東京電力の電気代を滞納してハガキが届いたらどうすればいい?
「お金がなくて電気代を滞納してしまった」「電気代を払えとハガキが来た」「このまま支払わないと、いつ電気が止まるの?」
本記事では、こういった悩みを抱える皆様のために、電気代を支払わなければその後どうなるのかを紹介します。
なお、既に電気を止められてしまったという方は、以下のコラムをご覧ください。
[参考記事]
電気代が払えない!電気代滞納で電気が止まった時の対処法
※電気代を滞納した場合の処理は電力会社によって異なりますが、本記事は東京電力についての内容に特化しています。
1.東京電力から督促がきた後の流れ
電気代の支払期限はどの電力会社も一律に定めています。ずばり「検針日の翌日から30日目」が支払期限です。
最初に提示される支払日は検針日を基準に決められているのです。
口座引き落としを使っていれば毎月自動的に電気料金が引き落とされますが、東京電力では口座残高が足りないと約10日後に再振替が行われます。
再振替のときにも口座に残高がない場合は、引き落としができず滞納となってしまい、振込用紙が自宅に届くことになります。
また、口座引き落としを使っていない場合は自宅に電気料金払込用紙が届きますが、これを使って支払わないとやはり滞納となります。
ここからは、実際に滞納したときに、東京電力がどのように督促をするのかを見ていきましょう。
(1) 緑色のハガキが届く
最初の督促は「緑色の圧着ハガキ」です。
圧着されている部分を開くと、電気料金を滞納している旨と、滞納料金、支払期限、支払用のバーコードなどが記されています。
この時点ではまだ「督促」の段階なので、記載してある期日までにこのハガキを使って支払えば問題ありません。
コンビニなどにハガキを持っていって「電気料金を支払いたいのですが」と言ってハガキを出せば、店員が手続してくれます。
(2) 赤い封筒またはハガキが届く
それでも支払わないでいると、最初の支払日から50日程度経過した頃に、自宅に赤い封筒またはハガキが届きます。
このときの書面には、最終支払期日や送電を停止する日などが記されています。
最終支払期限までに電気料金を支払わない場合、その後いつ送電が停止されてもおかしくありません。
実質的な最終通告書、送電停止前通知(送電停止予告書)であると考えてください。
(3) 送電の停止
それでもお金を払わなければ、そのうち電気が止められてしまいます。
送電を再開してもらうには、滞納分の料金を支払って電力会社に連絡するしかありません。
なお、単に料金を支払うだけだと、電力会社が料金を支払われたことに気が付かずに送電開始の手続まで時間がかかることがあります。
一刻も早く送電してもらいのであれば、電力会社へ「料金を支払ったので送電を再開してください」と連絡してください。
東京電力の人が自宅まで来て督促をする可能性はゼロではありませんが、基本的な連絡はハガキや封書で行われます。
昨今は電力会社の従業員を騙った詐欺も横行しているため、うかつに応対すると犯罪に巻き込まれてしまうかもしれません。電力会社を名乗る電話であっても、少しでも疑問を持ったらうかつに対応せず、不安ならば警察に連絡するようにしましょう。
2.電気は何ヶ月で止まる?
