「アルファ債権回収株式会社」から連絡が来たら弁護士へご相談を
借金を返さないまま放置していると、ある日まったく聞き覚えのない会社から連絡が来ることがあります。
例えば「アルファ債権回収株式会社」という会社です。
「アルファ債権回収株式会社なんてところからお金を借りた覚えはない」「詐欺・架空請求なのでは?」
こう考えて放置したり、警察に相談しに行こうとしたりする人もいるかもしれません。
しかし、この連絡を放置し続けていると、後で大変なことになるおそれがあります。
一体、アルファ債権回収株式会社とはどのような会社なのでしょうか?
ここでは、既にアルファ債権回収株式会社から連絡を受けた人や、現在借金を放置中の人のために、アルファ債権回収株式会社について解説していきます。
1.アルファ債権回収株式会社とは
アルファ債権回収株式会社は、法務省から承認を受けた債権回収会社です。
その名の通り債権(借金)の回収を業務としています。
法務大臣から許可を得て「サービサー法」という法律に基づいて債権者から債権譲渡を受け、その債権を回収しているのです。
国が認めた会社であるため、組織や業務内容には全く問題ありません。
(特殊詐欺を行うような会社ではないのですが、全く関係のない会社や組織が勝手にアルファ債権回収株式会社を名乗って特殊詐欺を行う可能性はあるのでご注意ください。)
アルファ債権回収株式会社に債権譲渡を行うのは、以下の金融機関や会社が多いと言われています。
- 新生銀行グループ(新生パーソナルローン、新生銀行住宅ローン、新生フィナンシャル等を含む)
- みちのく銀行
- 静岡銀行(静岡銀行カードローンセレカ等を含む)
- 愛媛銀行(ひめぎんクイックカードローン等を含む)
- 高知銀行
- 宮崎太陽銀行
- 琉球銀行
- 株式会社アプラス
また、日本学生支援機構の奨学金を滞納している場合もアルファ債権回収株式会社に債権譲渡が行われることがあります。
奨学金をもらう際に保証人ではなく機関保証を利用した場合、機関保証の保証人である日本国際教育支援協会がアルファ債権回収株式会社に債権譲渡や債権回収を依頼すると言われているからです(2019年8月現在)。
奨学金を滞納している人は、くれぐれも注意してください。
[参考記事]
奨学金の返還期限猶予が満了しても払えない場合の対処法
2.アルファ債権回収株式会社の取り立て方法
アルファ債権回収株式会社は債権を取り立てるのが仕事ですが、だからといって脅しや暴力等の手段を使うわけではありません。
法律の許す範囲において、穏やかかつスマートな方法で債権の回収を図ります。
「債権者も面倒だろうから、裁判所に訴えてまで取り立てを行うことはないだろう」と高を括っている人が稀にいますが、アルファ債権回収株式会社はあっさりと法的手段を講じてくることもあるので油断は禁物です。
債権譲渡が行われるまで借金を放置していたのであれば、いつ訴訟や財産や給与の差し押さえ等の法的手段に出られてもおかしくありません。
アルファ債権回収株式会社から連絡があったら法的手段実行までのカウントダウンが始まったと考えて、速やかに対策を考えてください。
(1) 督促・取り立ての手段
アルファ債権回収株式会社は様々な方法で債務者に連絡を行っているようです。
例を挙げると以下のようになります。
- 督促状
- 受託通知書
- 受託通知書兼請求書
- 圧着はがき
- SMSやショートメール
これら以外に、電話やメールでも問い合わせが来ることもあるようです。
「アルファ債権回収株式会社」と名がつく組織から郵便や電話で連絡があったら、本格的な取り立てが始まったと考えて意識を改めましょう。
(2) 取り立ての手順
アルファ債権回収株式会社は債権回収のプロですが、いきなり苛烈な取り立てを行うことはまずありません。
順を追って取り立てを行うので、どのような順番で何が行われるかを見ていきましょう。
なお、ここに記すのはあくまで一般的な内容であり、ケースによって違う場合もあるので、参考程度に留めてください。
①督促状の送付
未払い債務の状況を通知して支払わせる目的で送付されるのが「督促状」です。
この段階ではまだ比較的穏便な文面であることが多いようです。
②催告書の送付
