自己破産中にキャリア決済(携帯決済・かんたん決済)はできる?
債務整理(自己破産・個人再生・任意整理)をすると、生活に不便が出るのが困るという意見も多いです。
具体的には、クレジットカードが利用できなくなり、車や住宅などのローンを組むことができなくなります。
そんな中、最近ではキャリア決済という方法を利用する人が増えています。
これは債務整理手続き中や手続き後でも使えるという噂がありますが、本当なのでしょうか?
今回は、債務整理とキャリア決済について解説します。
1.キャリア決済とは?
現金以外の決済方法としてはクレジットカードが今でもメジャーですが、最近ではこれ以外でも様々な決済方法が登場しています。
特に「キャリア決済」という決済手段は聞き覚えがある方がほとんどでしょう。
キャリア決済とは、携帯会社が導入している決済手段のことです。キャリアが契約者に対し IDとパスワードを設定してもらい、これをもって支払いを可能にする方法です。
d払いやソフトバングまとめて決済、au簡単決済などが挙げられます。
購入した商品やサービスの代金は、携帯利用料金の支払いとして月に1回まとめて支払うのが特徴です。
キャリア決済とクレジットカードの大きな違いは、利用上限にあります。
クレジットカードの場合は新規入会でも20万円程度まで利用できる会社が多いですが、キャリア決済の場合は1万円〜10万円程度と小額です。
少ない金額のみの決済を想定しているため、クレジットカード会社の加入審査のような信用情報審査もありません。
スマホキャリアと契約していれば、誰もがキャリア決済を利用できるということです。
キャリア決済は主に、ネットショッピングなどに利用されています。クレジットカードを持っていない人でもネットショッピングの際にわざわざ振り込みをする必要がないため、大変便利なのです。
2.債務整理手続き中のキャリア決済
では、債務整理の手続き中でもキャリア決済は利用できるのでしょうか?
結論からいって、利用は可能です。
なぜならキャリア決済は信用情報を利用しないためです。
債務整理後にクレジットカードやローンが使えなくなるのは、債務整理をすると金融事故情報として信用情報機関に登録されるからです。
金融機関や消費者金融は、信用情報機関にその人の事故情報が載っていることを確認すると、審査に落としてしまいます。
[参考記事]
信用情報機関とは?|信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)とブラックリスト
一方、キャリア決済の場合は小額決済のため審査がなく、基本的には債務整理手続き中であったとしても利用を拒否されることはないと考えられます。
ただし、これは携帯料金の通信料や本体代金の滞納をしていないことが前提です。
携帯電話の利用料・本体の分割払いを滞納している場合には、滞納から2ヶ月程度で強制解約され、キャリア決済も使えなくなるでしょう。
[参考記事]
携帯代が払えない!携帯料金未払いも弁護士が解決します
3.自己破産手続きをする場合のキャリア決済の注意点
債務整理中でもキャリア決済を利用することは可能ですが、注意点があります。
特に自己破産手続きをする場合は深刻な問題に発展する可能性がありますので、よく確認することをお勧めします。
(1) 自己破産をする場合はキャリア決済をすべきでない
具体的に言うと、後払いのキャリア決済=借金と捉えられてしまう可能性があることに注意が必要です。
自己破産手続きでは、一部の債権者のみに返済すること(偏頗弁済)は禁止されています。
仮に偏頗弁済をしてしまった場合には、免責不許可事由となってしまい、自己破産が認められなくなってしまう可能性があります。
すなわち、キャリア決済が携帯電話会社への偏頗弁済と捉えられ、自己破産手続きに悪影響を与えてしまう可能性が0ではないのです。
また、携帯電話の本体代金や利用料に滞納がなくても、キャリア決済が債務であると考えられてしまうと、携帯代金が債務整理の対象となり、強制解約で携帯電話の利用を続けることが難しくなってしまう可能性もあります。
自己破産以外の債務整理でも、手続き中はキャリア決済を利用しないに越したことはありません。
仮にどうしても利用する必要がある場合は、必ず弁護士に相談してからにしましょう。
(2) キャリア決済の現金化は絶対NG
債務整理手続き中にキャリア決済の利用ができる場合、キャリア決済で購入したサービス券、商品券などを現金化する人がいるようです。
しかし、これをしてしまうと、個人再生や自己破産は認められなくなってしまう可能性があります。
ちなみにこのような利用方法に関しては携帯会社の利用規約にも反しています。
お金の出どころは裁判所や弁護士による調査で必ずバレてしまいますので、絶対にしないでください。
[参考記事]
クレジットカード現金化の違法性・リスクを解説
4.債務整理後にキャリア決済は使える?
債務整理後であれば、キャリア決済を利用することは可能です。
携帯電話会社との契約が続く限りは、債務整理後であってもキャリア決済が利用できると考えて良いでしょう。
気をつけるべきは、スマホの分割払いです。
債務整理後に新規で携帯電話を契約する場合は、スマホ本体の分割払いは利用できません。これには信用審査が必要となるためです(新しいスマホが欲しい場合は一括払いをおすすめします)。
[参考記事]
自己破産したら携帯電話やスマホは使えなくなるの?
そもそも携帯電話を所持して契約していなければキャリア決済は利用できませんので、留意するべきはその点のみと言えるでしょう。
ちなみに、回線の契約は債務整理後でも問題なく行えます。
(スマホの利用料金を滞納して自己破産や個人再生をした場合には、当該携帯キャリアと契約できなく無くなる可能性はありますが、他の会社では問題なく契約できます。)
5.債務整理に強い弁護士にご相談を
キャリア決済は、債務整理後でも利用できる便利な決済手段です。他の決済手段と並行して利用していくことで債務整理後でも不自由なく支払いをすることができるでしょう。
しかし、債務整理中のキャリア決済利用には注意する必要があります。債務整理中、特に自己破産中は利用すべきではありません。
債務整理をご検討中の方は、債務整理に強い法律事務所にご相談ください。
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