みずほ銀行カードローンが返せない場合の対応策
消費者金融より低金利で、大口の融資を受けやすい銀行カードローンは、「ちょっと手元にお金が足りないとき」「つなぎ融資を利用したい場合」など、さまざまな場面に手軽に利用できる点が便利です。
しかし、借りた当初は返済計画があっても、病気や怪我、リストラ、減給など、さまざまな理由で返済が苦しくなるケースもあります。
今回は、数ある銀行カードローンの中でも全国展開しているメガバンク「みずほ銀行」カードローンについて、その特徴と返済が苦しくなったときの対処方法を解説します。
1.みずほ銀行カードローンの特徴
みずほ銀行カードローンは、メガバンクである「みずほ銀行」が実施している銀行カードローンです。
利率は年利2.0%~14.0%であり、借入金額に応じて変わります。銀行カードローンとしては特に低いというわけではありませんが、消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどと比べると利率が低めになっています。
なお、みずほ銀行で住宅ローンを利用している方の場合、基準のカードローン金利から年率0.5%が引かれます(ただし、住宅ローンと銀行カードローンは同じ支店で利用する必要があります)。
みずほ銀行カードローンの限度額は800万円とかなり多額です。
実際にみずほ銀行自体が大口融資に積極的であり、初回取引でも100万円以上の融資を受けられるケースがあります。
低金利・限度額が高いなどの特徴があるみずほ銀行カードローンですが、これを利用するための条件は厳しくありません。正社員や公務員だけではなく、派遣社員や契約社員、自営業者やパート・アルバイトなどの人も利用できますし、主婦でも審査に通ります。
収入の目安としては、税込で60万円以上あることが望ましく、勤続期間は3ヵ月以上あれば十分と言われています。
また、みずほ銀行カードローンを利用するためには、みずほ銀行での口座開設が必要です。口座なしにカードローンだけを利用することはできません。
みずほ銀行カードローンにおける借入は、基本的にATMのみで行います。
2.返済が滞ったらどうなる?
では、みずほ銀行カードローンを利用して返済が滞るとどのようなことが起こるのか、順番に見ていきましょう。
電話での取り立て → 督促状の送付 → 一括請求 → 代位弁済通知 → 訴訟・支払督促 → 強制執行・差し押さえ
(1) 電話、郵便で催促される
どこの銀行カードローンでも同じですが、支払期日までに入金をしないと、銀行から確認の電話がかかってきます。
通常は、支払期日の翌日に、カードローンやキャッシュカードを申し込んだときに記入した電話番号へと掛かってくるでしょう。携帯を登録していたら携帯にかかってきますが、自宅を登録していたら自宅にかかってきます。
電話にしっかり出て「うっかり入金を忘れていたので、数日中に払います」「怪我をしてしまい治療費でお金が足りないのですが、○日までには払います」などと説明し、次回の支払いの約束を交わし、その後約束通りきっちり支払いをしたならば、それ以上に問題が大きくなることはありません。
しかし、電話を無視したり、電話に出ても支払いをしなかったりすると、5日程度経過後に銀行から督促状が送られてくるでしょう。
督促状には、未払金と利息・遅延損害金の額が書いてあり、「一度連絡をください」とか「○日までに支払いをください」といったことが書かれています。
このときも、やはりきちんと連絡を入れて支払いをすれば、それ以上に問題が大きくなることはありません。次月からは引き続いて分割支払いができますし、通常はブラックリスト状態になることもありません。
(2) 強制解約され一括請求書が送られてくる
みずほ銀行からの電話や手紙による督促を長期で無視していると、滞納から2~3ヵ月ほど経過したときに、みずほ銀行との契約を強制解約されます。
また、内容証明郵便で一括請求書も送られてくるでしょう。
内容証明郵便とは、郵便局が記載内容を証明してくれるタイプの特殊な郵便であり、請求書を送るときや裁判を予告するときなどによく利用されます。
なお、ポスト投函ではなく手渡し式になっているので、家族が受け取ると借金の存在を知られてしまうこともあります。
銀行からの内容証明郵便には、「借金の残金を一括払いするように」と書いてあります。
なぜ突然一括払いになるのかと言うと、通常カードローンを利用するときには「借金を一定期間滞納すると、その時点での残金を一括払いする」という約定になっているからです。当初は分割払いをできる(=期限の利益がある)と定められていたものの、長期の滞納があっては債務者はこの権利を失ってしまうのです。
