自己破産の原因・理由は?低所得・カード破産・ギャンブルなど
「自己破産」は、借金が膨れ上がり、首が回らなくなってしまった人がする最終手段と言えるものです。
借金する理由は、ギャンブルや浪費だけではありません。
生活費や医療費など、もしかしたら誰しもが何らかのきっかけで借金に苦しんでしまうかもしれないのです。
そして、その原因や借入先によっては、自己破産をする際に注意をしなければならないことがあります。
この記事では、自己破産の原因を、年齢別の傾向も含めて解説します。
1.自己破産の理由の統計
まず、財務局などに寄せられた、相談者が「借金をしたきっかけ」の件数を調べてみました(2020年の年間データ)。
低収入・収入の減少 | 1,650件 |
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商品・サービス購入 | 974件 |
ギャンブル等 | 240件 |
その他遊興費 | 169件 |
事業資金の補填 | 314件 |
保証・借金肩代わり | 375件 |
住宅ローン等の借金の返済 | 653件 |
本人、家族の病気、けが | 57件 |
その他 | 1,032件 |
参考:多重債務者対策を巡る現状及び施策の動向(令和元年6月17日発表)
直接的な自己破産の原因ランキングなどとは異なるデータですが、これを見ると、借金の原因として最も多いのは「低収入・収入の減少」です。借金をした人全体のうち約30%の人がこれを理由に借金しているとも言われています。
元々の収入が低かったり、失職して給料がなくなってしまったり、不景気で給料が少なくなってしまったりして、日々の食費や光熱費の支払いに困り、消費者金融から借金してしまうのです。
最初は数万円の借金だったのが数十万円となり、100万円を超えてくると「借金で借金を返す」といった自転車操業に陥ってしまうのが典型パターンです。
2.自己破産原因の年代別特徴
上記のような借金の理由、自己破産の原因については、年代別によって特徴もあります。
(1) 若年層(20代~30代)
20代の方ならば、社会人になってキャッシング機能付きのクレジットカードを作り、これをきっかけに借り入れをするようになったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
若年層の自己破産の主な原因(理由)としては、社会人になってカードを持つようなり、学生時代のアルバイトよりかはるかに多い収入を得るようになったため、趣味、飲み会、友人とのお付き合いといった出費が多くなり、生活費を圧迫してしまったといった事が挙げられます。いわゆるカード破産です。
また、学生時代に借りた奨学金の返済が生活を圧迫していることもあるようです。
[参考記事]
奨学金の返還期限猶予が満了しても払えない場合の対処法
(2) 中年層(40代~50代)
中年層の方は、住宅ローン、お子さんの教育費、親の介護と、何かと支出が多いです。
また、思うように昇給・昇進できず予期せぬ減収となってしまったり、リストラされてしまったり、転職によって給料が今までの半分になってしまった、という方も少なくありません。
また、友人との付き合いを断れなかったり、異性に対して見栄を張ってしまったりした結果、浪費・遊興費が嵩んで破綻してしまい自己破産、という人も少なくないようです。
(3) シニア層(60代~)
シニア層の方は、定年退職により今までの収入がなくなってしまった、というのが一番の原因です。
クレジットカードで買い物をしても、会社員時代は安定した収入があったため、特段支払いには困らなかったはずです。
しかし、定年退職した、もしくは再雇用で何とか仕事に就けたとしても給料は今までの半分になってしまったといった場合には、それまでのようにクレジットカードの支払いができなくなってしまうことも少なくありません。
住宅ローンの返済が重くのしかかってくるということもあります。
70歳の完済予定で住宅ローンを組み、定年退職後は退職金で支払う予定だったのが、思ったほど退職金が出なかった、というケースです。
さらに、連鎖的な破産もあります。
例えば、お子さん(若年層、場合によっては中年層)が奨学金を受けており、親御さんが保証人になっていた場合、お子さんが借金を支払えなくなってしまうと、保証人である親御さんに請求が来ます。そして親御さんがこれを払えないと、親御さんも自己破産をしなければならない場合もあります。
これが、冒頭で挙げた自己破産の原因の「保証・借金肩代わり」の例の1つです。
[参考記事]
連帯保証人が自己破産した場合の主債務者への影響
3.自己破産においては借入原因が重要な理由
弁護士などに債務整理の相談をした場合、必ず上記のような「借入の原因」を聞かれると思います。
また、裁判所に提出する破産申立書にも、借入の原因は必ず記載します。
このように、自己破産において借入原因は非常に重要となります。
その理由は、借入原因の中に浪費やギャンブルといった事情があると、それらは「免責不許可事由」になり、自己破産手続きに支障が出る可能性があるからです。
免責不許可事由に該当する悪質な行為がある場合、自己破産が認められないケースがあるのです。
もっとも、免責不許可事由に該当しても、実際には裁量免責(裁判官がその裁量で免責=借金の免除を許可すること)が存在するため、自己破産に失敗することは稀です。
[参考記事]
ギャンブルで作った借金でも自己破産できる!
