自己破産 [公開日]2020年2月12日[更新日]2023年5月19日

自己破産における弁護士と司法書士の違い|どっちに相談・依頼する?

自己破産は裁判所で行なう手続です。法律等で定められた様々な書類を集め、作成し、裁判所に提出なければなりません。
また、念入りに調べてどう手続きをすれば良いかが分かったとしても、日々の仕事や生活に追われて実行に移せないこともあるでしょう。

自己破産を自分で行うと失敗するリスクが高いため、自己破産手続きは借金問題の解決が可能な士業に依頼するのが安心かつ確実です。

自己破産を依頼できる専門家(士業)といえば「弁護士」と「司法書士」です。
では、弁護士と司法書士とでは、どちらに依頼する方がいいのでしょうか

ここでは「一般的に考えて、どっちに依頼をするとメリットが大きいか?」という視点で違いを考えていきます。

現在自己破産を検討している人や借金で苦しんでいる人は、本記事を参考にして、相談先をお選びください。

1.司法書士に自己破産を依頼するメリット

まずは、司法書士に自己破産を依頼することでどのようなメリットを受けられるのかを見ていきます。

(1) 費用が比較的安い

あくまで弁護士と比べた場合ですが、司法書士の方が安く引き受けてくれる可能性があります。
これは、司法書士は地方裁判所での手続の代行ができないため、弁護士よりも請け負う業務が少なく済むというのが理由です。

費用だけで依頼先を決めることはお勧めできませんが、どうしても気になるのであれば、司法書士を検討しても良いかもしれません。

(2) 書類作成のサポートを受けられる

上記の通り、自己破産は地方裁判所で行なう手続きですが、法律上司法書士は地方裁判所での代理権を持っていません。
このため、裁判所での手続は、破産申立人が自分で赴いて行う必要があります。

しかし、必要な書類は司法書士が全て揃えてくれるので、自分で書類を準備する手間は省けます。
これだけでも依頼する大きなメリットになると言えるでしょう。

2.弁護士に自己破産を依頼するメリット

続いて、弁護士に自己破産を依頼すると以下のようなメリットがあります。

(1) 書類作成から裁判所の手続まで代行してもらえる

弁護士は、司法書士と同様、破産申立に必要な書類を作成出来ます。
それに加え、司法書士と違い、地方裁判所での手続も代行が可能です。

破産申立人本人が裁判官と面接するような場合は、本人が裁判所まで出向かなければいけませんが、その場合も代理人の弁護士が側にいてサポートしてくれます。

申立後も含めて、自己破産手続のほとんどを任せられるのは、破産申立人にとって大きなメリットです。

(2) 費用が安くなることもある

自己破産は「同時廃止」もしくは「管財事件」という2種類に分類されて処理されます(どちらになるかは裁判所が決定します)。

借金の経緯に何も問題がなく、破産者の手持ちの資産が少ないようなケースでは「同時廃止」となりますが、代理人を付けずに本人より申し立てられたり、処分してお金に換えられる財産が一定以上あったり、免責不許可事由があったりすると、手続に時間のかかる「管財事件」というものに分類されてしまいます。

[参考記事]

自己破産で管財事件になったら|流れ・期間・予納金等を解説

管財事件では、裁判所が「破産管財人」という弁護士を選任し、その人に破産申立人の財産の管理等が任されます。この破産管財人の報酬(50万円程度)は破産申立人が払わなければならないため、お金がなくて自己破産する人にとっては大きな負担です。

しかし、弁護士が代理人の場合に限り、管財事件であっても「少額管財」という、破産申立人にとって負担の少ない方法で処理されることが多くなります。

これは、代理人弁護士が破産管財人の仕事の一部(借入経緯や財産状況の調査等)を事実上肩代わりすることで、破産管財人の仕事の負担が減り、人件費を抑えることができると考えられているためです。

司法書士に依頼して管財事件になった場合は「司法書士への報酬+破産管財人への報酬(約50万円~)」となりますが、弁護士に依頼して少額管財になった場合は「弁護士費用+破産管財人への報酬(約20万円~)」という形になるので、トータルでは弁護士に依頼した方が安く、かつ失敗のリスクが減ると考えられます。