もちろん、一括請求額は遅延損害金と利息も足された金額です。
借金を滞納する人は分割払いでも支払いが厳しく滞納をしてしまっているのが通常ですので、このような残金一括請求をされても到底対応できないケースが多いです。
(3) 代位弁済が起こる
内容証明郵便による一括請求にも対応せず無視していると、自宅宛に「代位弁済通知書」が届きます(一括請求書と同時に届くケースもあります)。
代位弁済とは、保証会社がみずほ銀行に対し、カードローン残金とそれまでに発生した遅延損害金・利息を一括払いすることです。
銀行カードローンは保証人不要・無担保でお金を貸し付けているため、債務者が長期滞納した場合は保証会社が代わって返済することになります。
みずほ銀行カードローンの場合、「株式会社オリエントコーポレーション」が保証しているので、オリエントコーポレーションが代位弁済して債務者に通知書を送ってきます。
オリエントコーポレーションは、銀行に代位弁済をすると、債務者に対して代位弁済した全額の支払いを求めてきます。保証人(保証会社)には、主債務者に対する求償権が認められるからです。
求償権とは、代位弁済した保証人が主債務者に支払ったお金を返還請求できる権利です。
債務者としては支払い先が変わるだけと思うかもしれませんが、オリエントコーポレーションなどの保証会社は債権回収の業務に慣れているため、督促が更に頻繁になるほか、下記で説明する法的措置も粛々と行なってくるという点で注意が必要です。寧ろ状況は悪化していると言うべきでしょう。
なお、求償債権に対しても遅延損害金が加算されます。代位弁済額が大きかった場合には1日に加算される遅延損害金が高額になるので、放置すればするほどどんどん負債が膨らんでいきます。
[参考記事]
代位弁済をされたら弁護士に相談を!|住宅ローン・カードローン
(4) 法的措置(訴訟・支払督促)をとられる
オリエントコーポレーションが代位弁済しても支払いをせずに無視していると、保証会社が債権回収のために裁判所に申し立て法的措置に入る可能性が高いです。
具体的には、裁判を起こされる・支払督促が送付されることにより、放置を続けていると財産の差し押さえ(強制執行)が行われるようになります。
訴訟を提起された時、カードローンを借りて返済していないという事実がある限り、当然ながら真っ向から争っても負けてしまいます。
よって、対処するとしたら裁判外でオリエントコーポレーションと和解して分割払いを認めてもらうことを目指すことになるでしょう。
仮に訴状を無視していると、自動的に敗訴となり、裁判所が支払い命令の判決を出してしまいます。
判決では、オリエントコーポレーションが代位弁済した金額の一括払いを命令されます。この命令を無視していると、債権者(オリエントコーポレーション)から「差押え」(強制執行)をされます。
また、裁判所から支払督促が送られてきた場合、2週間以内に異議申し立てをして裁判外の和解交渉に持っていかないと、裁判よりもかなり短い期間で債権者は強制執行をすることが可能となってしまいます。
(5) 強制執行される
法的措置を取られても、一般的には支払いができないことがほとんどでしょう。
すると、債権者は強制執行を裁判所に申し立て、強制的に借金を回収することになります。
差し押さえの対象になるのは、給料や預貯金、生命保険、株式、不動産など、ありとあらゆる種類の財産です(家族名義の財産は差押えの対象になりません)。
会社員や公務員の場合、給料を差し押さえられる可能性が極めて高いです。
給料を差し押さえられても全額を取られるわけではありませんが、完済に至るまで延々と毎月の給料から一部が回収され、手取り額が減ってしまいます。
また、給料差押えを受けると、勤務先にも通知されるので、カードローンの支払いを滞納していることを知られてしまい、職場の居心地が悪くなる可能性が高くなります。
[参考記事]
借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事
以上のように、みずほ銀行カードローンを返済できない状態が続くと、最終的には強制執行により、安心して生活できない状態になってしまう可能性があります。
滞納しそうになったら、早期に対応することが重要です。
3.みずほ銀行カードローンを返せない場合にするべきこと
それでは、みずほ銀行カードローンを利用して返済ができなくなってしまった場合には、どのように対応すると良いのでしょうか?