督促状より一歩踏み込んだ内容の書類が「催告書」です。
「いつまでに何をしないと法的措置を講じますよ」等と書かれている場合があります。
文面の雰囲気も督促状より厳しくなります。
また、催告書は内容証明郵便で送られてくることがほとんどのようです。
③法的手段の実行(支払督促・訴訟提起)
催告書が来ても無視していると、支払督促が送られてきます。
支払督促は裁判所から届くので、この時点で焦って専門家に相談にいらっしゃる方も多いです。
支払督促に対して2週間以内に異議申し立てをしなければ、仮執行宣言付の支払督促が行われます。これが債務者に送達すると、債権者(アルファ債権回収株式会社)は強制執行が可能となります。
また、支払督促の代わりに、裁判所へ訴訟の提起が行われることがあります。訴訟で判決を得た場合も、債権者は同様に強制執行が可能です。
強制執行では、銀行口座が差し押さえられたり給与が差し押さえられたりと、その内容は多種多様です。
どのような内容であれ、生活に直接的な影響が及ぶことは確実ですので、強制執行となる前に、早め早めの対応が肝心です。
[参考記事]
簡易裁判所からの支払督促・訴状を受取拒否したらどうなる?
3.アルファ債権回収株式会社から連絡が来た場合の対応方法
アルファ債権回収株式会社の債権回収方法は大体イメージしていただけたと思います。
では、実際に連絡が来たらどうすればいいのでしょうか?
(1) 絶対に無視はしない
アルファ債権回収株式会社からの連絡を放置しているといずれ法的手段を講じられてしまいます。
それを防ぐためには、アルファ債権回収株式会社からの連絡には応じなければなりません。
(2) あっさりと債務の存在を認めない
もし長期間督促を受けていないような場合は、その債務が時効で消えている可能性が考えられます。
しかし、債務というものは時効が来たからと言って自動的に消滅するものではありません。「援用」という手続が必要なのです。
もし援用をしないまま債務の存在を認めてしまったり、一部であっても債務を弁済してしまったりすると、期間的には時効にかかっていたはずの債務全部の支払義務が残ってしまいます。
このため、アルファ債権回収株式会社からの連絡には応じても、債務の存在を簡単には認めない工夫が必要となってきます。
「そういった債務があるのかどうか、ちょっと確認してみます」「専門家に相談してから対応を決めます」等とその場ではお茶を濁すような対応をして、時効の確認のためにすぐに弁護士の事務所へ相談しに行く等するのがおすすめです。
[参考記事]
借金の時効が成立する条件と、時効の援用ができないケース
(3) 分割払い等の交渉をする
もし債務が時効にかかっておらず、一括返済を求められているのであれば、分割払いに変えられないかアルファ債権回収株式会社と交渉してみましょう。
必ず応じてくれるとはいえませんが、無理のない返済プランならば、分割払いに応じてくれるかもしれません。
(4) 債務整理
借金が過大で支払えない場合は、債務整理も視野に入れましょう。
債務整理では、借金の利息を免除してもらって上で返済計画をリスケジュールしたり(任意整理)、借金を大幅に減額してもらったり(個人再生)、ほとんど全ての債務支払い義務を免除してもらったり(自己破産)することができます。
どの方法がベストかは個々のケースで異なりますので、分割払いなどでも支払えないという場合には一度弁護士にご相談ください。
4.債権回収会社から督促が来たら弁護士に相談を
アルファ債権回収株式会社について色々と述べてきましたが、債権回収会社から連絡が来たら弁護士に相談するのが一番です。
弁護士なら連絡が詐欺かどうか見破ることができますし、消滅時効についても調査してくれます。
借金のことを相談するのは恥ずかしいかもしれませんが、弁護士に相談することで最も良い方法が見つけられるでしょう。
場合によってはあなたにピッタリの債務整理方法もアドバイスし、解決策を考えてくれます。
[参考記事]
債権回収会社(サービサー)からの督促は無視厳禁!突然の通知の対処法
借金問題でお困りの方は、どうぞお早めに、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。