なお、少額管財の扱いや破産管財人への報酬などは裁判所によって運用が異なります。

(3) 借金の金額に制限がない(140万円の壁)

実は、司法書士が担当できるのは、債務額が140万円以下の案件に限られます(140万円以下の案件でも、これを扱えるのは「認定司法書士」に限られます)。

しかも、司法書士ができるのは簡易裁判所での訴訟代理等に留まるので、地方裁判所や高等裁判所に訴えるには、別途弁護士への依頼が必要になります。

弁護士の場合は、活動範囲についてこういった金額や裁判所の制限がないので、もし司法書士が取り扱えない案件になってしまった場合に二度手間になりません。

特に、自己破産をすべきか、他の債務整理をすべきか悩んでいるのであれば、あらゆる手続きを代理できる弁護士に相談した方が手間と時間を省けるケースが多いです。

(もちろん、司法書士にも自己破産の相談はできますので、「自分の借金問題は司法書士が取り扱えるのか」という点をまずは司法書士に相談することも一案です。しかし、それで弁護士に依頼するべきとされた際の手間を考えると、最初から弁護士に相談をすることを当所はお勧めします。)

3.自己破産と弁護士・司法書士に関するよくある質問

  • 弁護士・司法書士の違いは?

    最も大きな違いは、司法書士が自己破産手続きにおいてできるのは書類作成のみであるということです。
    司法書士は弁護士と違い裁判上の代理人にはなれないので、裁判所の手続きそのものに関与することが出来ません。

    よって、裁判所での手続は、破産申立人が平日に自分で赴いて行う必要があります。

    一方の弁護士は、借金の金額に制限なく、自己破産手続のほとんどを一任することができます。

    また、司法書士が担当できるのは、債務額が140万円以下の案件に限られます。
    借金の総額が140万円以上なら、最初から弁護士へ相談するようにしましょう。

  • 弁護士費用は司法書士費用より高い?

    弁護士の方が守備範囲は広いとはいえ、「弁護士費用はかなり高額になるのでは?」と不安な方もいるかもしれません。

    確かに、司法書士の方が自己破産にかかる費用は安くなるケースが多いです。
    しかし、裁判所費用などを含め全体で見た場合、むしろ弁護士の方がトータルで安く済むケースも少なくありません。

    破産者の資産が多かったり、借金の原因に問題が見受けられたりする場合、自己破産のうち「管財事件」となる可能性が高いです。この場合、裁判所が「破産管財人」という弁護士を選任し、その人に破産申立人の財産の管理等が任されます。

    この破産管財人の報酬(50万円程度)は破産申立人が払わなければならず、司法書士に依頼した場合は「司法書士への報酬+破産管財人への報酬(約50万円~)」となります。

    しかし、弁護士が代理人の場合に限り、管財事件であっても「少額管財」という、破産申立人にとって負担の少ない方法で処理されることが多くなります。

    弁護士に依頼して少額管財になった場合は「弁護士費用+破産管財人への報酬(約20万円~)」という形になるので、トータルでは弁護士に依頼した方が安く、かつ失敗のリスクが減ると考えられます。

    さらに、弁護士でも借金のお悩みについて相談料を取らない事務所・分割払いが可能な事務所は多いので、初期費用についてもご安心ください。

4.自己破産はまず弁護士にご相談ください

このように、司法書士には取り扱い出来ない事柄も多くありますが、弁護士なら債務整理の全てを取り扱うことができます。
司法書士は自己破産をできないということはありませんが、「弁護士と司法書士のどっちに相談しようかな?」と悩んだときは、弁護士を選んだ方が途中で問題が発生するリスクが少ないでしょう。

借金問題・自己破産などの債務整理について困ったことがあれば、まずは泉総合法律事務所に、お気軽にご連絡ください。

[参考記事]

債務整理に本当に強い弁護士の選び方|評判・口コミは信用できる?

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