借金返済 [公開日]2019年11月21日[更新日]2023年4月14日

税金滞納で差し押さえ!「差押予告書」が届いたらどうなる?

住民税(市民税)、所得税、自動車税など、支払わなければならない税金はたくさんあります。
こういった税金を支払わずに無視していると、財産(給料・口座など)を差し押さえられてしまうかもしれません。

既に税金の支払いを滞納している人や、差押予告書を受けている人は、「差し押さえってどんなことをされるの?」「給与を差し押さえられたら手取りがなくなるの?」と不安を感じているかもしれません。

ここでは、税金や国保などの滞納による「差し押さえ」について様々なことを解説していきます。

1.税金滞納から差し押さえまでの流れ

まずは、税金滞納から差し押さえをされるまでの流れを簡単に説明します。

(1) 督促(督促状の送付)

税金は、納付する期限を1日でも過ぎたら滞納扱いになります。

国税の場合は納期限から50日以内に、地方税の場合は納期限から20日以内に督促状が発送されることになっています。

(2) 催告

法律的には、督促状の送付後10日を経過したら差し押さえを行うことができます。

しかし、多くの場合は納税者の自主的な納付を期待して「催告」が行われます。
催告では、郵便や電話によって一刻も早い納付を促されます。

自治体によっては滞納者の家まで訪問し、直接催告をすることもあるようです。

(3) 差し押さえの予告

催告を受けても滞納を続けている人のところには、「差押予告通知書(差押予告書)」や「最終催告書」等の書類が送られてきます。この書類には、「期日までに支払わないと、財産を差し押さえます」などということが書かれているでしょう。

これが届いたら、いつ差し押さえが始まってもおかしくありません。

(4) 財産の差し押さえ

差し押さえの予告後、調査の内容に基づいて実際に財産を差し押さえます。

差し押さえが実行されるタイミングは実施する方の裁量で決まるので、いつ行われるのかは予測できません。
長期間差し押さえを免れている人もいるようですし、差押予告通知書を受けた後すぐに差し押さえを受けた人もいるようです。

銀行口座を差し押さえられる場合は、その金融機関に差押通知書が送られます。
給与を差し押さえられる場合は勤務先に差押通知書が送られます。
また、不動産を差し押さえられる場合は「差押登記」が行われて、抵当権者等の利害関係人に差押通知書が送られます。

差し押さえられた財産によって滞納した税金が全て充当された場合、差し押さえの手続はそこで終了します。
滞納された税金の回収のために、差し押さえられた物品が公売(差押財産を国が売却すること)に出され、売上金は滞納分に充当されることもあります。

【差し押さえに先立って行われる「財産調査」】
なお、差し押さえに先立っては「財産調査」が行われます。
所得、給与、報酬などの収入・銀行口座の有無や残高・不動産や自動車の所有・生命保険の加入の有無・債権や債務の有無・家族構成・勤務先、取引先など、様々なことを照会し調べられるので、場合によっては税金等の滞納が周囲にバレてしまいます。
調査官が実際に自宅や(事業をしている人の場合は)事業所等にやってきて、調査をすることもあるようです。

 

このように、滞納を続けていると役所は粛々と差し押さえの手続を進めていきます。

具体的な手続の多くは滞納者にわからないように進められていくので、いつ何が行われたのか滞納者が自覚できないこともあります。

場合によっては突然「銀行口座の残高から滞納分をいただきました」という通知が届くことすらあり得るのです。

2.差し押さえされる財産の種類

「差し押さえ」といっても、財産の一切合財が取られてしまうわけではありません。差し押さえが禁止されているものもありますので、以下のような「生活に必要なもの」「収入を得るために必要なもの」は差し押さえを免れます

  • 生活に必要な食料や燃料(3ヶ月分まで)
  • 衣服・寝具・家具・台所用品などの生活必需品
  • 業務を行うために必要なもの(商品を除く)
  • 収入を得るために必要なもの(農家なら農具など)
  • 仏壇や位牌など

なお、差し押さえられるのはあくまで滞納者の財産に限るので、家族名義の財産は差し押さえを免れます。

裏を返せば、上記の「差し押さえられないもの」以外が差し押さえの対象です。
中でも、よく差し押さえられてしまう代表例を挙げると、以下のようになります。

(1) 給与(給料)

通常、最も差し押さえられやすいのが給与(給料)です。毎月の給与から滞納分が差し引かれます。
毎月差し押さえを受けるため、生活に直接的な支障が出る可能性があります。

なお、給与には差し押さえされ得る上限額が定められています。
税金を滞納している場合、以下の金額の合計額までは差し押さえされません。

  • 給与から控除される所得税や住民税、社会保険料等
  • 月額10万円
  • 生計を同じくする配偶者や子供等の親族一人あたり4万5000円
  • 給与から所得税や住民税、社会保険を控除した額の20%

(2) 銀行口座の残高(定期預金や当座預金も含む)