(1) 最終期限日
東京電力の場合、電気を止めるのは「検針日の翌日から57日目以降」といわれています。
実際には地域差があるので数日の猶予がありますが、「検針日の翌日から57日目まで」に支払いをしない場合、いつ送電を止められても不思議ではありません。
このような「この日までに支払わなければ送電を停止しますよ」と予告された日を「最終期限日」と言います。
最終期限日について、各電力会社は大体以下のような期限になっています。
- 東京電力…支払期限の翌日から2~3週間後(検針日の翌日から57日目以降)
- 北陸電力…支払期限の翌日から2~3週間後
- 中国電力…支払期限の後に通知が来るので、その期日
- 九州電力…支払期限の翌日から10日目
ただし、離島などの場合は地理的な事情もあって送電までの間隔が10日程度延びることがあります。
(延びたとしても大した日数ではないので、過信はしないでおきましょう。)
(2) 送電停止通知
なお、電気は突然止まるわけではなく、「もうすぐ送電を停止します」という連絡が先に来ます。これを「送電停止通知」と呼びます。
この通知書に支払期限が記載してある場合、その日までに電気料金を支払えば問題ありません。
実際にいつ送電停止になるかは、電力会社によって違います。
原則的には、送電停止通知に書かれている期日を過ぎたら、いつ送電が止められてもおかしくありません。
しかし、以下の電力会社については少し事情が違うので紹介していきます。
- 東京電力…検針日の翌日から57日目までに未払いの場合、いつでも止まる可能性がある
- 北海道電力…送電停止通知の発送後、1週間~10日程度で止まる
- 中国電力…送電停止通知の発送後、1週間前後で停止
- 四国電力…送電停止通知の発送後、5日前後で停止
- 沖縄電力…送電停止通知の発送後、1週間前後で停止
以上から、「電気代を滞納すると何ヶ月で止まるか?」ということがわかります。
検針日を基準にすると約2ヶ月(最初の支払期限から約1ヶ月未満)で送電停止になるのです。
(3) 個別の判断の要素
基本的にはここまで述べてきた通りですが、実際には違うこともありえます。
電力会社のホームページに送電停止までの目安が記載されていても、現実的にはその通り運用されているとは限りません。
例えば、土日は電気の停止をしないというケースがあります。
生活保護を受けているなど経済的に苦しい立場の人の場合は、個別に判断される可能性もあります。
「支払期限の翌日から○日」というのは、大体の目安として考えておいてください。
ちなみに送電停止から2週間程度経過した場合、電力会社から送電契約を強制解約されてしまうことがあります。こうなると滞納分を全部支払わなければ再契約してもらえないのが一般的です。
遅延利息なども請求されて損害が増えてしまうので、強制解約になる前に対処することが大切です。
3.電気代を払えない場合の対策
もし、電気代を払えない、このままでは電気を止められてしまう等でお悩みの場合は、以下のことを試してみてください。
(1) 電力会社に相談する
電気代を滞納してしまいそう・既に滞納してしまっている場合、まずは事情を説明して送電停止を遅らせてもらうか、分割払いで入金させてもらえるように電力会社に相談してください。
なかなか相談には応じてもらえず徒労に終わったという声も多いようですが、生活保護を受給しているなどの事情がある場合は何らかの配慮をしてもらえる可能性があるかもしれません。
(2) 債務整理を考える
電気代を払えない理由が他の借金なのであれば、弁護士に頼んで債務整理をすると借金の支払いが楽になり、電気代を払う余裕ができるかもしれません。
また、自己破産ならば過去の電気代の支払い義務が免除されます。
債務整理には主に3種類あるので、それぞれと電気代との関係を説明していきます。
任意整理
各債権者と個別に交渉して、将来の利息や遅延損害金をカットしてもらう手続です。
ただし、電気代は任意整理の対象になりません(電気会社は任意整理に応じてくれないのが通常です)。
電気代以外の借金を任意整理の対象にすることで、他の借金の支払い負担を軽減して電気代を払うことができる可能性があるので、多重債務にお悩みならば弁護士に一度相談してみると良いでしょう。
個人再生
裁判所を通して借金を元本から大幅に減額してもらう手続です。
しかし、個人再生手続前6ヶ月分までの電気代は「先取特権」という債権にあたり、減額できずに支払う必要があります。また、個人再生手続開始後の電気代についても当然ながら支払義務が発生します。
結論として、個人再生をしても、支払うべき電気代について変わらないことがほとんどです。
任意整理と同じく、電気代以外の借金を減らすことで電気代を支払うことを考えるべきでしょう。
自己破産
裁判所の許可を得た上で借金をゼロにするための手続です。
自己破産に成功すると、滞納していた電気代を含めたほとんど全ての借金の支払い義務が免除されます(税金などの公租公課を除く)。
その代わり、不動産や査定額の高い車など、債務者の持つ一定以上の財産は裁判所により処分・換価され、債権者に配当されてしまいます。
(当面の生活に必要な最低限の財産は手元に残しておくことができます。)
なお、電力会社は自己破産などの債務整理を理由として契約を拒むことはできないので、破産後に送電契約を再び締結することも可能です。
4.借金があれば弁護士に相談しよう
借金のせいで電気を止められそうな場合は、できるだけ早く弁護士に相談してください。
相談者の事情に応じて最適な債務整理を迅速に検討してくれますし、実際の手続も代行してくれます。
うまくいけば生活を劇的に改善することも可能なので、借金の支払いが苦しいようであれば、躊躇うことなく弁護士事務所に相談することをお勧めします。
借金に関するお悩みは、泉総合法律事務所の無料相談をぜひご利用いただければと思います。