借金返済 [公開日]2018年6月11日[更新日]2020年12月10日

サブリースの問題点|実際のトラブルと対処策について

借金の原因には様々なものがあります。
中には「サブリース」など、社会問題になるほどのトラブルとして報道されたものも少なくありません。

サブリースという言葉にピンとこなくても、「家賃保証」や「レオパレス」などのキーワードでと思い出す人がいるかもしれません。
あるいは既にサブリースが原因のトラブルのせいで、多額の借金を抱えてしまっている人もいるでしょう。

この記事では、サブリースにまつわるトラブルや、その解決方法について解説していきます。
サブリースに関する問題を抱えている方はぜひお読みください。

1.サブリースとは?

サブリースとは、自分が持っているマンションやアパートなどの不動産をサブリース会社に貸し、サブリース会社が入居人を見つけて転貸することを認める契約形態です。

物件のオーナーは自分で入居人を募集する手間を省けるうえに、物件の管理や家賃の回収などの面倒なことをサブリース会社に任せておけます。

サブリース会社は回収した家賃から手数料を引き、残りを物件の持ち主に振り込みます。

サブリース会社の中には「家賃保証」を目玉にしているところもあり、通常の賃貸経営にはつきものの「空室リスク」を避けられるのが、オーナーにとって大きなメリットとなります。

空室があるとその物件からは家賃収入を得ることができませんが、サブリースではサブリース会社に建物を一棟まるごと貸し、サブリース会社から一棟分の家賃をもらえます。
このため実際の入居者がいなくても、建物の持ち主は家賃収入を得ることができます。

極論すれば、物件の持ち主は賃貸経営にタッチすることなく、通帳の口座残高が増えていくのを見ているだけで済むのです。

高齢で賃貸物件を管理できなくなった人や普段働いていて賃貸経営ができない人にとって、サブリースはうってつけのシステムと言えます。

2.サブリースに関するトラブル

一見すると物件の所有者にとっては手間を減らして収入を得られるという大変魅力的なサブリースですが、実際にはトラブルが頻発し、冒頭で述べたように社会問題にまで発展したケースもあります。

どういったトラブルが起きたのか、例とともにご紹介します。

(1) 「家賃保証」に罠がある

既に述べたように、サブリースを行う会社は「家賃保証」を謳って物件のオーナーと契約することがあります。

例えばかつてのレオパレスは「家賃収入30年保証」を掲げていました。
オーナーの中には「30年間同一の家賃が保証される」と思って契約を締結した人もいましたが、実際には10年後からは家賃の見直しが可能である契約となっていました。

しかし、そのことを理解しないまま契約したオーナーもいたため、10年後以降に家賃の見直しを迫られてトラブルに発展しました。

また、レオパレスなどは経営の悪化を理由に10年を待たずして家賃の減額、または契約の解除を申し出ることもありました。

オーナーの中には家賃収入を期待してローンを組んで建物を建築した人もおり、家賃の減額や契約解除をされるとローンが返済できなくなる人もいました。

(2) 高額なリフォーム・修繕費

建物は経年劣化しますし、トレンドに合わせてリフォームをしなければ入居者が見つからないこともあります。
その修繕費やリフォーム費用はオーナーの負担です。

サブリースでは、サブリース会社がオーナーへリフォームや修繕費を請求することが可能な契約になっています。

しかしサブリース会社の中には、自分で過度なリフォームや修繕を行い、その費用をオーナーに請求して利益を上げるところもあると言われています。

中には高額な修繕費やリフォーム代金を支払ったにもかかわらず、大した工事が行われていなかった事例もあるようです。

また、契約の中に「◯年後に必ず修繕工事すること」「指定された業者を工事に使うこと」などの条項が契約に盛り込まれることもあり、オーナーが知り合いの工務店等に依頼できないなど、自由度の低さも問題となっています。

(3) 解約が難しい

サブリース会社との契約に適用される法律は主に「借地借家法」です。
そしてこの法律は、基本的に「借主」を保護するように設計されています。

サブリース会社の不当な行為や主張を受け入れられない場合でも、オーナー側に正当な理由がなければ、借主が保護される関係上、簡単にはサブリース契約を解除できないことが問題となりました。

