給与が差し押さえられてしまった
「貸金業者から差押予告通知が来ている…」「督促を放置していたら給与差し押さえ命令が届いた!」など、長期間返済をしていないと、債権者から裁判を起こされ、給与や預金口座などの財産に強制執行を受けることがあります。
実際に差し押さえを受けると、毎月の給与の4分の1(給与額によってはそれ以上の割合)が差し押さえられることになり、差し押さえを行った債権者に対する借金が完済されるまで、その状態が続くことになります。したがって、当然ながら他の借金返済も厳しくなっていきます。
そうなると、生活費や借金返済のために、また新たに借金をして…という、借金がどんどん増える悪循環に陥ってしまう危険性があります。
また、法的に解雇などは禁止されていますが、差し押さえを受けると裁判所から勤務先に差し押さえの書類が届くので、借金のこと、その返済ができていないことが知られて、会社に居づらい状況になる場合もあります。
このような状況から一日でも早く脱却して、給与満額を受け取り、生活を立て直していただくためのご提案です。
強制執行とは?
強制執行とは、債務者の財産を差し押さえて強制的に回収し、債権者への返済に充てる裁判手続のことです。
差し押さえを受ける財産としては、預金口座、給与、保険解約返戻金など様々な財産がその対象になります。
財産の差し押さえは、債権者が起こした裁判で敗訴の判決を受けたり、契約時に公正証書を作成していたりなど、債権者が債務名義を取得していることが前提条件となります。
まずは、債権者から裁判を起こされた時点で対応をすることが、強制執行を回避するための最初の手段になりますので、もし裁判を起こされた場合は、早急に専門家である弁護士へご相談ください。
解除のためにとれる方法
既に受けている差し押さえを解除するための方法は幾つかありますが、当事務所では、下記の3つの方法をご提案しております。
①任意整理による解除
債権者と交渉して、差し押さえを解除してもらい、返済を行う方法です。
あなたが支払える返済方法と、債権者が納得する返済方法とを交渉でまとめることになるので、どこまで債権者の提案を了承することができるかに大きく影響される手続と言えます。
極論ですが、差し押さえされている4分の1の給与額よりも多い金額での返済を求められたり、残りの借金の一定額を頭金として支払って残りを分割返済する、といった厳しい条件での手続になるかもしれません。
ただ、裁判所などを介さずに債権者との交渉だけで済んでしまうという点では、他の方法よりも、スピーディーな解決方法になると思います。
②破産申立による解除の方法
差し押さえをしている債権者に対する借金だけでなく、他の借金もあわせて、破産申立を行い、差し押さえを解除の上、借金全額の支払義務の免除を受ける方法です(税金など公租公課を除きます)。差し押さえしてきた債権者に対する借金だけでなく、他にも借金が多くあり、返済自体を継続することが困難な場合に検討いただく方法になります。
破産申立を行い、破産手続開始決定を受けると、裁判所にて、差し押さえの執行停止の処理がされ、その連絡が勤務先にいき、差し押さえが停止されることになります。そうすると、給与の差し押さえが解除され、原則、給与の満額を受領できるようになります。
なお、差し押さえ停止の関係で、勤務先に破産を行った事実も知られることになりますが、破産したことを根拠に勤務先を解雇になることは通常ありません(ただし、破産による資格制限のある業種は、解雇ではなく勤務自体が不可能となります)。
③個人再生申立による解除の方法
借金の一部の免除を受けて返済を行っていく個人再生の申立をして、差し押さえを解除する方法です。
個人再生の場合は、申立と同時に強制執行の中止命令申立も行うことで、裁判所が差し押さえを中止するかどうかを判断します。この時点で、もし中止されなかった場合でも、手続が進み、再生手続の開始決定がされれば、差し押さえは中止となります。
もっとも、個人再生申立で給与差し押さえが解除される場合は、差し押さえを受けていた給与の4分の1の金額(給与額によってはそれ以上の割合)は、そのまま勤務先が保管します。その後、個人再生の手続が進み、再生手続の認可決定が確定したら、勤務先が保管していた給与が自身の手元に渡され、それ以降は給与満額を受給できるようになります。そのため、給与の満額を受け取れるようになるまでには少し時間を要することになります。
また、勤務先に、再生申立を行った事実が知られることになりますが、こちらもそれを理由に解雇されることはありません。再生手続は、資格制限がないため、仕事上で破産することが厳しい方であっても選択できる手続となります。
弁護士依頼のメリット
実際に差し押さえを受けている方や、裁判所から書類を受け取られた方、さらには借金の返済が厳しくなられている方も含めて、まずは、一度、当事務所にご相談ください。
給与の差し押さえによる苦しい生活状況が一日でも早く解消されるよう、それぞれのご状況に合わせた最適な解決方法をご提案いたします。
併せて、「借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事」のコラムもご参考ください。