借金返済 [公開日]2020年1月30日

固定資産税が払えない場合の正しい対処法

固定資産税は、家や土地などの不動産にかかる税金です。
毎年納税通知書が送られてくるので、年3~4回に分けて支払わなければなりません(一括払いもできます)。

マイホームを建てた後はもちろん、相続などで使い勝手の悪い不動産を相続し、放置しているだけでも固定資産税は発生します。
不動産によっては納税額が高額になるため、支払いが難しくて滞納してしまう人も多いようです。

ここでは、固定資産税を支払えない・滞納してしまっているという方に向けて「固定資産税を支払わないとどうなるのか?」「固定資産税を支払えない場合はどう対処すべきなのか?」ということを解説します。

現在既に固定資産税を滞納してしまっている人や、将来そのおそれがある人は、ぜひこの記事を読んで対策を練ることをお勧めします。

1.固定資産税を支払わないとどうなるのか

まずは、固定資産税を滞納するとどうなるのかを確認していきましょう。

(1) 差し押さえを受ける

固定資産税を納期限までに納めない場合、徴税する側は納期限から20日以内に督促状を発送することになっています。

そして、督促状を発送してから10日以内に固定資産税が支払われなかった場合、徴税側は滞納者の財産をいつでも差し押さえることができるようになります。

地方税法331条
市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一  滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二  滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

つまり、早ければ滞納から1ヶ月程度で差し押さえを受けてしまう可能性があるのです。

不動産を差し押さえてお金に換えるのは時間と手間がかかるので、多くの場合は銀行口座の預貯金が差し押さえられるようです。

口座に十分な残高があり、納税額と同じ金額が引き落とされていれば、それで終わりかもしれません。
しかし、口座残高が十分でない場合、今度は給与を差し押さえられる可能性があります。

給与を差し押さえられると、毎月一定額が強制的に税金の支払いに回されるため、手取り額が減ってしまいます。
また、勤務先には差し押さえのことが伝わってしまい、税金の滞納についてもバレてしまうため、周囲の人から「お金にだらしない人」というイメージを持たれてしまうかもしれません。

この他にも、不動産・動産(車、バイク、美術品など)を差し押さえるかもしれません。
不動産が持ち家である場合は家族にも大きな迷惑をかけてしまうのです。

税金を滞納した場合は裁判所の判断なしで差し押さえが可能なため、いつ・何を差し押さえするかは徴税側の判断次第です。

[参考記事]

固定資産税滞納で督促状が届いた!差し押さえを受ける?

(2) 延滞金が加算される

固定資産税の滞納を続けていると、年利14.6%もの高額な延滞金が課せられてしまいます。
利率については自治体によって異なりますが、銀行預金などでもらえる金利とは比べ物にならないほど高い率です。

滞納期間が長くなればなるほど税額が上がっていき、支払いが難しくなってしまいます。

「納期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで」は延滞金の率を低くしている自治体も多いので、できればその期間中に何とかすることをおすすめします。

2.固定資産税を支払えないときの対策

それでは具体的に、固定資産税を払えないときにするべき対策を紹介していきます。

(1) 分割払いを申し出る

徴税する職員と相談して、分割払いを認めてもらう方法です。
担当窓口の連絡先などは督促状に書いてあるはずなので、そこに電話するか窓口まで行って相談してください。

支払えない具体的な理由を述べた上で、支払いの意思があることをしっかりと伝えれば、分割払いを認めてもらえる可能性があります。

分割の場合、通常は1年、長くても2年で支払うことになります。
ただし、支払いに間に合わなくなった場合は問答無用で差し押さえが行われることがあります。

無理なく返済できるように、担当者と話し合って実現可能な支払計画を作ることが大切です。

(2) 徴収猶予を受ける

徴収猶予とは、災害や盗難、事業の廃止、親族の病気や怪我などの事情がある場合に、固定資産税の納付を待ってもらえる制度です。

支払いが猶予されている間は財産を差し押さえられませんし、既に差し押さえられている場合は解除してもらえます。
延滞金についても50~100%の軽減を受けることが可能です。

相当の事情がなければ徴収猶予は認めてもらえませんが、もし自分に該当する事情がある場合は試してみましょう。

(3) 換価の猶予を受ける

これは、納税者に税金を支払う誠実な意思が認められる場合に、原則1年間は納税を待ってもらえる制度です。
滞納している納税者の財産をお金に換える(換価する)と、納税者の生活や事業の維持が難しくなる場合に利用できます。

徴収猶予を受けられる事情がない場合で、既に財産を差し押さえられているときに使うことが多い方法です。

ポイントは「税金を支払う誠実な意思」という部分です。
「税金を払いたいのに支払えない」という態度を示すために、できるだけ早く役所に連絡して、相談を行ってください。

もし換価の猶予が認められれば、延滞金の一部が免除になるというメリットもあります。

(4) 他の借金を解決する

もし他に借金があり、その支払いが厳しくて固定資産税を納付する余裕がない場合は、「債務整理」することをおすすめします。

債務整理をすれば、他の借金の支払いが楽になります。余裕ができた部分を固定資産税の支払いに回せます。

例えば債務整理の1つである自己破産は、借金をゼロにできるという非常に強力な手段です。

自分が債務整理をすべきかどうか、そしてどのような債務整理をするべきなのかは、弁護士に相談するのが一番です。
最も有効な解決策を教えてくれますので、一度相談に行くことをお勧めします。

なお、税金などの公租公課は、自己破産をしてもゼロにならない例外的な扱いがされています。
よって、固定資産税そのものは債務整理をしても解決できません。

税金滞納の怖さ

【時効を待つことは可能?】
納期限から5年経てば固定資産税の支払義務は時効で消滅します。よって、時効を狙いたいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、徴収する側も指をくわえて時効消滅を見ているわけではありません。当然ながら、時効が成立しないような措置を行ってきます(例えば差し押さえや訴訟です)。
固定資産税の時効が成立することはほぼ考えられないので、別の方法で解決を目指したほうが現実的です。

3.借金のせいで固定資産税が払えないなら弁護士へ

固定資産税が払えない場合の解決方法はいくつかありますが、もし借金が原因の1つであれば迷うことなく弁護士に相談すべきです。

弁護士に債務整理を行ってもらえば、借金の悩みと固定資産税の滞納の両方が一気に解決するかもしれません。

誰にも相談しないで悩み続けるのは時間の無駄です。悩んでいる間に延滞金がどんどん増えていきます。

早く弁護士に相談すればそれだけ早く楽になれるので、早め早めの相談を心がけるべきでしょう。

様々な借金に生活を圧迫され、固定資産税が支払えないという方は、泉総合法律事務所の弁護士に是非一度ご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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