年金受給者はどちらも利用できる可能性があります。)
年金だけでは収入が足りない場合、アルバイトをしたり、家族の収入に助けてもらったりすることで個人再生が認められるケースもあります。
年金受給者の個人再生認可の可能性についてはケースバイケースですので、詳しくは一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
3.年金を差し押さえられる可能性はあるのか?
最後に、年金受給者が借金を滞納したり、個人再生後の返済を滞らせたりすると、年金を差し押さえられることがあるのでしょうか?
借金を滞納すると、給与や預貯金、不動産など、いろいろな財産を差し押さえられる可能性があります。
しかし、借金を滞納しても、年金を差し押さえられることはありません。年金は、法律上「差押禁止債権」となっているのです。
年金受給者の方は、「年金を止められると生活ができなくなる」ことが多いです。年金は受給者の生活にとって必須のものとなっているので、差し押さえることが認められないのです。
つまり、仮に滞納して裁判などを起こされても、債権者は年金を差し押さえることはできません。
ただし、年金が振り込まれて預貯金などに形が変わったら、差し押さえられる可能性があります。預貯金や現金になった資産は、それが年金かどうかの区別が難しいためです。
よって、借金の返済が滞っているならば、早めに解決する必要があるのです。
[参考記事]
個人再生後の残債務を払えない!支払い遅れは待ってもらえる?
4.まとめ
以上のように、年金受給者であっても個人再生をすることができます。
ただ、あなたにとってどの債務整理手続が最適かは、ケースによって異なります。特に年金受給者の場合、年金の金額やその他の収入によっても左右されます。
借金返済が苦しいと感じているなら、できるだけお早めに泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。早いうちなら「老後破産」を避けられる可能性も高まります。
ご相談は何度でも無料ですので、どうぞ安心してご連絡ください。