借金返済 [公開日]2019年11月25日[更新日]2022年1月19日

「競売開始決定通知」が届いたらどう対処する?

住宅ローンを支払わずに長らく放置していると、「競売開始決定通知」という書類が届くことがあります。
これが届いたら、すぐにでもしかるべき手続を行わないと、マイホームが売却され強制退去となってしまいます。

ここでは、競売開始決定通知が届いた人のために、その後の流れや今後すべきことをわかりやすく解説していきます。

既に競売開始決定通知が届いてしまった方はもちろん、今現在住宅ローンを滞納してしまっている方も、ぜひお読みください。

1.競売とは?

一般的に競売(きょうばい・けいばい)は、「競り(せり)」や「オークション」のように、ある品物に対して複数の購入希望者が購入希望額を提示して、最も良い条件を出した希望者がその品物を手に入れるという売買形式です。
様々な業界で日常的に行われているほか、インターネットオークションなどで個人間でも競売は行われています。

しかし、この記事で取り扱う競売は、民事執行法等の法律に基づいて行う「不動産競売」で、特に住宅ローンの競売ということもあり「担保不動産競売」のことを指します。

住宅ローンを滞納されたまま放置していると、債権者(すなわち住宅についての抵当権者)はいつまでも貸したお金を回収できません。
そこで、少しでもお金を回収するために、債権者は裁判所に「不動産競売」を申し立てることができます。

裁判所は申立てによって滞納者の不動産を競売で売却し、債権者は売却金額を受け取って債権の回収に充てます

つまり、滞納者の立場からすると、自分が使っている不動産が裁判所によって売られてしまうのが「不動産競売」なのです。

売られてしまった不動産は落札者の所有物になるため、引っ越しを余儀なくされます。
このため、所有している不動産が競売にかけられそうになった場合は、一刻も早く何らかの対策を講じなければなりません。

2.「競売開始決定通知」について

(1) 競売開始決定通知とは?

競売開始決定通知」とは、平たく言えば「裁判所があなたの不動産を競売することを決めましたよ」とお知らせする書類です。
正式には「担保不動産競売開始決定通知」といいます。

多くの場合、住宅ローンを滞納し始めてから数か月~9ヶ月程度経過すると送付されてくるようです。
この通知を受けてから数ヶ月~半年後には、不動産が競売によって売却されてしまいます。

(2) 競売開始決定通知を放置するとどうなる?

競売において、売却予定の不動産(家屋)に住んでいる人の事情はほぼ考慮されません。
滞納者の承諾の有無に関わらず競売の手続は進んでいき、強制的に売却されてしまいます。

対象となる不動産が現住地であれば、滞納者は退去しなければなりません。
早急に新しい住まいを探さなければなりませんし、引っ越し代も自腹です。

強制執行となる場合、執行官が作業員や鍵屋とともにやってきます。居留守を装ったり鍵を開けずに抵抗をしたりしても、鍵屋が鍵をこじ開け、中の荷物をトラックに積み込み、所定の倉庫へ搬入してしまいます。つまり、文字通り強制的に住居を明け渡さなければならないのです。

【競売開始決定後の流れ】

  1. 「競売開始決定通知」が届く
  2. 自宅の内部を含めた現況調査
  3. 競売の入札期間や開札日を知らせる通知が公表
  4. 「開札日」に最も高値を付けていた人が落札
  5. 落札者が落札額を払い、競売手続終了
    (自宅物件の所有権は完全に落札者へと移り、不動産登記簿上の所有名義の移転登記手続も行われる)

なお、競売の場合にいつまで自宅に住めるのかというと、競売手続終了までには引っ越しを終えることが理想です。
落札後に強制的な立ち退きを迫られることが少なくないので、競売終了後は速やかに引っ越しを行なわなければなりません。

また、競売で家が売られても、それで終わりではありません。
競売で売却をされても、多くの場合は債務(住宅ローン)が完済されないため、残った債務については引き続き債権者から支払いの請求を受けることになります。

3.競売の対策「任意売却」

住宅ローンの残務を一括で返済できれば、競売を取り下げてもらうことは可能です。
しかし、現状支払えていない住宅ローンの残務を、しかも一括で返済することは不可能でしょう。

実は、競売開始決定通知が届いた場合や、競売が開始した後でも、裁判所に競売の取り下げを申請することは可能です。
具体的には、競売開始決定通知が届いたらできるだけ早く「任意売却」を行い、債権者に競売を取下げてもらうことになります。

(1) 任意売却とは?

任意売却とはその名の通り、任意、つまり自分の意思により、かつ住宅ローン債権者(抵当権者)の同意を得て、不動産を売却することです。

売却した代金は住宅ローンの支払いに充てることで、住宅ローンの残債を大きく圧縮することができます。

競売入札開始の前日までに、債権者が任意売却の同意をし、裁判所に書類を提出することで、競売を取り下げることができます。

[参考記事]

競売を取り下げてもらうことはできる?

(2) 競売と任意売却の違い

以下で競売と任意売却の違いを比べていきますが、任意売却の方が多くのメリットがあります。

不動産の売却価格

競売の場合、売却価格は市場価格の7割程度になることが多いとされています。
しかし、任意売却をすれば、市場価格に近い額で売れる可能性が高くなります。

高値で売れれば返済に充てる額が増えるので、借金の完済が楽になります。

自宅に住めるかどうか

競売の場合は、前述の通り強制的に退去させられてしまいます。

任意売却をすれば、例えば親族等に家を購入してもらい、それを借りる等の方法で同じ場所に住み続けることも可能かもしれません。

プライバシーの確保

競売では様々な情報が公開されるので、近隣住民や知り合いに、競売の事実や借金の滞納などがバレてしまう危険があります。

一方、任意売却は一般の不動産売買とほぼ同じ手続で行われるので、周囲に事情を知られるリスクは非常に低いです。

引っ越しの時期と費用

競売では引っ越し日を選べず、最悪の場合強制退去を受けてしまいます。
任意売却ならば、債権者や住宅の購入者と協議を行い、引っ越しの日を選ぶことも可能です。

また、競売による引っ越し費用はすべて自前で賄うことになりますが、任意売却をすれば、債権者との交渉次第である程度の引っ越し費用を得られる可能性があります。

4.競売開始決定通知が届いたら弁護士にご相談ください

「競売開始決定通知」が来たら、競売までは秒読みです。すぐにでも任意売却を検討するべきでしょう。
(任意売却は、競売の入札開始までに完了する必要があります。)

しかし、不動産売買には様々な手続が必要になりますし、買い手を見つけるだけでも至難の業です。
よって、任意売却は専門の業者に任せるのが一番です。

泉総合法律事務所は、住宅ローンの滞納に関する借金問題に関連する問題として、任意売却等に関する相談も承ることが可能です。
競売開始決定通知が届いてしまった・任意売却を検討しているという方は、どうぞお早めにご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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