自己破産 [公開日]2018年6月7日[更新日]2021年9月30日

自己破産をすると連帯保証人にどのような影響を与えるか?

自己破産・個人再生などをすると連帯保証人にどのような影響を与えるか?

自己破産で借金問題を解決したいと考えた場合、気になるのは保証人(連帯保証人)への影響でしょう。

「保証人(連帯保証人)」とは、主債務者が借金の返済をしなくなった場合に代わりに返済義務を負う人のことです。
保証人と連帯保証人の違い

支払いを滞納しているなら、いつ保証人に請求がなされていてもおかしくありません。
しかし、主債務者が自己破産をする場合でも、保証人に請求がいってしまいます。

この記事では、自己破産の保証人への影響と、他の債務整理(個人再生や任意整理)ではどうなるのかについて説明します。

1.自己破産をした際の保証人への影響

早速ですが、実際に主債務者が自己破産をした場合、保証人(連帯保証人)にはどのような影響が出るのでしょうか。
(なお、以降では全て連帯保証人の場合を想定して解説します。)

借金を弁済(完済)することにより債務が消滅すると、当然ですが保証人の保証債務も消滅します。

しかし、主債務者が自己破産して支払いを免除された債務は例外となっています。
破産法は、主債務者が自己破産し免責されたとしても、その効果は保証人には及ばないと規定しているのです(破産法253条2項)。

したがって、保証人は、主債務者の自己破産前の債務の弁済を強いられることになります。

期限の利益を喪失していれば一括での支払いを要求されてしまいますので、場合によって保証人は数百万円という大金を一回で支払わなければいけない状況に追い込まれます。
一括返済が無理なら、分割払いについて交渉することになるでしょう。

支払うことができない場合は、連帯保証人自らも債務整理するしかありません。

【求償権は行使できない】
保証人は主債務者に代わって弁済した場合、通常その金額を主債務者に請求することができる「求償権」を取得します。しかし、主債務者が自己破産してしまった場合は、求償権も免責(=支払義務が免除されること)されてしまい行使することができません。自己破産した主債務者には、返済能力が認められないからです。
つまり、自己破産をした主債務者に対し、保証人は「あなたの借金を代わりに払ったのだから、そのお金を返してください」と請求することはできないのです(ただし、主債務者が自己破産後に任意で支払いをすることは自由です)。

2.個人再生・任意整理と保証人への影響

自己破産をすると、保証人に大きな影響を及ぼします。

では、別の債務整理方法の場合はどうなのでしょうか。

(1) 個人再生

自己破産と同様に、主債務者の個人再生の効果が保証人に影響することはありません(民事再生法177条2項)。

つまり、保証債務は減額されることなく、債権者は保証人に対して借金全額の返済の請求ができることになります。

一方、個人再生をした(再生計画の認可を受けた)主債務者は、減額された借金についてのみ返済する義務を負います。

そこで、主債務者と保証人は同時に返済していき、返済額の合計がもともとの債権額に達した時に借金が完済したことになります。

【求償権の制限】
個人再生では、保証人の求償権も、減額された金額を上限に制限されることになります。
例えば、主債務者の1500万円の借金が、その5分の1である300万円に減額されたとします。この場合、主債務者は300万円に達するまで、保証人は(主債務者の300万円を足して1500万円となる)1200万円になるまで支払うことになります。
もし、保証人が1300万円を返済し、主債務者が200万円しか返済しなければ、保証人は主債務者に100万円を求償できます。
しかし、主債務者が300万円、保証人が1200万円を支払った場合、保証人は主債務者に対して求償することができません。主債務者は減額された300万円以上支払う必要がないのです。

 

もし、保証人が返済をすることができないのなら、保証人も債務整理をする必要があるのは自己破産の場合と同様です。

(2) 任意整理

任意整理では、借金の整理をする対象を債務者自らが選ぶことができます。
そこで、保証人がついている債務を外して他の借金を整理すれば、保証人に対して全く影響はありません。

また、どうしても保証債務のついた債権を任意整理しなければならない場合でも、主債務者と保証人連名での任意整理をすることが可能です。
主債務者が合意通りの返済を続けられれば、保証人に迷惑がかかることはありません。

 

以上のとおり、保証人や連帯保証人の負担が一番少ないのは任意整理であると言えます。

しかしながら、どのような場面であっても任意整理が最適な債務整理方法であるとは言い切れません。
場合によっては、主債務者と一緒に保証人も破産や個人再生を申立てた方が良いケースもあります。

3.保証人への影響が不安な方も弁護士へ

借金問題の専門家である弁護士に相談すれば、その人に一番適した債務整理手続を提案してもらえます。

泉総合法律事務所は、「保証人にできるだけ迷惑をかけたくない」「連帯保証人になっていたが故に借金の請求を受けてしまった」という方からのご相談も多く頂いております。

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このような案件でも担当弁護士が全力でサポートいたしますので、お一人で悩まずに、まずは弁護士にご相談ください。

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