(1) 借り換え
まずは、借り換えを検討する方法があります。
借り換えとは、借金を別の借金に借り換えることです。
たとえば、今の借金よりも金利の低いところから借りて返済すると、金利が減る分支払いが楽になることがあります。
ただし、借り換えは借金問題を借金によって解決しようとするものに過ぎず、有効になるケースは限られています。特に、銀行カードローンは元の利率が低いため、あまり有効ではありません。
ろうきんや公庫などを利用して大幅に金利の低い条件で借り換えができそうであれば、検討してみるのも良いでしょう。
また、複数の借金をしている場合には、金融機関が実施している「おまとめローン」を利用して借金を1本にまとめる方法もあります。
ただ、おまとめローンを利用したことにより返済期間が増え、かえって利息の総額を増えてしまうケースもあるので、弁護士としてはあまりおまとめローンも推奨できません。
(2) 親族からの援助
頼れる家族・親族などがいる場合には、借金の肩代わりをお願いするのも1つの方法です。
たとえば、みずほ銀行カードローンの借入後、病気や怪我などの事情によって支払いができなくなったのであれば、家族にお願いをしていったん完済すると、その後の利息は発生しなくなります。家族・親族であればそのまま利息を負けてくれるケースも多く、支払い総額を減らすこともできるでしょう。
更に、裁判や差し押さえを受けるおそれがなくなります。
ただ、親族に肩代わりをしてもらったのであれば、できる限り元本だけでも返済をすべきです。家族関係もそうですが、将来相続が起こったときに他の相続人らとの間で争いになるケースもあります。
(3) 任意整理
一般的に、銀行カードローンを借りて支払いができなくなったときに有効な対処方法は任意整理です。
任意整理とは、債権者と直接交渉をして、借金の支払総額や支払いスケジュールを決め直す「債務整理」の手続きです。
任意整理をすると将来発生する利息を一部カットできることがあり、また、3〜5年の長期分割も可能となるケースが多いため、債権者によっては返済金額が大きく減ることになります。
しかし、取引履歴が短い場合は利息の大幅なカットは認められないケースがあり、また、銀行カードローンは当初から長期の分割払いが前提となっているケースもあるため、任意整理では思ったような減額が見込めないこともあります。
自分の場合は借金をどれくらい減らせるのか?は、債務整理(任意整理)に強い弁護士に一度尋ねてみることをお勧めします。
なお、みずほ銀行カードローンの借金を任意整理するときには、オリエントコーポレーションと交渉をすることになります。
また、任意整理の交渉を開始すると、一定期間みずほ銀行の口座が凍結されるので注意が必要です。公共料金や携帯料金などをみずほ銀行の口座引き落としをしている場合には、別口座に変える・コンビニ支払いにするなどの対策をしておきましょう。
また、給与振込口座に指定していると、給料を受け取れなくなってしまいますから、やはり事前に入金先を変更しておく必要があります。
4.任意整理しても返せそうにない場合の対処方法
銀行カードローンを返せない場合には任意整理が有効ですが、借入額が大きくなりすぎると任意整理では解決が難しくなります。
任意整理をしても、一般的にカットできるのは将来利息の一部で、借金の元本はそのまま残ってしまいます。
任意整理で解決できる限度額は(その人の状況によっても異なりますが)だいたい300万円くらいまでと考えておきましょう(※それ以下の債務額であっても、収入の少ない方や収入がない方は任意整理できません)。
しかし、任意整理ができないほど多額の借入があっても、以下で紹介する債務整理方法によって解決できるので、諦める必要はありません。
(1) 個人再生
みずほ銀行カードローンの借金が多額になっているときに有効な債務整理方法の1つ目が、個人再生です。