しかし、免責不許可事由があるならば、債務の調査も念入りに行われることになるため、管財事件になってしまう可能性が高くなります。
管財事件になってしまうと、破産管財人が就く関係で、同時廃止事件に比べて費用面などで破産者の負担が大きくなります。
[参考記事]
自己破産で管財事件になったら|流れ・期間・予納金等を解説
4.自己破産するにあたって注意を要する借入
最後に、自己破産するにあたって注意を要する借入の内容としては、以下のようなものがあります。
(1) 住宅ローン
自己破産の申立を弁護士に依頼した場合、住宅ローンも含めて金融機関への支払いをストップすることになります。
そうすると、ローンを組んだ銀行としては、ローンの残金を回収するために当該住宅に付けられた抵当権を実行することとなります。
つまり、自宅を処分されてしまうということです。
どうしてもマイホームを守りたいという場合は、自己破産ではなく個人再生を選択する等の方針を考える必要があるでしょう。
[参考記事]
自己破産をすると住宅ローンはどうなる?自宅を残す方法は?
(2) 勤務先からの借入
勤務先からの借入の場合、返済方法が給与からの天引きになっていることが多いと思います。労働金庫や公務員共済組合からの借入の場合も同様です。
これら勤務先なども債権者であることには変わりないため、自己破産の申立をする場合、当該勤務先などにも弁護士事務所からの受任通知を送ることになります。
この場合、勤務先には債務整理の事実が伝わってしまいます。
もっとも、法律上、債務整理(自己破産の申立を含む)をしたことだけで、勤務先が解雇することは認められていません。
とは言うものの、やはり、職場に自己破産の事実が知られてしまうと仕事がやりにくくなってしまうのは避けられないでしょう。
(3) ギャンブルや浪費などによる借金
先述しましたが、ギャンブル(パチンコ・スロット・競馬など)や浪費による借金は、免責不許可事由に含まれます。
「自己破産をお願いする弁護士などに借金の理由を正直に打ち明けること」「ギャンブルを止めること」「借金をしてまでギャンブルをしたことを反省すること」などにより裁量免責を受けられる可能性は高いですが、手続きは原則として「管財事件」として進められることを覚えておきましょう。
5.まとめ
借金自体は悪ではありません。住宅ローンや教育ローンなど、一括で払いきれないだけのお金が必要になる事もありますし、分割払いは生活を送る上で非常に便利なものです。
しかし、借金をする際は、「本当に必要な借金なのか?」「後から苦しくならないのか?」ときちんと考えてから借りるようにして、実現可能な返済計画を立ててから借りることが大切です。
もし既に借金で首が回らなくなってしまっているのなら、債務整理をおすすめします。
泉総合法律事務所では債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)の相談をお受けしています。
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