PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)の借金を返せない時の対処法
ネットショッピングやネットオークション、FX取引などを行っている人にとって、ネット銀行は非常に便利な存在です。
しかし、ネットバンキングでの借入は現金を直接扱うわけではないので、気づかないうちに利用額が膨らみがちです。
今回は、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)でローンを組んだ後、返済できなくなってしまった場合の対応方法について解説します。
1.PayPay銀行カードローンの特徴
PayPayといえば、QRコードで支払いができる便利なスマホ決済サービスです。
PayPay銀行カードローンは、PayPayを利用していれば簡単に口座開設ができ、開設後はPayPayへのチャージが1タップで行えるほか、ローンの借り入れも返済もPayPayで完結します。
日本で最初のインターネット銀行である「ジャパンネット銀行」が、2021年4月にZホールディングスの金融系グループ会社の社名を「PayPay」のブランドに統一したことで生まれたネット銀行です。
ネット銀行ということもあり、PayPayやヤフーオークションの決済手段としてPayPay銀行の口座を保有している方は少なくないでしょう。
PayPay銀行カードローンは、 初回借入日から30日間利息0円を常設特典としており、主婦やアルバイトでも20歳以上で本人にある程度安定した収入があれば申込み可能です。
ローン金利は1.59%~18.0%と標準的で、最低金利は低めに設定されています。
申し込みや本人確認書類の提出はスマホで簡単にできますので、総じてハードルが低いカードローンと言えるでしょう。
一方、ネット銀行カードローンの最大の特徴は利用限度額が高いことにあり、PayPay銀行カードローンの最大1,000万円の利用限度額は銀行カードローンでも極めて高額です。
そこまで高額の審査に通るケースは稀かもしれませんが、利用できるとなれば多額のお金を借り入れられてしまうというリスクがあります。
PayPay銀行カードローンの返済日は、毎月1~28日もしくは月末のいずれかから自分で指定することができます。
返済方式は、定返済日前日の最終借入残高によって返済額が決まる「残高スライド元利定額返済方式」です。
実際の返済方式は、「毎月の返済額を抑えるタイプ(ゆとりコース)」と、「返済額を増やして短期で返済するタイプ(A方式・B方式)」の2種類から選ぶことができます。
また、約定返済日のスキップ機能があります。
2.PayPay銀行に返済できないとどうなる?
気軽にローンを組めるが故に、軽い気持ちで借入をしてその後の返済に行き詰まってしまうケースは珍しくありません。
では、PayPay銀行をはじめとしたカードローンの返済に遅れが生じるとどうなってしまうのでしょうか。
返済に延滞があると、次のような不利益を受けることになります。
- 督促・取り立てを受ける
- 追加の借入が不可能になる
- 延滞した元本に対して遅延損害金(年20%)が発生する
- 残高を一括請求される
- ブラックリストへ登録される
- 法的措置を受け、強制執行(財産の差し押さえ)を受ける
上記について、一部詳しく解説します。
(1) 電話や郵便で督促・取り立てを受ける
約定返済日に残高不足があると、まずはPayPay銀行から(携帯)電話やメールアドレスに入金についての確認の連絡がきます。
この段階では、「入金が確認できませんが、どうしましたか?」「いつなら払えますか?」といった確認程度で、返済予定をきちんと伝えれば問題はありません(ただし、約定返済日の翌日から日割りで遅延損害金を支払う必要があります)。
何かしらの事情で支払えないということが事前に分かっているならば、約定返済日のスキップ機能を利用したり、予めこちらから事情説明の連絡をしておくことが望ましいでしょう。
延滞がさらに続いたときには、PayPay銀行から自宅に延滞内容を記した書面が届くでしょう。
2ヶ月程度滞納を続けると、「期限の利益の喪失」「一括請求」などと書かれた郵便ハガキが届くことになり、これを受け取ったならば注意が必要です。
PayPay銀行のネットキャッシングの規約では、2ヶ月の延滞で期限の利益を失うことが定められています(ネットキャッシング規定13条b)。
第13条 (期限の利益の喪失等)
1.お客さまが次のいずれかに該当した場合は、当社からの通知、催告等がなくても、本取引によるいっ さいの債務について期限の利益を失うものとし、直ちに債務を全額返済するものとします。
b.約定返済を遅延し、翌月の約定返済日までに当該遅延した元利金額およびこれに対する遅延損害金を全額支払わなかったとき。
期限の利益を失えば、残っているローンの全額(元金+利息+遅延損害金)を一括で支払う必要があります。
また、期限の利益を失ったときには、保証会社によって代位弁済がなされる場合もあります。
PayPay銀行カードローンの保証会社は、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(プロミス)です。よって、代位弁済がされたときにはプロミスから一括請求の通知が届きます。
なお、この段階でPayPay銀行の口座に預金があるときには、ローン残額と預金残高が相殺されてしまいます。
[参考記事]
代位弁済をされたら弁護士に相談を!|住宅ローン・カードローン
(2) 法的措置→給料などの差し押さえ
一括請求を求められても、2ヶ月も長期延滞を続けていれば実際には借金を返せない場合がほとんどです。
よって、その後を放置をしてしまう方が大半でしょう。