個人再生は、裁判所に申立をして「再生計画案」を認可してもらうことにより、借金返済額が元金から大幅に減額される手続です。
個人再生をすると、利息だけではなく元本ごと借金が大きく減額されるので、例えみずほ銀行カードローン残額が最大限の800万円になっていても解決可能です。
借金をいくら減額できるかは借金額と手持ちの資産額により異なりますが、たとえば、家や車など目ぼしい資産を持っていない方がみずほ銀行カードローンで800万円借金しているとき、個人再生を利用すると借金を160万円にまで減額してもらうことができます。
この金額を原則3年で返済すれば良いので、返済額は月々45,000円弱になります。この程度であれば何とか返済していける、という方も多いでしょう。
(2) 自己破産
みずほ銀行カードローンを利用したけれども、その後の事情変更によって支払い能力が失われてしまった(解雇されてしまった、病気で働けなくなった等)というケースでは、自己破産がおすすめです。
自己破産をすると、どれだけ多額の借金があっても基本的にすべて免除してもらうことができます。
みずほ銀行カードローン以外にも、クレジットカードや消費者金融、住宅ローンなど、返しきれないほどの多額の負債があっても自己破産なら解決できます。
自己破産をすると一切の支払いが残らないので、返済能力がまったくない方でも借金問題を解決できます。
病気や怪我で働けなくなったり、生活保護を受けようとしていたりするならば、まずは自己破産でカードローンの問題を解決してから生活の再建をすると良いでしょう。
なお、自己破産をする場合、不動産や高価な車など、一部の価値ある資産は処分して債権者に配当する必要が生じます。生活必需品などは手放す必要がありませんが、心配な方は弁護士に自己破産のデメリットについて詳しく尋ねてみると良いでしょう。
【ブラックリスト状態について】
みずほ銀行カードローンを債務整理すると、その後一定期間「ブラックリスト状態」になります。ブラックリスト状態とは、借入やローン、クレジットカードの作成における審査に通らなくなり、あらゆる金融取引を利用できなくなった状態です。
任意整理を始めとした債務整理手続をすると、個人信用情報に「債務整理をした」という事故情報が登録されます。貸金業者や金融機関がローンやカードの審査をするときには個人信用情報を照会しますので、ここで事故情報を発見した場合には審査に落としてしまうのです。
なお、ブラックリスト状態は借金の長期滞納(2ヶ月〜)でも掲載されます。掲載期間は借金の完済から5年、債務整理の完了から5〜10年程度と考えておきましょう。
5.みずほ銀行カードローンのお悩みも泉総合法律事務所へ
このように、みずほ銀行カードローンを返済できなくなってしまったら、債務整理で解決する方法が有効です。任意整理や個人再生、自己破産のいずれかを利用すれば、どのような状況であっても大半の借金問題を解決させることができます。
ただし、自分一人で債務整理を進めるのは困難ですので、専門知識を持った弁護士のサポートが必要です。
泉総合法律事務所でも、みずほ銀行カードローンの負債に悩む方の借金問題をたくさん解決して参りましたので、お困りの方は、なるべくお早めに弁護士までご相談ください。
着手を先延ばしにすればするほど状況はますます悪化しますので、まずはお気軽にご連絡ください。一緒に借金問題を解決していきましょう。
なお、みずほ銀行カードローンには、「自動追加融資」というサービスがあります。
これは、銀行引き落としを利用していて預金口座残高がマイナスになると、自動的にカードローンが適用されて引き落とされるというものです。
確かに、入金し忘れていたケースなどでは滞納状態にならないので便利かもしれません。
しかし、自分の気づかないうちに勝手に借金を増やされてしまうとも言えるので、利用には注意が必要です。