値下競争による利益率低下と社長の病気による営業困難で破産した事例
設計・施工業 創業 : 18年 借入理由: 売上減少と社長の病気による営業継続不可 |
ご相談前 | ご依頼後 | |
---|---|---|
借⾦総額 | 約6000万 債権者54名 | 0円 |
毎月の返済額 | 約60万円 | 0円 |
背景
店舗の内装設計と建築施工が中心の会社様です。開業当初は、手形割引を利用して、融資を利用せずに事業していました。その後、受注の減少で、資金繰りが悪化したため、金融機関からの融資を利用しましたが、返済は問題なく行えていました。
ただ、受注を少しでも多く得ようと、競合会社よりも受注額を低くしたため、利益率は年々減少していきました。その結果、資金繰りの悪化が急速に進みました。
また、そのような折、社長様(以下、Aさんと呼ぶ)が病気になってしまい、業務に支障をきたすようになりました。
その後、手術を行うなど体調回復に努めましたが、なかなか症状は改善されませんでした。また、会社の資金繰りも改善の兆しが見えず、今後に強い不安を覚えたAさんは、当事務所へご相談にいらっしゃいました。
弁護士対応 - 債権者の特定作業、設備処理、回収済み売掛金の使用使途を調査
業種柄、外注業者を数多く利用されていたため、債権者の特定が一つの問題となりました。また、事務所の賃借を継続していたため、建物内の設備処理を早期に行う必要がありました。
また、債権者の特定につきましては、Aさんとそのご家族の協力のもと、請求書の仕分確認作業を行っていただくことで特定作業を進め、確定した都度、受任通知(弁護士が介入したことを知らせる通知)を発送することを繰り返し、最終的に漏れなく全債権者を特定して通知発送を終えました。
なお、売掛金につきましては、ご依頼前に全額を回収済みでしたので、Aさんにその使途を詳しく帳簿付けしていただき、不当な処理がないかを精査しました。
結果 - 債権者からのクレーム問合せ
債権者数が多く、債権者からの問合せが殺到する可能性があったため、Aさんから一言お詫びの連絡をして貰えるよう指導しました。その結果、債権者からの非難めいた問合せや、経営者であるAさんへの厳しい指摘など殆んどありませんでした。また、債権者集会においても、債権者からの異議やAさんへの責任追及はなく、無事に終了しました。
その結果、会社名義の借金6000万円が0円になりました。
一般的に、債権者は感情的になってしまうことが多く、経営者や代理人弁護士に対して厳しい意見を述べてくる場合が少なくありません。しかし、本件はそれまでのAさんとの関係性やAさん自らの謝罪もあったこともあり、どの債権者も寛容に対応してくれました。
また、依頼前後の金銭の動きは、裁判所や管財人から問題視されることが多く、手続き上ポイントとされる部分です。本件は、Aさんが帳簿作成を細かく行っていただけたことも幸いし、特に問題視されずに、無事に手続を終えることができました。