個人再生ができない人とは?|失敗する理由と対策
個人再生は、裁判所に申し立てをして行う債務整理手続きです。
債権者と個別の交渉を行う任意整理より手続は厳格で、また、自己破産より条件が厳しい上に必要な書類が複雑・多岐に渡るので、失敗する可能性は0ではありません。
個人再生で借金を整理するならば、どのような原因で・なぜ失敗するのかを知っておくことが、手続を成功させる上で必要です。
今回は、個人再生手続が失敗してしまう(通らない・不認可になる)理由と、成功させるためのポイントについて説明していきます。
1.個人再生の失敗率・成功率
少し前のデータですが、平成28年度は、小規模個人再生で再生計画を提出した件数が8,242件、給与所得者等再生が739件でした。
詳細は以下のチャートを参照いただきたいのですが、失敗(廃止、不認可、棄却・却下を全部合わせたもの)率は小規模個人再生で全体の3%を超える程度、給与所得者等再で3%を切る程度です。
平成28年度 | 総数 | 再生手続廃止 | 再生計画不認可 | 棄却・却下 | 取下げ | その他 | 失敗率 |
小規模個人再生 | 8,242 | 236 | 20 | 17 | 275 | 29 | 3.3% |
---|---|---|---|---|---|---|---|
給与所得者等再生 | 739 | 13 | 5 | 2 | 51 | 5 | 2.7% |
このように、失敗する確率は確かにあります。実際の失敗談もネット上に掲載されているでしょう。
しかし、弁護士に依頼することで、失敗の確率を最小限に抑えることができるのも事実です。
以降、個人再生手続に失敗する理由と、弁護士に依頼すると何故有利なのかをご説明します。
2.個人再生手続に失敗する理由
では、個人再生できない人にはどのような原因があるのでしょうか?
個人再生手続が失敗する・認められない理由は「棄却」「廃止」「不認可」の三つに分類することができます。
- 棄却:裁判所が裁判を開始せずに打ち切りを決定すること。
- 廃止:裁判の途中で打ち切りが決定すること。債権者の不同意が出された場合などには、たとえ裁判が途中であっても手続が打ち切られます。
- 不認可:法律の要件を満たせなかったことを理由に、裁判所が個人再生手続を認めない決定をすること。
どの理由で失敗したかによって、その失敗をリカバリーすべく次に選択すべき行動が異なります(詳しくは後述)。
3.個人再生できない具体的なケース
次に、「棄却」「廃止」「不認可」の原因となる具体例をピックアップして説明していきます。
(1) 負債総額が5,000万円を超える
個人再生手続では、住宅ローンを除いた負債総額が5,000万円を超えている場合には要件違反となります。そのため、手続をしても「棄却」されてしまいます。
ちなみに、申立時には5,000万円を超えていなかったとしても、裁判を開始したのち利息や遅延損害金を付加された結果、総額で5,000万円を超えてしまった場合であっても「不認可」となり手続の失敗となりますので、注意が必要です。
(2) 住宅ローン特則の要件を満たさない
住宅ローン特則とは、住宅ローンを従来通りに支払うことで、自宅を手放すことなく住宅ローン以外の借金を減額することができる制度です。
住宅ローン特則を利用する場合、例えば、自宅不動産に住宅ローン以外の抵当権や担保権が設定されたまま申立てをするなど、要件を満たさないまま手続きを進めると「棄却」されてしまいます。
[参考記事]
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用要件
(3) 債権者からの不同意
こちらは、小規模個人再生手続特有の要件です。
小規模個人再生の場合、不同意の債権者が半数以上、または、不同意の債権者の債権額の合計が債権総額の2分の1を超えると「廃止」となります。
[参考記事]
小規模個人再生とは|個人再生手続きの種類を解説
(4) 再生計画の遂行可能性が見込めない
簡単に言えば、「返済能力がない」と裁判所に判断されてしまうことです。
これは、多くの裁判所で運用している「履行テスト(返済見込み額の積立)」の成否で判断されることが多いです。
つまり、この履行テストが遅滞した場合や滞ってしまった場合には、返済能力が認められず「不認可」とされてしまうことがあります。
[参考記事]
個人再生の履行テストとは?
4.個人再生手続の失敗を回避するために
上記の他にも、手続が認められるためにクリアしなくてはいけない要件は幾つかあります。
しかし、弁護士に手続を依頼しておけば、要件違反で失敗してしまう可能性を限りなく0にすることが可能になります。
最後に、手続を失敗させないためにできる対策や事前準備、そして実際に失敗してしまった後にとるべき行動について解説していきます。
(1) 棄却への対策
弁護士に依頼した場合、まずは棄却されないよう資料を精査します。
もし棄却の要件が見つかればきちんと指摘して、棄却を回避すべく解決方法を事前に提案いたします。
事実、これまでに「棄却」された事例は、泉総合法律事務所において1件もありません。
なお、負債総額が5,000万円を超えてしまっている場合(もしくは超えそうな場合)、残念ですが個人再生手続での解決は困難です。
この場合は自己破産を検討する必要がでてきます。
(2) 廃止への対策
廃止となるケースは「債権者の不同意」が多いのですが、この点を改善することができれば、再び個人再生手続の申立てを検討することができます。
廃止を回避する対策として、弁護士は給与所得者等再生を提案いたします。
この手続ならば、債権者の同意を得る必要がありません。
しかし、給与所得者等再生手続を選択できる方の要件は少々厳しくなり、また、返済金額も上がってしまうケースが多いため、手続の選択は慎重に行います。
[解決事例]
個人再生手続の給与所得者等再生で債権者からの不同意を回避
(3) 不認可への対策
履行テストに失敗した場合でも、遅れた理由や滞ってしまった事情に正当な理由があれば、裁判所に事情を説明することで「不認可」とはされなかった事例は多数あります。
そのため、不認可となった事情を改善すれば、再度個人再生手続の申立てが検討できます。
この点は弁護士がサポートできますので、どうぞご安心ください。
反対に、その事情の改善ができなければ、手続が認められる可能性は低いと考えられてしまうため、その場合は残念ですが自己破産手続なども検討する必要があります。
5.個人再生の失敗が不安な方も泉総合法律事務所へ
もし、個人再生について不安な事情がある場合には、弁護士へご相談ください。
ご心配されているポイントをヒアリングの上、有効な解決策を検討・提案させていただきます。
泉総合法律事務所では、個人再生手続による借金問題の解決実績が豊富にありますので、借金問題でお悩みの方は一度、泉総合法律事務所へご連絡ください。
相談は何度でも無料となっておりますので、まずは費用の心配をせずにご相談いただければと思います。