パチンコ・ギャンブル依存症で借金|債務整理は可能?
「毎日のようにパチンコをしていて、借金まで作るようになってしまった」「ふとした時にギャンブルをしたいと思い、自制ができない」という方は、パチンコ依存症の可能性があります。
パチンコ依存症の場合は、自分ではパチンコへの欲求をコントロールすることができません。
依存症や借金問題の解決には、専門家の協力が必要です。
今回は「パチンコ依存症で借金がある方のための債務整理」について解説します。
1.パチンコ・ギャンブル依存症とは?
「パチンコをやめたくてもやめられない」と感じているのであれば、パチンコやギャンブルに「依存」している可能性があります。
パチンコ依存症とは、パチンコがやめられず、日常生活に支障を来たしている状態です。
他のギャンブルであっても、自分では止めることができず、日常生活に問題を抱えていれば依存症と言えます。
パチンコ依存症はいわゆるギャンブル依存症の一種であり、症状がひどくなると自力では解決できなくなります。
主な症状としては、以下の通りです。
- 一日中パチンコのことを考えてしまう
- パチンコをやめようと思うと落ち着きがなくなる
- 負けた分は明日取り戻そうと考えてしまう
- 給料の全てをパチンコやその他のギャンブルに注ぎ込んでしまった経験がある
- パチンコのために借金をしたことがある
- 不安になるとパチンコをしてしまう
- パチンコのせいで周囲や家族関係に亀裂が入ってしまった
- パチンコに集中しすぎて仕事をやめてしまった
これらのうち当てはまる項目が多ければ多いほど、パチンコ依存症の可能性は高いです。
特に、これらの問題をご自身で認識しているのに「やめられない」と感じている場合は深刻な状況といえるでしょう。
パチンコ依存症を含むギャンブル依存症は、WHO(世界保健機構)も認めている立派な病気と言えます。
2.パチンコ・ギャンブルによる借金の解決方法
パチンコやその他のギャンブルで借金を作ってしまったら、弁護士のサポートや医師のサポートが必要です。
専門家に相談することで、具体的にどのようなケアを受けられるのかを見ていきましょう。
(1) 弁護士に相談して債務整理
パチンコ依存症になってしまったら、生活費に使うべきお金までパチンコ代に費やしてしまいます。
定職についていて毎月お給料をもらえたとしてもパチンコに費やしてしまうことから、借金しなければ生活できなくなるのです。
経済面で問題を抱えてしまった場合は、弁護士に債務整理を依頼しましょう。
債務整理とは、借金を整理することにより債務の減額・免除を図ることができる手続きです。
債権者との交渉で借金を減らす手続きもあれば、裁判所に申立て必要なケースもあります。
主な種類としては、以下の3つの方法があります。
任意整理
借金の利息を法定利息に引き直し計算することで、利息の減額を図る債務整理手続きです。
大幅な減額は期待できませんが、ご自身で負担となっている債務を選んで債権者との直接交渉で借金の減額を図ることができます。
個人再生
再生計画を裁判所に提出し認めてもらうことで最大1/10まで元本も減額できる手続き方法です。
大幅な減額が期待できるだけでなく、マイホームの残債が残っている場合は、マイホームを手放さずに借金の減額をすることができます。
自己破産
自己破産をすると、一部を除いて、手持ちの財産を処分する必要が生じる代わりに、今抱えている借金が原則として0になります。
現在収入がない場合でも手続きできることや、他の手続きとは異なり手続き後に返済をしなくて済むことが最大の特徴です。
これらのどの債務整理方法が自分に適しているかは、法律の専門家である弁護士に判断を仰いてください。
(2) 依存症脱却のための医療面のサポート
パチンコ依存症を根本的に解決するためには、借金問題を解決するだけではなく、精神面の問題ともきちんと向き合っていく必要があります。
具体的には、以下のような行動をとると良いでしょう。
- 配偶者や親族など、信頼できる人に相談する
- 専門医療機関を受診する
- 自助グループに参加する
まず、ご自身が信頼できると思う人に「パチンコ依存症かもしれない」と打ち明けることが第一歩です。
人に自分の弱みを見せることは難しいですが、今後受けていく経済的・医療的サポートの最中も側で支えてくれる人がいることは重要です。
誰かに打ち明けることができたら、依存症に関する専門の医療機関を受診してください。