「サブリースをやめたい」「自分で賃貸経営をしたい」と考えても、サブリース契約がネックになって自分の建物を自由にできないことがあるのです。

3.サブリース問題への対策

数々の問題点が浮き彫りになったため、国も法改正に乗り出しました。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」という法律にサブリース業者への規制や罰則などが盛り込まれ、令和2年6月に公布されています。

しかし、現在トラブルの真っ只中にいる方や、サブリース物件の赤字で苦しんでいる方にとっては、この法改正は遅すぎたと言わざるを得ません。

サブリースによるトラブルや赤字に対して、どのような対応をすれば解決になるのでしょうか?

(1) 減額請求に安易に応じない

サブリース会社から家賃の減額を求められて簡単に応じると、赤字が増す可能性があります。

この場合は入居者が現れやすいように、物件に付加価値を付けることを考えてはいかがでしょうか?
例えばペット可、楽器演奏可、ルームシェアOKにするなどです。

入居者が見つかればサブリース会社としても嬉しいはずなので、可能であれば提案してみることをおすすめします。

また、近隣の家賃相場を調べて、それを指摘してみるのも手です。

(2) 修繕やリフォームに注意する

ただでさえ赤字のところに修繕費やリフォーム工事費が重なっては、ますます傷が深くなってしまいます。

修繕やリフォームに関してはサブリース契約時に注意すべきですが、契約後であってもサブリース会社から言われるがまま修繕やリフォームをしてしまうのは問題です。

相見積もりを要求できればいいのですが、それが無理な場合でも、リフォームや修繕にかかるお金の根拠を明確にしてもらいましょう。

(3) サブリース会社を変更、または自分で賃貸経営する

赤字が止まらないのであれば、もっと収益を出してくれそうなサブリース会社に乗り換えるのも手です。
可能であれば自分で賃貸経営をするのもいいでしょう。

正当な理由があればサブリース会社との契約の解除は可能です。
どういったことが正当な理由となるのかは、弁護士と相談して確認し、会社の乗り換えや自力経営も視野に入れてください。

(4) 債務整理をする

赤字のせいで借金があるのであれば、債務整理をすることで解決できます。
債務整理には以下の3つがあります。

  • 任意整理:債権者と交渉して利息や遅延損害金をカットしてもらい、支払いスケジュールも見直してもらう方法です。
  • 個人再生:裁判所に申立てを行って、借金を5分の1~10分の1程度に減額してもらう手続きです。減額後の借金は原則3年程度かけて毎月分割返済します。
  • 自己破産:成功すれば借金がゼロになりますが、当面の生活に必要な財産以外は裁判所によって処分されてしまいます。不動産などの大きな財産はほぼ間違いなく処分の対象となるため、そのデメリットは覚悟しなければなりません。
【裁判は有効か?】
相手の主張や態度にどうしても納得ができない場合は、弁護士に裁判の相談してみるのもいいかもしれません。サブリースをめぐる問題では、実際に多くの裁判が行われています。
ただし裁判には時間がかかるため、相手から損害を賠償してもらえる見込みがあったとしても、赤字をすぐに解消できるわけではありません。
根本的な解決になるかどうかはケースバイケースなので、弁護士と相談しながら慎重に物事を進めた方がいいでしょう。

4.サブリースの問題は弁護士に相談を

サブリースは、トラブルに巻き込まれなければ快適に賃貸収入を得られるシステムです。

しかし、実際には様々な問題があり、トラブルに巻き込まれると人生設計自体が大きく狂ってしまう可能性があります。

赤字がどうしても解消できないようであれば、早めに弁護士へご相談ください。

弁護士は法律の専門家であり、借金問題解決のプロであり、困っている方々の味方です。
あなたにとってベストな方法で様々な悩みを解決できるので、サブリース問題についても適切なアドバイスと対応をしてくれるでしょう。

なお、泉総合法律事務所では、サブリース問題のご相談はお受けしておりませんが、「サブリースが原因で借金が増えて返済できないのでどうにかしたい」といった債務整理のご相談はお受けしております。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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