口座に入っている残高全額が対象なので、口座に振り込まれた年金や生活保護費を含め、滞納分と同額だけ引き落とされてしまいます

なお、口座が凍結されるわけではないので、口座も通帳もキャッシュカードも従来どおり利用可能です。

(3) 不動産

上の二つほどの優先度はありませんが、不動産(家・土地など)を差し押さえられることはあります。
場合によっては数千円の滞納でも差し押さえられることがあります。

(4) 動産(自動車、現金も含む)

動産の中でも、自動車の優先順位はそれほど高くありません。移動のためのレッカー代や管理に費用がかかるためとされています。
また、事業や生活に自動車が必要な場合は差し押さえから外れることもあります。

その他の家財については、二台以上あるテレビ、ピアノ、宝飾品、美術品等換金できるものが差し押さえられることがあります。

動産の差し押さえにおいては、調査に来た係官が室内の財産調査を行うことがあるので、そのこと自体がストレスになりかねません。

3.税金滞納・差し押さえの回避・解除方法

税金の滞納をしないことが大切ですが、お金がなくてどうしても支払えない、という状況も有り得ます。家賃や水道光熱費の支払いを優先した結果、税金の支払いまで手が回らないということもあるでしょう。

そんな時でもやってはいけないことは、滞納の放置や督促の無視です。
どうしても支払えないという場合でも、以下のような対応をとりましょう。

(1) 役所の担当窓口へ相談

まず、できるだけ早く役所の担当窓口へ相談に行ってください。

役所は差し押さえをするよりも、納税者が自主的に支払うことを好む傾向があります。
そのため、「一括は難しいですが、少しずつなら払えます」「○日までに支払います」「来月まとめて支払います」など、支払う意思を見せておけば、分割払いに応じてもらえるか、支払いを待ってもらえる可能性があります。

しかし、役所へ相談する前に差し押さえを受けそう、または既に財産を差し押さえられたとします。
この場合は、どうすれば事態を好転させることができるのでしょうか?

(2)「納税の猶予」を利用

納税の猶予は「徴収の猶予」とも呼ばれており、その名の通り納税を猶予してもらえる制度です。
自分や家族が病気や怪我になった、災害や盗難にあった、事業がうまくいかない等の理由があれば利用できます。

納税を猶予してもらえば差し押さえを免れますし、既に差し押さえをされていても解除してもらえることがあります。

また、延滞税が軽減されるというメリットもあります。
役所の納税窓口などで相談すれば手続方法等を教えてもらえので、ご検討ください。

(3)「換価の猶予」を利用

これは既に差し押さえられてしまった財産の換価処分、つまり売却を待ってもらえる制度です。

財産を売却されると生活に支障が出る、または事業が続けられなくなる場合で、納税の意思があると認められた場合に利用できる可能性があります。

こちらも役所に相談して手続を行ってください。

(4) 滞納処分の停止を利用

こちらは、給与差し押さえが原因で生活に困窮している場合に利用できます。

この制度は、滞納処分の執行を停止する制度で、最終的には、納税義務の消滅につながります。
しかしその分ハードルは高く、様々な要件を満たさなければなりません。

まず、以下の3つのうちどれか1つを満たす必要があります。

  • 滞納処分を執行できる財産がない
  • 生活を著しく窮迫させる恐れがある
  • 滞納者の住所と財産がともに不明

この状態で役所の担当窓口へお願いや相談に行けば、手続に移れる可能性があります。
ただし、あくまで「可能性」なので、突っぱねられてしまうことも多いようです。

(5) 他の借金を債務整理する

税金の滞納は一般的な借金と違い、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)をしても解決できません(税金は減額・免除の対象となりません)。
このため、行政側との相談が必要になります。

しかし、税金の滞納以外の借金(消費者金融や銀行などからの借入)は、債務整理で解決することが可能です。

その他の借金問題を解決できれば、税金の納付を行う余裕ができるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

税金の他にも借金を滞納して困っているのであれば、すぐにでも弁護士にご相談ください。

4.借金が原因の滞納は弁護士に相談して打開が可能

税金に関して「滞納しているから担当者と顔を合わせづらい」と気後れして相談を遅らせると、傷口が広がる一方です。事態が悪化する前に、出来るだけ早く窓口などへ相談に行きましょう。

ただし、窓口の担当者によって対応に違いが見られ、利用できる制度を詳しく教えてもらえないケースもあるようです。

また、税金の滞納以外に借金があるケースでは、その借金について債務整理ができれば税金の支払いをする財源が確保できるかもしれません。
弁護士は税金の滞納状態を直接解決することはできませんが、他の借金の債務整理については専門的な視点からアドバイスが可能です。

泉総合法律事務所では、税金以外の借金の債務整理についての相談は何度でも無料で承っております。

相談が早いほど、様々な解決方法をご提案することが可能です。
借金問題や差し押さえを解決するために、泉総合法律事務所の無料相談をぜひご利用ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
電話番号

受付時間: 平日9:3021:00/土日祝9:3018:30

債務整理コラム一覧に戻る