法人破産で特に多いNTTファイナンスからの借入対処法
NTTファイナンスからお金を借りている方必見です!
NTTファイナンスは、その名のとおりNTTグループの企業です。携帯電話の料金支払いなどで意外と身近な企業ですが、その他にもクレジットカードも発行しています。
しかし、病気やリストラ、手取り収入の減少など、誰しも思いがけない事情で借金の返済ができなくなる可能性があります。
ここでは、万一、NTTファイナンスからの借入が返済が出来なくなった場合の解決策を解説します。
1.NTTファイナンスはどんな会社?
NTTファイナンス株式会社は、NTTグループの中で中核となる金融会社で、1985年に電電公社が民営化して日本電信電話株式会社(その略称が「NTT」です)が発足したときに、第1号のグループ企業として設立された会社です。
つまり、NTTグループの中では、本体のNTTの次に歴史がある企業というわけです。
そんなNTTファイナンスの事業は、主に3つの分野に分かれています。
(1) ビリングサービス
NTTドコモやNTT西日本、NTT東日本の電話料金等の回収代行サービスです。
NTTの利用料金に限らず、広く口座振替などのサービスも提供しているので、気付かないところでNTTファイナンスと取引しているかもしれません。
(2) リース
サービス内容がかなり幅広いため、一言で説明するのが難しいのですが、電話やFAXなど通信機器のリースがイメージしやすいでしょう。
いまやオフィス用の通信機器にとどまらず、産業用の工作機械や医療機器などもリースしています。また、法人向け融資もこの事業に含まれています。
(3) クレジットカード
「NTTグループカード」という名称のクレジットカードを発行しています。
WEB明細サービスを利用した場合は年会費無料、通信料に応じてキャッシュバックがある点などは、NTTグループならではのサービスといえるでしょう。
2. 返済が滞った場合の流れ
NTTグループカードの利用代金は、毎月末日で絞めて、翌月25日に口座引き落としされます。
もし口座の残高不足等で引き落としできなかった場合に、再度、引き落としてもらうことはできません。
引き落としできなかった場合には、NTTグループカード事務局に問い合わせて、支払方法について指示を受けることになります。
残高不足で引き落としができないケース自体は珍しくありませんが、何度も引渡しできなかったり、長期にわたって未払いが続けば、カードの利用停止や強制解約もあり得るでしょう。
3.ブラックリストとは?
ところで、ブラックリストという言葉をご存知でしょうか。一般的に「クレジットカードを作れない」、「借入を申し込んでも審査に通らない」という状態を指して使われているようです。
しかし、現実に「ブラックリスト」というリストが存在するわけではありません。簡単に「ブラックリスト」の仕組みを説明しておきましょう。
銀行やクレジットカード会社などの金融機関は、共同で信用情報機関を設立しています。信用情報機関では、「誰に」、「いつ」、「いくら貸し付けたか」、「滞納歴があるか」といった情報が集積されています。
金融機関が信用情報機関に照会して、貸付できるかどうかを確認する作業を一般的に「ローン審査」と呼んでいます。
たとえば、借入が多すぎたり、事故(長期滞納や破産、民事再生の申立てなど)を起こしている場合には、ローン審査に通らなくなります。この状態になることを「ブラックリストに載った」と呼んでいるのです。
現在、ネットショッピングなどでは、カード決済が主流ですので、クレジットカードを持てないと何かと不便になることは事実です。
しかし、クレジットカードのない生活を強いられれば、借入依存をあらためる機会になるはずです。
また、信用情報の事故歴は、借入を完済したり、返済が正常化したりすれば、数年で抹消されます。
ここは発想の転換で、ブラックリストに載らないように無理をしながら返済を続けるのではなく、思い切ってブラックリストに載る覚悟で、今後の生活を見直すのも有効な方法です。
4.借金の返済ができなくなったら
借金の返済ができなくなったときに「別のカード会社から借りて返済する」という方法は避けるべきでしょう。
借金の返済ができなくなった場合には、いくつかの解決方法がありますが、まず法的手続きによらない方法を2つ、法的手続きを2つ解説します。
(1) 借り換え
より金利の低いローンを借りて、今ある借金の返済に充てる、という方法です。
こうした「一本化」、「おまとめ」のローン商品が多くありますが、結局のところ、借金を返済するために、また借金をしているわけですから、根本的な解決といえるかどうかは疑問です。
収入が多く支払い能力があり、借入の金利さえ下がれば、確実に返済できる、という方に限れば、有効な方法かもしれません。
もっとも、すでに多重債務の状態にある場合、一本化しようにも審査に通らない可能性が高いため、現実的にこの方法が使える方は限られます。