滞納が3ヶ月以上続けば、プロミスから支払督促や訴訟によってローン残高(代位弁済額)の支払いを裁判上で請求されます。
裁判所から支払督促や訴状が届いた後も無視してしまえば、債権者が強制執行をできる権利(債務名義)を得て、最終的には給料・預貯金などの財産を差し押さえられる可能性があります。
「裁判手続に応じてもどうせ返せないから」「裁判所からの郵便物は怖いから」などと放置してしまう方も少なくありませんが、このような対応は絶対にいけません。
しっかりと対応をすれば、プロミスとの和解・債務整理の準備期間の確保が可能となり、強制執行を避けることができる可能性が高いです。
差し押さえを回避するためには、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
(3) 信用情報機関へのブラックリスト登録
通常は、上記で解説した一括請求と同じくらいのタイミングでカードローンの契約が強制解約され、信用情報機関へのブラックリスト登録が行われます。
(正確にはブラックリストというリストは存在しませんが、本記事では便宜上このように解説します。)
PayPay銀行が「この人は借金を長期で滞納している」という事実を信用情報機関に共有すると、そのような金融事故情報がデータベースに数年間登録されることになります(=ブラックリスト登録)。こうなると、今後新たに借り入れをする際や融資を受ける際、クレジットカードの申し込み・利用・更新をする際の審査で不利になることが多くあります。貸金業者や金融機関は信用情報機関にある個人の事故情報を参照し、支払い能力を審査するためです。
審査担当者は、申込者に借金滞納を事実があったことが分かると、支払い能力に疑問を持ち審査に落としてしまうのです。
借金滞納によるブラックリスト登録の期間は、通常完済から5年が一般的です(債務整理をした場合は5~7年程度)。
3.PayPay銀行カードローンを返せない時の解決策
スキップや分割払い、一時的な支払い猶予などではとてもカードローンの完済ができないときには、次の4つの方法で対応することが考えられます。
- 借り換え
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
(1) カードローンよりも安い金利で借り換える
ネット銀行のカードローンは、銀行カードローンの中でも金利の負担が重い商品です。他の金融機関で借り換えるだけでも返済負担が軽くなる場合があります。
しかし、ネット銀行カードローンの返済に行き詰まったときには、すでに多額の借金を抱えている場合が多いと思われます。
カードローンの他にも、消費者金融やクレジットカード料金の負債を抱えているケースがあるでしょう。
借金が多額過ぎるケースや、多重債務状態に陥っているケースでは、借り換えやおまとめローンで対応することは難しいでしょう。
(2) 任意整理で利息負担を減らす
「任意整理」は、債務整理の中でも裁判所を通さない唯一の方法で、債権者との指摘交渉を通して将来利息の免除・減額を行います。
利息の負担を減らした上で、ローンの残額を〜60回(5年)程度の分割で返済できるだけの収入があれば、PayPay銀行銀行カードローンを任意整理で解決することができる可能性が高いでしょう。
任意整理では元金の減額はできません。
しかし、「利息の負担が重くてなかなか借金が減らない」「銀行カードローンだけ整理して、他の借金は引き続き支払いたい」ケースなどでは非常に有効な方法です。
なお、任意整理で解決できれば、他の債務整理方法と比べて誰にも知られずに借金を解決できる可能性が高いです。
(3) 個人再生で元金から大幅に減額する
任意整理による減額では返済しきれないほどの多額の借金を抱えた場合でも、裁判所に個人再生を申し立てると借金を元金から大幅に圧縮してもらえる可能性があります。
たとえば、500万円の借金は最大で100万円まで減額される可能性があります(減額率や借金の総額と手持ちの資産額によって変動します)。
個人再生では、借金を圧縮した上で残務を原則3年で分割返済します。
500万円の借金が100万円に減額されれば、毎月28,000円ほどの返済額となるのです。
また、個人再生を利用すれば、住宅ローンの残ったマイホームを手放さずに他の借金を解決できる場合があります(住宅ローンはこれまで通り支払い続けることになります)。
しかし、個人再生の手続きは非常に複雑で、必要書類も多くなるため、必ず弁護士のサポートを受けるようにしましょう。
(4) 自己破産で借金を全額免除してもらう
近年では、銀行カードローンを原因とした自己破産も増えています。
自己破産は、裁判所の許可を得ることで借金を全額免除してもらえる唯一の債務整理方法です(税金などの公租公課を除く)。
なお、自己破産をすると不動産(マイホーム)や高価な車、ブランド品などの価値ある資産は処分され、債権者に配当されます。
しかし、今後の生活に必要な現金、家電・家具(テレビ・冷蔵庫等)、仕事道具などは手元に残すことができます。
また、破産手続き開始後に得た収入もすべて自由に使うこともできます。
自己破産をするから無一文になる、ということはありません。
自己破産のデメリットなどについてご不安な点は、弁護士に相談いただければ具体的にお答えさせていただきます。
4.まとめ|カードローンの借金は弁護士へ相談を
銀行カードローンをはじめとした借金の返済に行き詰まったときには、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
早期に最善の対応をすれば、デメリットを最低限におさえて借金問題を解決することができます。
借金問題は、1人で抱え込むことが一番よくありません。
借金でお困りの時には、債務整理の経験が豊富な弁護士が多数在籍している泉総合法律事務所までお気軽にご相談ください。