現在では、インターネットでお住まいの地域と「ギャンブル依存症・病院」と検索すれば専門医療機関を見つけることができます。
また、厚生労働省も認めている「依存症対策全国センター」にアクセスしてみてください。お住まいの地域の専門医療機関などを検索できます。
専門医療機関を受診すれば紹介してもらえますが、自分で自助グループに参加するのも良いでしょう。パチンコ依存症の症状を持つ人と繋がりを持つことで、症状についてシェアすることもできます。
お互いに支え合うことができるため、周囲に相談する人がいない方でもサポートを受けられるという点で有効です。
依存症を克服するためには、このような医療面のサポートは必要不可欠です。
債務整理をする場合でも、本人が治療を受けていることは、裁判所が債務整理の許可を判断する際に有利に働きます。
3.パチンコ依存症で自己破産をする場合の注意点
現在安定した収入がない場合や、借金額が大きい場合は「自己破産」が有効でしょう。
しかし、ギャンブル依存症で自己破産をする上では、知っておくべきポイントがあります。
実は、自己破産は申立てを行えば誰もが債務を全額免除してもらえるという手続きではありません。
法律上の手続きを履践することはもちろんですが、「免責不許可事由」に当たらないことも必要です。
免責不許可事由とは、自己破産を原則として認めてはいけない理由のことを指します。
そして、ギャンブルによる借金は免責不許可事由にあたるため、原則として免責(借金を0にすること)は認められないのです。
もっとも、「裁量免責」という制度もあり、免責不許可事由があっても裁判官の裁量で免責することも可能です。
パチンコ依存症の場合には、裁量免責を認めてもらうために、管財事件になります。したがって、管財人や裁判官の面接が必要になるなど、簡易な同時廃止という方法と比べたら、多少手続きが難しくなるでしょう。
しかし、借金の金額次第ではありますが、更生に対する強い意思と行動・反省を示せば、ギャンブルが原因の自己破産も認めてもらえることがほとんどです。
裁判官は、申立人の態度や更生に必要な行動をとっているかどうかなどを参考に最終的な免責許可を判断します。
なお、管財事件となることから、弁護士が代理しての申立てでないと、少額管財ではなく、通常管財となり、結果的に多大な労苦と費用の支出を伴います。弁護士に依頼することにより、手続的にも楽になりますし、裁判所に納める費用も低減できます。
弁護士、医師のサポートを受け、的確に手続きを進めていきましょう。
[参考記事]
免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!
4.パチンコ依存症の自己破産の解決事例
最後に、当事務所においてパチンコ依存症が原因で自己破産をした解決事例をご紹介します。
Aさんは会社の同僚に誘われ、軽い気持ちでパチンコを始めましたが、大きく勝った経験をきっかけに毎日通うようになりました。
最終的には、給料を1日で使い切ってしまうようになり、消費者金融の借入限度額が一杯になったところで、当法律事務所に相談にいらっしゃったのです。
Aさんは800万円の借金を抱えていたので、担当弁護士はAさんに自己破産を勧めました。
パチンコが理由での借金であったため、同時廃止という簡易な方法の自己破産手続きは取れないため、それより難しい管財事件として取り扱いとなりました。
裁判所にパチンコ依存症を克服できることをアピールする必要があったため、弁護士らが協力して治療面をサポートしました。本人にパチンコ依存症であることを自覚させるためと家計の見直しを図るために、反省文の作成と家計簿の提出を指示しました。
また、パチンコに使っていた時間を他の時間に使ってもらうため、身体を動かすことが好きなAさんにジョギングを勧めました。
これにより、Aさんは借金理由を反省していること、依存症を克服できたことを裁判所に示すことができ、無事免責が認められました。
Aさんは、「借金問題を解決する過程で依存症も克服できるなんて夢にも思わなかった」とおっしゃっていました。
5.パチンコ依存症による借金整理は弁護士に相談を
パチンコ依存症で借金に悩んでいる場合は、弁護士に相談しましょう。
ご自身だけで借金問題を解決するのは大変です。医師などの専門家のサポートを得ることで、依存症の克服も現実的になります。
泉総合法律事務所では、パチンコ依存症が原因で債務整理が必要となった方の借金問題を多数解決しています。
初回ご相談は無料ですので、お悩みの方はぜひご連絡ください。