自己破産 [公開日]2018年4月27日[更新日]2021年6月8日

自己破産すると家族に影響はある?

自己破産は家族にどのような影響を与えるか〜住宅ローン、車など

住宅ローンや教育ローンなどの借金を抱え、弁護士に相談した場合、自己破産を勧められることもあるかと思います。

しかし、自己破産手続をとることをなかなか決断できず、1人で悩み続ける方は多いのではないでしょうか。

悩む理由は、世間体や自己破産に対する漠然とした不安、家族や仕事への影響に対する不安など様々だと思います。

ここでは、こういった理由で自己破産する決断ができず借金に追われる日々を送っている方に向けて、自己破産手続が大切な家族にどのような影響を与えるかを解説していきます。

1.自己破産による家族への影響

早速ですが、自己破産した場合の家族への影響を申しますと、直接的には何の影響もありません。

ただし、間接的に影響を受けることがありますので、以下で説明していきます。

(1) 資産(財産)の処分

自己破産は、借金を支払うことができなくなった時に裁判所に申立てをし、持っている資産(財産)の一部を債務者に分配する代わりに、残りの借金を免除してもらう手続のことです。

ここで、多くの方が気にされるのは「自分が自己破産をすると、家族の資産も処分されてしまうのではないか」という点かと思います。

しかし、処分される資産の対象は、自己破産する人(債務者)のものだけに限られます。

ここで言う資産とは、99万円を超える現金、不動産、20万円以上の財産(預貯金・保険の高額な解約返戻金・評価額が高い自動車など)といったものが挙げられます(なお、家具家財などの生活必需品は原則として処分されません)。

預貯金と解約返戻金は、契約者が誰なのかという点で資産性を判断されますので、ご家族名義のものは原則対象外となります。

しかし、たとえ預金口座や保険の契約書が家族名義であったとしても、その口座にお金を預金していたり、保険料を支払っていたのが自己破産する人であったりすると、自己破産者本人の資産と扱われる可能性があります。

不動産と自動車ですが、これらは所有者が誰なのかという点で資産性を判断され、家族の方が所有している場合は対象外となります。
※不動産を家族の方と共有名義としている場合は、売却が必要になるケースもあります。

また、不動産も自動車も、購入した代金を自己破産する人が用意した場合は、自己破産する人の資産と考えられる可能性があります。

以上のとおり、財産処分については自己破産する人のものが対象で、ご家族の資産は対象外となりますが、例外的な扱いを受ける場合もありますので注意が必要です。

特に債務者に目ぼしい資産がない場合は、換価や配当が行われず、何も失うことなく自己破産が可能です。

なお、自己破産前に預貯金を家族の口座に移したり、保険契約者を家族に変更したりしていると、「資産を隠した」「資産をあげた」とみなされ、名義を戻すように裁判所から指示を受けたり、最悪の場合は自己破産に失敗したりする可能性があります。

【債務者本人が所有する不動産が処分されると引っ越しの必要がある】
自己破産する人が所有している不動産は価値ある資産ですので、原則売却となり、売却金は住宅ローンの返済に充てられます。こうなると、当然ながらその不動産からは引越しをすることになります。マイホームから退去を余儀なくされるのはご本人だけでなく家族にとってもデメリットとなるでしょう。
しかし、例えば、自己破産と同時にリースバック契約を設定する、自己破産前に親族や友人に任意売却し賃貸として借り受けるといった方法で、引っ越し自体を回避できる可能性もあります。
詳しくは「住宅ローンがある場合の自己破産|住宅を残す方法とは?」のコラムをご覧ください。

(2) 連帯保証人への請求

家族が自己破産した場合、他の家族が借金を返さなければいけないと考える方もいますが、これは間違いです。

家族とはいえ、貸した側との契約は当事者同士のものですので、その借金を支払う必要があるのは契約者本人だけです。契約者以外の人が借金を返済する必要はありません。

しかし、家族の方が債務の連帯保証人なっている場合は話が異なります。自己破産する人はもう借金を支払うことができませんので、連帯保証人がその代わりに借金の支払義務を負わなければならないのです。

もし、連帯保証人も借金を支払うことができない場合は、主債務者とともに自己破産などの債務整理手続を検討していかざるを得ないでしょう。

なお、「連帯保証人に迷惑をかけたくない」と言って、自己破産前に連帯保証人にだけ弁済してしまうのは厳禁です。連帯保証人への弁済が偏頗弁済に該当する可能性があるからです。

偏頗弁済とは、一部の債権者にのみ弁済をする不公平な弁済のことです。

自己破産は、債権者平等の原則に則り自己破産する人の財産を債権者に平等に分配しなければなりません。偏頗弁済は免責不許可事由に該当し、自己破産に失敗してしまう可能性まであります。

[参考記事]

自己破産をすると連帯保証人にどのような影響を与えるか?

