借金返済 [公開日]2020年2月27日[更新日]2023年2月14日

弁護士法人引田法律事務所から督促・請求された場合

楽天カードなどの支払いを滞納していると、突然「弁護士法人引田法律事務所」から受任通知や督促書が届く可能性があります。
「0120」で始まる電話で督促されるケースもあり、請求を受けた方が「詐欺ではないのか?」と考えることも少なくありません。

しかし、弁護士法人引田法律事務所は実在の法律事務所であり、ここからの請求は(弁護士や法律事務所の名を騙った架空請求でない限り)基本的には詐欺ではありません。
請求を無視していると、裁判を起こされたり、最終的には給料や口座などの差し押さえの危険も発生します。

今回は、弁護士法人引田法律事務所から通知書や請求書が届いたり、電話がかかってきたりしたときの対処方法をご説明します。

1.弁護士法人引田法律事務所とは

弁護士法人引田法律事務所は、東京に実在する法律事務所です。代表弁護士の引田紀之先生のお名前から「引田法律事務所」という名称となっています。

引田法律事務所は、債権回収業に非常に力を入れています。
債権回収業とは、他人の代理人として債権を回収する法律業務です。債権者本人が債権回収するのが困難なとき、弁護士がその代理で債権を回収します。

弁護士法人引田法律事務所は、かつて破産した消費者金融「武富士」の事業を引き継いだ「日本保証」の代理人となっています。昔「武富士」から借金をして返済していない人の元へ引田法律事務所から督促が届くケースもよくあります。

武富士以外にも「PayPayカード(旧ワイジェイカード)」などのカード会社、「パルティール債権回収」などの債権回収会社からも債権回収の委託を受けています。

2.借金滞納で引田法律事務所から督促が来る仕組み

では、なぜ、借金を滞納していたら、引田法律事務所から督促されるのでしょうか。

(1) 債権者が引田法律事務所に回収を委託

借金をしたら、当然ですが借りた相手に返済しなければなりません。債務者が支払いをしない場合、債権者は「取り立て」を行なう必要があります。

しかし、債権者の中には、自社に債権回収のノウハウが乏しい企業もありますし、未払い件数が多いとその全てに自社で対応するのは現実的に難しくなる可能性もあります。

そこで、多くの貸金業者は「債権回収のプロ」へ回収業務を任せます。

このようなときに、債権者から委託されて債権回収を任されるのが、引田法律事務所のような弁護士や債権回収会社です。

消費者金融やカード会社などの債権者は、引田法律事務所に債権回収を依頼することで効率的に債権回収を行ない、自社の本業に集中することが出来ます。
一方、引田法律事務所は、回収出来た金額から一定額を弁護士費用として受け取れるので、継続的に売上を発生させることが出来ます。

このような仕組みにより、債務者の元へ「引田法律事務所」から督促状が送られてきます。

(2) 債権回収会社が債権回収を委託

引田法律事務所は、消費者金融やカード会社だけではなく「債権回収会社」からの債権回収も受託しています。

債権回収会社とは、債権回収業を専門とする業者です。たとえば楽天カードは「パルティール債権回収株式会社」という債権回収会社に債権回収を委託しています。

その債権回収会社が「自社では回収困難」と判断した債権を、引田法律事務所に回収委託しています。

この場合、債務者にとって、元々の債権者は楽天カードですが、楽天カードがパルティール債権回収に回収委託し、さらにパルティール債権回収が引田法律事務所に回収委託するという2段階の委託が発生しており、債務者からみると、聞いたことのない名前から請求がくるので、状況を把握しにくいかもしれません。

引田法律事務所からの通知書に「パルティール債権回収株式会社からの委託により」という聞き覚えのない会社名が書かれていても、詐欺ではないので無視してはなりません。

[参考記事]

債権回収会社(サービサー)からの督促は無視厳禁!突然の通知の対処法

3.引田法律事務所からの督促の流れ

引田法律事務所からの一般的な督促の流れは、以下のようなものとなります。

(1) 受任通知が届く

まずは引田法律事務所から「本件の債権回収についてはすべて当事務所が受任しました」という受任通知書が届きます。

いきなり電話やメールが届いたり訪問されたりすることはなく、まずは郵便で連絡があるのが多いようです(逆に、いきなり電話やメールで請求があった場合は、弁護士や法律事務所の名を騙った詐欺の可能性もあります)。

(2) 電話や手紙で督促される

その後、「催告書」「法的手続移行通知」などの簡易書留による郵送や、電話での督促が行なわれます。
引田法律事務所からの督促の電話は、「0120」で始まる番号からかかってくるケースもあります。

(3) 支払督促や訴訟をされる

電話や手紙での督促を受けてもなお払わなければ、裁判所から支払督促が送られてきたり、訴訟を起こされたりする可能性があります。

支払督促」が送達された日から2週間以内に異議申立を行わなければ、「仮執行宣言付支払督促」が送達され、債権者は強制執行(後述の差し押さえ)が可能になります。

また、訴訟により債権者が勝訴判決を得た場合も強制執行が可能となります。

[参考記事]

簡易裁判所からの支払督促・訴状を受取拒否したらどうなる?

