得意先の買収と規模縮小による売上低下から倒産に至った事例
卸小売業 創業 : 40年以上 借入理由: 提携先の買収と事業縮小による売上低下 |
ご相談前 | ご依頼後 | |
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借⾦総額 | 約2300万 債権者21名 | 0円 |
毎月の返済額 | 約50万円 | 0円 |
背景
関東近辺のホームセンターなどに園芸用品の卸売を行い、年商は数億円近くありました。
しかし、提携先が買収された影響で納品していた商品の取り扱いが減り、それに伴い売上も落ちていきました。その後も、納品先の売上減少と店舗の閉鎖などが続き、経営状態は悪化する一方でした。そのため不足分を補おうと借入を増やしていきました。
毎年赤字決算が続く状況となり、社長様(以下、Aさんと呼ぶ)は、事業を継続しても赤字が増えるだけであることに悩み、当事務所へご相談に訪れました。
ご相談の結果、Aさんはこれ以上の債務負担の増加と赤字増加を止めることを決め、営業を停止して、破産申立を決意しました。
弁護士対応 - 未回収の売掛金や在庫品の処分方法について説明
ご相談の時点で、回収予定の売掛金が相当額ありました。したがって、売掛金を滞りなく回収するためにも、売掛先への説明などを慎重に行う必要がありました。さらに、長期間、回収ができていない売掛金もあり、その回収可否の事前調査も必要でした。
また、在庫品が賃借倉庫内に保管されていたのですが、一方で賃借物件の明渡がなかなか進められず、賃料滞納が発生してしまうリスクがあったため、在庫品処理も当面の課題となりました。
そこでAさんに、売掛金の回収方法や在庫品の処理について、丁寧にご説明したところ、Aさんの不安も少しずつ取り除かれていきました。
また、売掛金額も相当額あり、それらの資産を散逸しないよう慎重に処理を進めながら、Aさんの協力も得て、申立書類の作成と準備を進めていきました。
結果 - 全額の売掛金を回収、賃料発生なし、無事に手続きが終了し2300万円の借金が0円に
売掛金は、無事全額を回収することができました。また、在庫品についても処理を進めることができ、賃料滞納を発生させることなく、明渡を行うことができました。
Aさんも、不安な中でも、破産会社の代表として資産の保全に努められ、結果として、会社の資産を無事に破産管財人に引き継ぐことができ、最終的には一般債権者の方々へも配当が行われる形で手続が終了となり、2300万円もあった会社名義の借金は0円になりました。
破産手続には、会社の資産を本来の資産価額よりも低い金額で処分したり、不当に無償で譲渡したりすると、本来債権者の方々に分配すべき資産を不当に減少させたとして、裁判所や管財人から問題視され、厳しく指摘されます。
本件の場合、Aさんの多大な協力もあり、このように問題視されず、厳しく指摘されることもありませんでした。
創業40年以上という長い間事業をされていた会社で、取引先様との付き合いも長く、迷惑をかけることを何とか避けたいとAさんも真剣に悩んでいらっしゃいましたが、当事務所にご相談いただき、当事務所が後押しをしたことで、無事に債権者の方々にも配当を行えた事案だったのではないかと思います。もし、Aさんが決断できずに、赤字経営を続けていたら、配当できるだけの資産を裁判所に引き継ぐことはできなかったのではないかと思います。
経営に少しでも行き詰まりを感じられたら、お一人で悩まずに是非とも泉総合法律事務所にご相談ください。