(3) 信用情報(クレジットカードやローン)

自己破産などの債務整理をしたことは、消費者金融や銀行、クレジット会社などが加入している信用情報機関に登録されます(俗に「ブラックリストに掲載される」と言います)。

このため、例えばお子さんが奨学金を申し込む・車を買う等にあたって連帯保証人になろうとしても、審査が通らない場合があります。

一方、家族名義のクレジットカードやローンなどは個別契約ですので、たとえ家族のうち誰かが自己破産したとしても、他の家族がクレジットカードを利用したり、ローンを組んだりすることに支障が生じることはありません。

[参考記事]

信用情報機関とは?|信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)とブラックリスト

(4) 資格制限

自己破産をすると、一定の期間のみ就けない職業があります。
家族への直接的な影響はありませんが、自己破産をする債務者が資格制限のある職業に就いている場合、所属部署を変えてもらったり一時的に退職したりする必要があり、その間の収入が減ってしまう恐れがあるでしょう。

結果として、家計が苦しくなってしまうことも考えられます。

[参考記事]

自己破産と仕事の関係|制限を受ける職業・資格一覧

とは言え、資格制限は一時的なものであり、制限のない職業がほとんどですので、過度に心配する必要はありません。

 

以上のように、自己破産をしても直接的には家族に大きな影響はありません。
「親が自己破産をすると子供が結婚できない」「同居人の収入に影響が出る」ということもないのでご安心ください。

しかし、マイホームは手放さなければならない、ブラックリストに事故情報が登録されている期間ローン(住宅ローン、車のローン、教育ローンなど)を組めないなどの制約が、間接的な悪影響となることになります。

自己破産は、特に同居家族には内緒でせず、できる限り相談をして理解を得ておくべきでしょう。

2.他の債務整理の方法

では、家族にあまり影響のない(例えば、マイホームを手放さずに済む、保証人に請求がいかない)債務整理の方法はないのでしょうか。
家族への悪影響が少ない債務整理方法を考えてみることにしましょう。

(1) 持ち家がある場合は個人再生を検討

前述した通り、マイホームなどの不動産を所有している場合、ほぼ確実に資産として処分されることになります。

住宅ローン支払い中のマイホームを手放したくない場合に、継続的な収入がある方が選択すべき債務整理は「個人再生」です。

個人再生では、住宅ローンが残っていても、住宅ローン特則の適用があれば返済の継続を条件にマイホームを手放さずに他の借金を減額することが可能です。

個人再生はそもそも財産を処分する必要がないため、資産を残して大幅な借金減額が可能になるのです。

ただし、個人再生では、最低限「自己破産をした場合に処分される資産」以上の金額を返済していかなければなりません。
残したい資産があればそれだけ返済額も増大するので、気を付けなければなりません。

[参考記事]

個人再生の最低弁済額|月々の支払いはいくらになるの?

(2) 連帯保証人に迷惑がかからないのは任意整理

連帯保証人がついている債務を整理の対象から外すなど、債務整理をする債務者を自由に選択できる債務整理方法は任意整理だけです。

継続的な収入があり、利息を除く借金の残額(元本)を5年以内に返済できるのであれば、減額率は低いですが任意整理を選択するのも一案です。

任意整理は借金問題が初期段階の場合のみ選択できる手段と言えるので、お考えの際はできるだけ早く弁護士に相談してみてください。

3.自己破産は早めにご相談ください

家族に迷惑がかかるのではと思い自己破産を躊躇っている方がいらっしゃいましたら、まずは泉総合法律事務所までご相談ください。

泉総合法律事務所では、自己破産を含めた債務整理の検討をしている方へ、豊富な経験に基づいて、どのような影響・どういった不利益が考えられるか、そしてリスクを回避するためにはどういう手段があるのかについてじっくりとご説明したうえで、最善の解決策をご提案いたします。

借金問題に関するご相談は何度でも無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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