(4) 差し押さえをされる

強制執行により、給料や預貯金、保険や車などの財産を差し押さえられるリスクが発生します。

給料ならば手取りの中から毎月一定額が継続して差し引かれてしまいますし、預貯金を全て差し押さえられて残高0円となってしまうケースもあります。

[参考記事]

借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事

4.引田法律事務所から請求を受けた場合の対処方法

上記のような差し押さえを避けるためにも、引田法律事務所から請求を受けた場合は早めに対応をすることが大切です。

(1) 本物かどうか確認

引田法律事務所から請求が来たら、まずはその請求が本物かどうか(本物の法律事務所からの請求か否か)を確認しましょう。

「弁護士法人引田法律事務所」からの「受任通知書」が届いており、住所や電話番号も実在する事務所に合っていて、身に覚えのある内容なら、たいていは本物と言えます。

ただし、引田法律事務所からの督促が、同事務所を名乗った架空請求詐欺である可能性もないとはいえません。見分けるには、以下のような点に着目してください。

  • 事務所名や住所が間違っていないか
  • 身に覚えのない請求ではないか
  • SMSやメールでの請求

「サイト利用料金」「SNS利用料金」などよくわからない請求の場合、詐欺の可能性が高いと言えます。また、SMSやメールでの請求受任通知も送られていないのに、いきなりSMSやメールで請求された場合には、やはり詐欺の可能性が高いといえます。

ただ、引田法律事務所は債券回収用にフリーダイヤルを利用しているようなので、0120から始まる番号で督促を受けたとしても、それだけでは詐欺とは限りません。

心配でしたら、届いた請求書を持って弁護士に相談してみることがお勧めです。
(ご自身で弁護士法人引田法律事務所に確認の電話をした場合、後述の時効の更新をしてしまう危険がありますのでご注意ください。)

(2) 時効が成立していないか確認

請求が本物だとしても、「借金の消滅時効」が成立していれば、支払いをせずに済みます。

最終支払日から5年が経過していれば時効が成立している可能性が高いので、まずは自分でチェックしましょう。
不明な場合、JICCやCIC等から個人信用情報の開示を受ければ、最終支払日を確認出来る可能性があります。

もし時効が成立していたら、法律事務所宛に消滅時効の援用通知書を送ります(消滅時効は、一定の期間が経過しただけでは効果は発生せず、「消滅時効を援用します」という意思表示を債権者に対して行う必要があります。援用せずに債務を承認等してしまうと、時効が更新されカウントが振り出しに戻ってしまいます)。

なお、以上の時効の調査・援用に関する作業は、債務者本人でも行なえますが、失敗を避けるためにも弁護士などの専門家に依頼して行うことをお勧めします。

[参考記事]

消滅時効援用通知書の記載内容・書式・書き方について

(3) 引田法律事務所に分割払いの交渉

消滅時効が成立せず、支払義務があるなら、引田法律事務所に連絡を入れて支払方法を話し合う必要があります。

一括で支払えなければ、条件次第ではありますが、分割払いも受け入れてくれる可能性もあるので、無視せず相談しましょう。

(4) 債務整理を検討

分割でも支払えない場合や、他にも借金があって首が回らなくなっている場合には、債務整理で解決しましょう。

任意整理をすれば、借金の利息をカットして月々の返済額を支払える範囲に抑えて完済まで支払いを継続できる可能性があります。

個人再生をすれば、遅延損害金や他の借金も含めて大幅に減額出来ますし、住宅ローン付きの家を処分せずに残せる(住宅ローン以外の借金は個人再生で減額しながら、住宅ローンだけは約定返済を続けることで、家の競売を回避出来る)余地もあります。

自己破産をすれば、原則として全ての借金が免除されます(但し、公租公課や養育費の滞納など、破産しても免除されない性質の債権もあります)。

弁護士から督促を受けている段階でも債務整理は可能なので、諦めてはいけません。

[参考記事]

債務整理とは?わかりやすく解説!|方法・種類・メリット

5.借金問題でお困りの方は泉総合法律事務所へ

泉総合法律事務所では、借金トラブルにお困り方々への援助に力を尽くしています。

当事務所所属の弁護士は、あなたに代わって引田法律事務所と交渉を行なうことも可能です。
債権者や債権回収会社だけでなく、弁護士事務所などからも督促が来て困っているという方は、まずは一度、お気軽に当事務所の無料相談をご利用ください。何かしらの解決の糸口が見つかる筈です。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
電話番号

受付時間: 平日9:3021:00/土日祝9:3018:30

債務整理コラム一覧に戻る