夜逃げをしても借金は消えない!合理的な借金減額制度「債務整理」
借金の取り立てから逃れる最終手段として、夜な夜な家財道具を車に積み込み、一家で新天地へと逃げる「夜逃げ」のシーンをテレビドラマで見たことがある方もいらっしゃるでしょう。
現在では、貸金業法改正で違法な取り立てが減少したこともあり、実際に夜逃げが行われる件数はかなり少ないです。とは言え、借金の返済で首が回らないという時、いっそ夜逃げでもしようか?という考えが現実で脳裏を過ったことがある方もいるのではないでしょうか。
しかし、現実はそう甘くありません。残念ながら、夜逃げで返済から解放されるケースは少ないのが現実です。
一時的には債権者から逃げられたとしても、その場凌ぎに過ぎず、最終的に借金を0にすることは難しいと言えます。
借金が返済できず夜逃げを考えるならば、合理的かつ合法的に借金を減額できる「債務整理」を検討しましょう。
1.夜逃げはほとんどのケースでバレる
準備万端で実行したはずの夜逃げは、以下のような理由から債権者にバレてしまうケースがほとんどです。
- マイナンバーで足がつく
現在は、マイナンバーで住所、氏名、生年月日、納税、年金、銀行口座などの情報が一元管理されています。今後も個人に関するあらゆる情報がマイナンバーに紐づけされることになる可能性は高いので、夜逃げをしても、その後の手続きで居場所が分かってしまいます。 - 住民票の移動でバレる
夜逃げをした際に、一番困るのは住民票の移動ができないことです。住民票を移動すると居場所を追跡されてしまいます。しかし、住民登録ができないと、国民年金、児童手当、生活保護などを受け取ることができません。また、引っ越し先で保険証の発行をしてもらうこともできません。永久に住民票を移動させないのはほぼ不可能でしょう。
このように、夜逃げは最終的にバレてしまうのに、夜逃げ後の生活の精神的なプレッシャーは甚大で、当然以前の土地での縁は断ち切らなければならないなど、多くのデメリットを伴います。
夜逃げをしたからといって借金が0になるわけでもないため、夜逃げをするメリットはほとんどなく、その代償は大きいと言えるでしょう。
逃亡期間中も金利は膨らみ続けるので、逃げきれないときには莫大な額の返済を迫られます。
2.夜逃げ後に時効を迎えたら借金は消えない?
借金には「消滅時効」というものがあります。
消滅という名の通り、時効が成立した場合、借金の支払義務が消えて無くなります。
2020年4月の民法改正では、以下のように消滅時効までの期間が変わりました。
- 改正前:客観的起算点から10年
- 改正後:主観的起算点から5年または客観的起算点から10年
通常、主観的起算点と客観的起算点は一致するケース多いため、多くの場合で5年の消滅時効が適用されます。
しかし、5年経てば無条件で時効が成立するというわけではありません。5年経過後も、「時効の中断」あるいは「時効の更新」に該当する手続きが行われることで、時効のカウントを振り出しに戻すことができるのです。
つまり、債権者が時効の中断の手続きをすれば、夜逃げをしても借金はずっと消えません。
時効の中断は、以下の3つの手続きで行うことができます。
- 裁判上の請求(催告を含む)
- 差押え・仮差押え又は仮処分
- 債務の承認
夜逃げで借金の時効を狙っている場合、多くの債権者は「裁判上の請求」を行って時効の中断をします。
もし、債権者や裁判所が夜逃げした債務者のの行方を知ることができなくても、所在不明者に対して、裁判所の掲示板に張りだして訴状が届いたことにする「公示送達」の手続きをとることが可能です。その場合は、訴状が届かないまま、知らないうちに判決が出て、時効を延長することができます。
3.借金問題は債務整理で解決
どうしても借金が返せないときは、夜逃げではなく「自己破産」などの債務整理をすることをおすすめします。
借金が返せないときに、合法的に借金を減額・免除することを「債務整理」と言い、自己破産はその一種です。自己破産をすると、税金などの公租公課を除いた借金を全て免除してもらうことができます。
他にも「任意整理」「個人再生」といった制度もありますが、借金を全額免除してもらえるのは自己破産だけです。
夜逃げを考えるほどに追い詰められていたり、また、仕事をしておらず無収入だったりするならば、自己破産が最も効果的な解決方法と言えるでしょう。
自己破産は借金を全て免除してもらう代わりに、不動産(マイホーム)や高価な車、ブランド品など、主に換価して20万円以上の財産が処分されます。処分・換価された財産は債権者に配当され、最低限の弁済とされます。
しかし、一般的に、夜逃げするほど追い込まれているケースで、20万円以上相当の財産を所有している人はあまりいません。処分する財産がなければ、何も手放すことなく自己破産を終了することができます。
このように、自己破産のデメリットは限定的で、夜逃げをするデメリットよりも少ないと考えられます。
4.まとめ
夜逃げをしても借金は消えることはなく、仮に夜逃げをしたとして、引っ越し先でも大きなデメリットを抱えて生活しなければなりません。
また、皮肉なことに夜逃げは意外と費用もかかります。
夜逃げをするほど困っているならば、当事務所としては自己破産をおすすめします。
自己破産が裁判所に認められた場合は、借金げ原則として全て免除となり、厳しい取り立てからも解放されます。
泉総合法律事務所には、自己破産・債務整理に強い弁護士がそろっております。また相談は無料で行っておりますので、お困りのことがあれば、ぜひご相談ください。借金問題は専門家と一緒に解決をしていきましょう。