過払い金返還請求ができる可能性|時効を迎える前に早めの弁護士相談を
一時期は、CMなどでもよく「過払い金」が取り上げられ、過払い金請求ラッシュとも言われるほどの状況になっていました。
しかし、実は返還請求できるケースは現状滅多にありません(2023年現在)。
とはいえ、まだ返還請求できることも有り得ますので、「過払い金があるかも」とお考えの方は、一日でも早く弁護士に相談してみることをお勧めします。
今回は、過払い金請求の現状と今後の対策について解説していきます。
1.過払い金返還請求とは?
(1) 過払い金発生の仕組み
お金の貸し借りをするときは、法律で利息の上限が決められています。
利息の上限を定めた法律には、「利息制限法」と「出資法」があり、現在ではその上限を超えた利息を貸すと、行政処分や刑事罰の対象となります。
利息の上限は借入金額によって異なりますが、現在では利息制限法・出資法共に、利息は最高でも20%以下と定められています。
しかし、過去には利息制限法と出資法の利息上限は異なっており、実質的に金利の上限は2つ存在していました。
その基準の違いが、過払い金発生の温床となっていたのです。
それぞれの法律の内容と金利の変遷を見てみましょう。
①利息制限法
利息制限法は、業者による不当な搾取から消費者を守るための法律です。
利息制限法の上限金利は10年前と大きな違いはありません。ただ、以前は上限を超えた利息を貸しても罰則はありませんでしたが、現在では行政処分の対象となるなど違反への取り締まりは厳しくなっています。
利息制限法による上限金利の詳細は以下の通りです。
- 元本10万円未満:年率20%
- 元本10万円以上100万円未満:年率18%
- 元本100万円以上:年率15%
現在では全ての貸金業者がこの利息制限法の上限金利を超えてお金を貸すことは禁じられています。
しかし、過去には(旧)出資法で定められた基準の利息でお金を貸していたケースも多いです。
②出資法
出資法は、主に業者がお金を貸し借りする際の決まりについて定めた法律です。出資法でもお金を貸す際の利息の上限が定められています。
今でこそ出資法の上限は20%となっていますが、昔は非常に高く設定されており、昭和の頃には上限金利が109.5%という時代もありました。
仮にこの金利で100万円を借りると、1年後は利息だけで109万5千円になり、元利合計で209万5千円を返さなければなりません。今では考えられないほどの高金利です。
しかし、こうした高利貸しが社会問題になるにつれ、出資法の上限金利は見直され、2000年代前半には上限金利が29.2%までに引き下げられました。とは言え、依然として利息制限法の上限金利との溝は埋まりませんでした。
この2つの上限金利の間(20%~29.2%)の金利は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、それが過払い金の発生の根源となっていたのです。
③貸金業法
貸金業法は、貸金業者の業務や登録を規制する法律です。
貸金業法には、2006年まで「みなし弁済」という制度がありました。
みなし弁済とは、「利息制限法の上限を超える利息でも、一定の要件を満たせば有効な利息の弁済があったもの」とする制度です。この制度があったことで、利息制限法の上限金利(年~20%)と出資法の上限金利(年29.2%)の間の金利を適用することができたのです。
みなし弁済は消費者にとって非常に不利な制度で、利息制限法による消費者保護を実質的に骨抜きにするものとして、当時でも弁護士・司法書士などの専門家から多くの批判がありました。
(2) 過払い金返還請求が認められた経緯
みなし弁済やグレーゾーン金利が社会問題化した流れを受けて、2006年には最高裁でみなし弁済の適用を否定する判決が下され、2007年にはみなし弁済撤廃も含め貸金業法を改正することが決まりました。
この決定により、2007年にはほとんどの貸金業者が金利を利息制限法の範囲内(20%以下)に引き下げました。
そして2010年には改正貸金業法が完全施行され、みなし弁済は完全撤廃。また同年出資法の上限金利も29.2%から20%に引き下げられ、グレーゾーン金利も撤廃されました。
現在では、利息制限法の上限を超えると行政処分の対象となるだけでなく、上限を超えた分の利息は「過払い金」として払い戻しの請求をすることもできます。
そして、過払い金は過去に遡って返還請求をすることもできるので、2007年以前に20%を超える金利で業者からお金を借りていた人についても、超過分を返還請求することが可能となりました。
2.過払い金返還請求の時効
しかし、過払い金請求には時効があり、時効が過ぎると請求する権利がなくなるので注意が必要です。
過払い金返還請求の時効は10年です。
最高裁が過払い金返還請求について全面的に認めたのが2006年で、貸金業法の改正が決まったのが2007年です。
それ以降はほとんどの業者が利息制限法の範囲内の利息としているので、実質的に対象となるのは2007年以前にお金を借りていた人です。
よって、ほとんどのケースが2017年に過払い金返還請求の時効を迎えてしまいます。
とは言え、過払い金返還請求権の時効の起算点は「完済時から」なので、2007年以前から借入れ、その後も同じ業者から借入を繰り返している人であれば、まだ過払い金返還請求ができる可能性があります。
たとえば、2005年から借りていた借金を完済したのが2015年であれば、(過払い金請求は完済時から10年なので)時効は2025年となります。
しかし、実際には2007年以前の借金は完済している人がほとんどです。
また、2008年以降に借入れた場合で法定利息を超えて過払い金が発生しているというパターンもほとんど有りません。
そのため、現実的には2017年~2018年が過払い金請求ラッシュの最終局面となっていました。
3.過払い金返還請求は早めのご相談を
このように、過払い金請求権は大半が時効を迎えています。
とは言え、2007年以前からお金を借りていて、同年以降も継続的に同じ業者から借入をしている人は、2007年以前の過払い金について2017年以降も過払い金請求できる可能性はあります。
もしまだ過払い金返還請求をしていないという方は、お早めに泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。時効を迎えておらず返還請求ができる可能性も0ではありませんので、専門家と一緒に問題を解決していきましょう。
ご相談は何度でも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせいただけたらと思います。