(2) 任意整理
任意整理とは、債権者と交渉して、返済条件を変更してもらう手続きです。
弁護士や司法書士などの専門資格者に依頼して
- 将来発生する利息をカットする(金利を引き下げたり、ゼロにしたりしてもらう)
- 元金を3年~5年程度で返済する
という条件にまとめてもらうのが一般的です。
もちろん、弁護士や司法書士に依頼すればお金がかかります。自力で交渉すればタダですが、ローン会社が交渉に応じる義務はなく、自力での交渉をまとめるのは容易ではありません。
また、仮にローン会社が交渉に応じてくれたとしても、弁護士に交渉を任せた場合よりも、不利な条件になってしまう可能性があります。
弁護士費用を気にしたせいで結局高くつくことになるので、やはり多少の支出は覚悟して、弁護士などの専門家に交渉を依頼する方が確実といえます。
なお、任意整理などの交渉は、弁護士など特定の国家資格者しかできません。
多重債務者の救済をうたう団体が乱立していますが、弁護士や司法書士などがどこにも関与していない団体には要注意です。
(3) 個人再生
まずは法的手続きの一つである個人再生手続きについて説明しましょう。
少々乱暴かもしれませんが、個人再生手続きを一言でまとめると「借金を強制的にカットする手続き」と説明できます。
先ほど「任意整理」について説明しましたが、こちらはあくまでも任意の交渉であるため、債権者の同意が得られなければ交渉決裂でおしまいです。
一方、個人再生は法的手続きであるため、すべての債権者に対して、一斉に効力が生じます。仮に一部の債権者が同意してくれなくても、裁判所が返済計画を認めれば、返済計画に従わざるを得ないのです。
また、実務上、個人再生の返済計画に異議を述べる債権者はほとんどいません。
気になるのは、個人再生の返済計画ですが、借金の総額が1500万円以内の場合には、その5分の1を3年間で分割して支払う、という計画を立てるのが一般的です。
たとえば、借金の合計額が1000万円の場合だと、その5分の1である200万円を3年間(36回払い)で支払う計画となるため、月々の返済額は約5万5555円になります。
任意整理でどんなに債権者と粘り強く交渉しても、こんな返済計画に同意してもらうことはまず不可能でしょう。
また、個人再生手続きの最大の特長は、住宅ローンだけは約定どおり返済を続けてよい、という特例があることです。
本来、法的手続きでは債権者の平等が求められるため、たとえば、「A社には約定どおり支払うが、B社の返済はカットする」といった不平等な返済は認められません。
もし、原則どおり、住宅ローンの返済までカットすると、銀行は住宅ローンの残金を回収するために自宅を競売にかけてしまうでしょう。
個人再生手続きでは、こうした不都合が生じないように、特例により、住宅ローンだけは約定どおり返済することが認められているのです。
(4) 自己破産
法人の事業融資を連帯保証していた場合のように、借金があまりにも多すぎる場合は、個人再生手続きでも返済は難しいかもしれません。
また、定期的な収入の見込みがない場合にも、個人再生手続きはできません。
このような場合には、破産手続きを検討する必要があります。破産手続きを一言でまとめると「裁判所に返済能力がないことを認めてもらい、借金の支払義務を免除してもらう手続き」と説明できるでしょう。
ただし、破産手続きを申し立てれば、誰でも借金の返済を免除してもらえるわけではないので注意が必要です。
たとえば、「仕事もせずにギャンブルや浪費を繰り返し、あっという間に返済できないほど借金が増えた」という人物がいたとします。この人物が破産を申し立てて支払返済を免除してもらうのは、道徳的にも許しがたいはずです。
破産法には、一定の「免責不許可事由」が定められており、度を超えた浪費やギャンブルといった事情があると、破産を申し立てても支払義務を免除してもらえない場合があります。
しかし、例え免責不許可事由に該当していても、「裁量免責」により借金の免責が認められることがほとんどです(免責不許可事由有でも裁量免責で救済!自己破産できないと思わないで)。
ところで、「破産は戸籍に載る」、「破産すると選挙権がなくなる」といった話をよく聞きますが、これらはまったくのウソです。破産手続きは、生活を再建するための手段です。噂にとらわれることなく、生活の建て直しを一番に考えるべきでしょう。
5.まとめ
破産手続きや個人再生手続きといった法的手続きは、返済に苦しむ生活を抜本的に解決することができます。
これらの手続きのためにはどのような準備が必要になるか、法的手続きを申し立てるとどうなるのか不安な点も多いでしょう。
弁護士に相談すれば、これらの不安を解消してくれます。なるべく早期に、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。