法人破産 [公開日]2020年5月25日[更新日]2021年3月17日

会社破産するお金がない・予納金が払えない場合

新型コロナウイルスの影響で、経営している会社の存続が危うい、という経営者の方も多いことでしょう。
特に中小企業などは、1~2ヶ月の休業だけで経営難に陥ることもよくあります。

債務が膨れ上がり「今後もう会社を経営していけない」「とても完済できない」という状態で行うべきことは、「会社の破産」です。

ただし、個人が破産するのとは違い、会社(法人)の破産は個人の破産以上に費用がかかります。
それらを払えない場合、どうしたら良いのでしょうか?

1.会社の破産とは

「会社」とは「法人」の一種です。「法人」とは「法律によって人と同等の権利能力を認められた団体」のことで、その中に「会社(株式会社、合同会社など)が含まれます。

会社ではない法人は例えば、宗教法人や社団法人、財団法人、学校法人などです。

破産後、個人の場合は裁判所から「免責許可」をもらいます。
これは裁判所での自己破産手続のあと、「残った債務の支払をしなくていい」と裁判所が出す許可のことです。

一方、法人の場合は破産手続が終了すると、法人そのものが「消滅」します。
消滅すると債務の支払義務を負う主体がなくなりますから、法人の債務も消滅します。

そのため個人とは異なり、「免責許可」は不要となります。

2.法人破産に必要な費用

会社の破産に必要な費用は、大きく分けて2つ。「弁護士費用」と「予納金」です。

(1) 弁護士費用

弁護士費用とは、申立の手続を依頼する弁護士へ支払う費用です。当事務所の場合は、以下のようになっています。

休眠会社|資産なし:38.5~55万円(税込・別途:手数料3万円)
営業中|資産あり:55万円~(税込・別途:手数料3万円)
大規模企業|応相談(別途:手数料3万円)*法人の規模によって異なります。

(2) 予納金

予納金とは、破産申立の際に裁判所に予め納めるお金のことです。

そしてこの予納金はさらに「官報広告費用」と「引継予納金」に分かれます。

官報広告費用

破産手続開始決定が出たら、その旨を「官報」に載せる必要があります。そのための費用が「官報広告費用」です。

金額は裁判所によって異なる場合がありますが、概ね1~2万円ほどです。

引継予納金

法人破産は基本的に「管財事件」として扱われます。
管財事件とは、裁判所が選任する「破産管財人」と呼ばれる弁護士が、別途財産の調査や換価などを行う破産事件のことです。

その破産管財人の報酬として最低限準備しておくお金のことを「引継予納金」と呼びます。

財産がほぼない状態での「少額管財」の引継予納金は最低20万です。

財産が残っている通常管財(特定管財とも呼ばれる)における引継予納金は、債務総額や会社の規模によって異なります。

東京地裁では、基本的に債務総額によって予納金が決まります。

  • 5000万円以下:70万円
  • 5000万~1億円:100万円
  • 1億~5億円:200万円
  • 5億~10億円:300万円
  • 10億~50億円:400万円
  • 50億~100億円:500万円
  • 100億円~:700万円~
【代表者個人も破産する場合】
中小企業の場合、代表者が会社の借り入れの連帯保証人になっていることも多いでしょう。その連帯債務を支払えない場合、代表者個人も自己破産をする必要があります。
もしそのような状況になったら、個人の破産の費用も別途必要です。

3.費用が支払えない場合

破産に必要な各費用は、基本的には手続の開始前に支払います。
上記のような高額なお金などすぐに用意はできないと思われるでしょうが、さまざまな状況を勘案した結果、「費用が捻出できて支払が可能」かもしれません。

(1) 資産の売却

まず、弁護士と一緒に決算書などを確認して、換金できるものを探し、それをもって予納金や費用に充てる、という方法が考えられます。

例えば、回収できそうな売掛金をあたっていく等です。

(2) 弁護士依頼後に積み立てる

弁護士に債務整理(自己破産等)を依頼すると、依頼された弁護士は債権者全員に「受任通知」を送付します。
それを受け取った債権者は取り立てを行うことができなくなるのです。

この形で取り立てが止まっている間、少しずつ積立を行うという方法もあります。
督促がとまる「受任通知」とは

ただし、新たに借り入れを増やしてその分を費用の積立に充てるようなことは絶対にしてはいけません。

(3) 引継予納金の分納

例えば東京地裁では、20万円までの予納金に限って、破産手続開始決定後、5万円×4回までの分納が可能です。ただし、他の地裁などでは認めてくれない可能性が高いでしょう。予め準備しておくことが極めて重要です。

なお、個人破産の場合は「法テラス」の制度を利用することも考えられますが、法人は「法テラス」の対象外ですから、残念ながら利用できません。
法人の費用については、上記の方法で費用を捻出することを検討しましょう。

4.法人破産は弁護士へ相談を

会社の破産については、本来であれば「あと1~2ヶ月は事業を続けられそう」という段階でご相談いただくのがベストです。そのタイミングであれば、事前に事業終了に向けての準備もできますし、最後の売掛金など費用を捻出できることが多々あるからです。

しかし、そのような状態のときは会社の経営で手一杯で、「破産」そして「破産の費用」のことまで考えられないのが普通です。

どんなタイミングであれ、法人や会社の破産について検討しているのであれば、法律の専門家へまずはご相談ください。
費用のあてがない場合は費用捻出の方法も一緒に考えてくれるでしょう。

会社の資産は、状況によって換金すべきもの、してはいけないものがあります。資産を処分する前の段階でご相談いただくとより安心です。

まずは、できれば決算書なども準備して、当事務所の無料相談にお越しください。
会社の経営状況を冷静に分析し、適切に対処いたします。

会社の破産でお困りの方は、泉総合法律事務所へ是非一度ご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
電話番号

受付時間: 平日9:3021:00/土日祝9:3018:30

債務整理コラム一覧に戻る