自己破産の申立時の管轄裁判所はどこ?
自己破産は、必要書類を集めた後、破産申立書を裁判所に提出して手続きの申立てをするところから始まります。
しかし、申立てする裁判所はどこでもいいわけではありません。自己破産の「管轄裁判所」というものがあります。
この記事では、管轄裁判所とは何か、自己破産の際はどこの裁判所に申し立てをすればいいのかを解説します。
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1.破産申立をする裁判所の「管轄」とは?
自己破産をする場合、破産申立は管轄のある地方裁判所に行います(家庭裁判所ではありません)。
「管轄」とは、特定の事件をどの裁判所が担当するのか、予め取り決めをした分担のことです。管轄違いの裁判所に申立をした場合は、そのまま受理されることはなく、管轄の裁判所に事件は移送されます。
実際は、申立の時点で管轄違いが判明した場合、管轄裁判所に申立をするように促されるでしょう。
自己破産手続きにおいても例外はなく、当事者同士(債権者と債務者)が合意したからといってどこの裁判所でも裁判が行えるわけではありません。
自己破産申立ができるのは、あくまでも法律で決められた管轄裁判所のみです。 -
2.自己破産を申立てる裁判所はどこ?
では、個人が自己破産をする場合、どの地方裁判所が管轄となるのでしょうか。
一口に「地方裁判所」といっても、全国にいくつもあります。
例えば東京高等裁判所管内なら、東京地方裁判所をはじめ、横浜、さいたま、千葉、水戸、宇都宮、前橋、静岡、甲府、長野、新潟に地方裁判所があります。申立人が個人の場合には、その人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所に管轄があるので、その裁判所に申立てをすることになります。
普通裁判籍とは、いわば裁判における戸籍のようなもので、住所等を基準として籍が決められます(住民票が実家などにあり移していないなど、住民票が現住所と違う場合でも現在の住所地で管轄が決まります)。
日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所(実際に住んでいるところ)により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所を管轄する裁判所に破産手続き開始の申立てをすることになります。
破産法第5条
1 破産事件は、(中略)その普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 前項の規定による管轄裁判所がないときは、破産事件は、債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。なお、自己破産は「申立時点」の居住地が裁判所の管轄になります。
よって、自己破産直前に引っ越しをする予定がある場合は、引っ越し後に管轄の裁判所に申し立てをするべきでしょう。もし、申し立て後に転勤などで引っ越しをする必要が生じた場合は、早めに担当の弁護士にご相談ください(特に引っ越しが県を跨ぐ場合、裁判所の運用等に変更が生じる可能性があります)。
→よくある質問「自己破産手続の際に、引っ越しや海外出張をすることができますか?」
3.管轄裁判所が分かっても自己破産は弁護士へご依頼を
自己破産は、裁判所に破産申立てをして終わりではありません。その後いくつかの過程を経て免責許可が決定し、それが確定してやっと完了します。
自己破産の手続きは複雑であり、一般の方が自力で成功させるのは非常に困難です。
自己破産の申立てから借金の免除まで、すべての過程はどうぞ弁護士にお任せください。
泉総合法律事務所にご相談いただければ、借金解決に精通した弁護士が、免責許可までしっかりサポートさせていただきます。
初回相談は無料となっておりますので、自己破産の初期段階からどうぞ安心してご相談ください。
[参考記事]
自己破産に強い弁護士に相談・依頼するメリット