外注先倒産で製品納期が遅延し、資金繰りが悪化・倒産した事例

会社
輸入販売業
創業  : 8年
借入理由: 海外の生産拠点の倒産
ご相談前 ご依頼後
借⾦総額 約1700万 債権者6名 0円
毎月の返済額 約40万円 0円
[事例 85]

背景

社長様(以下、Aさんと呼ぶ)は、メーカーなどから受注を受けて、海外工場で製品を製造し、輸入をして卸販売する形で輸入販売業を個人で行っていました。それから数年後、個人事業を引継ぎ、会社を設立しました。
初年度年商3000万円近くを上げ、それから3年後には年商5000万円以上を計上するなど、順調な経営でした。しかし一方で、売掛金の回収と支払時期の関係で、一時的な資金の中抜けが生じることがあり、金融機関からの融資を受けて補っていました。ただ、受注もコンスタントにあり、支払が滞ることはありませんでした。
ところが、平成20年のリーマンショックの影響で、受注数が減り、受注単価も低くなっていき、売上が毎年減少していきました。そんな折、製造を発注していた海外の工場が倒産し、納期までに生産ができなくなりました。そのため、別の工場で製造を行えるよう手配しましたが、納期には間に合わず資金繰りは一気に悪化しました。
「今後の事業継続は非常に厳しいのではないか」と強い不安を感じるようになったAさんは、当事務所へご相談にいらっしゃいました。

弁護士対応 - 在庫品や設備の回収可否を判断、管財人や裁判所が注視するポイントを説明

海外の工場が倒産した際、在庫品や設備関係の回収ができず、倒産のドタバタで資産が行方不明になっていました。もっとも、海外であること、ご依頼時から1年以上前の話であること、などの事情により実際に資産を発見したり調査するのは、不可能であると判断しました。
営業停止時点において、預金口座から大きな金額の出金がありました。裁判所は金銭の動きに敏感であるため、Aさんに確認したところ「従業員の最後の給料支払に充てた」との回答でした。「直前の金銭の動きについては、裁判所や管財人が不当性の有無を入念に調査する傾向がある」とAさんにご説明し、「今後、管財人などからヒアリングを受けてもきちんと回答できるように事前準備していきましょう」とも伝えました。

結果 - 在庫品の所在確認、営業停止直前の使用使途の調査、それらの結果を裁判所や管財人へ報告

行方不明になった在庫品や設備関係に関しては、Aさんに現地の知人に改めて確認してもらうようお願いしました。しかし、確認することはできず、Aさんの調査活動も含め裁判所に報告したところ、「資産の調査は実質不可能である」との裁判所からの判断が下りました。
本件では、Aさんに対して在庫品などを散逸させた責任を追及される可能性もありましたが、Aさんの資産調査に対する協力的な姿勢が評価され、責任追及を受けることはありませんでした。
営業停止直前の金銭使途につきましても、Aさんから頂戴した資料から使途明細を洗い出し、かつAさん自身にもヒアリングを行い、不当性がないことを裁判所に報告しました。その甲斐あって、裁判所から「不当性なし」との判断を受けることができました。
最終的に、債権者から異議を出されることもなく、無事に手続は終了し、会社名義の借金1700万円は0円になりました。

弁護士からのコメント

本件は、①海外に資産があった、②資産の大半が行方不明の状況であった、などの点で代表者であるAさん自身に対して責任追及されるリスクがありました。しかし、管財人に対して、申立前の入念な事前調査の結果や、行方不明となった経緯をきちんと説明した結果、問題視されずに済みました。直前の金銭の流れについては、管財人から細かく指摘を受けることが多々あります。この場合、一部債権者への支払(偏頗弁済)や代表者・他の役員などの個人的な事情で費消されていたりすると、会社資産の不当処分として問題視されます。
この点、本件においては、実際に不当な使途ではなかった点はもちろんですが、金銭使途について管財人へきちんと説明できた点も評価され、無事に手続を終えることができました。

このように管財人が問題視するポイントは複数あります。泉総合には多くの会社破産を手掛けてきた実績があり、その中で培われた経験則に基づき管財人が問題視するであろうポイントを的確にアドバイスすることが可能です。会社名義の借金でお困りの際は、どうぞ安心して泉総合にご相談ください。

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