債務整理 [公開日]2022年2月2日

債務整理を自分で行うことのリスク・デメリット

借金を滞納したまま放置していると、利息や遅延損害金などが膨れ上がってしまい、借金問題が悪化の一途を辿ります。財産の差し押さえを受けることもあるでしょう。
そういった事態を避けるためには「債務整理」をする必要があります。

債務整理をするときに、弁護士に頼らず自分自身で何とかしようと考える人もいるようです。
弁護士に依頼するにはお金がかかります。費用を節約するために自力で債務整理をしたいと考えても仕方ないでしょう。

しかし、弁護士の力を借りずに債務整理を行うのは危険と言えます。
どういったリスクがあるのか、本記事で紹介します。

1.債務整理の効果

まずは、債務整理によって受けられる効果を簡単に説明します。

債務整理は主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類あります。それぞれの概要だけでも押さえておきましょう。
詳しい概要を知りたい方は、各リンク先をご参照ください。

任意整理
債権者と交渉して総返済額を減らしてもらい、分割払いします。減額効果は高くないため、少額の借金でお悩みの方向けの手続です。

個人再生
裁判所で借金を大幅に減額してもらい、分割払いにする手続です。減額効果は高いですが、手続がかなり複雑です。

自己破産
裁判所で借金を0にしてもらう手続です。無職の方でも利用できますが、いくつかのデメリットを受ける可能性はあります。

2.債務整理を自分ですることの問題点

「債務整理は弁護士へ!」などという宣伝を見たことがある方も多いのではないでしょうか?
このような広告により「債務整理は必ず弁護士に依頼する必要がある」と思っている方もいるようです。

実は、債務整理は専門家に依頼せず、債務者本人が行っても問題はありません。「弁護士でなければ債務整理をしてはならない」という法律はないのです。

これを知って「弁護士費用を節約するために自分で債務整理をしたい!」と思う方もいるでしょう。

しかし、現実は甘くありません。法律上は債務者自身で債務整理をできることになってはいますが、弁護士に依頼しないと最初の段階で躓くことも多いです。

(1) 任意整理の交渉に応じてもらえない

任意整理をするには、債権者と債務者が交渉をする必要があります。

しかし、個人で交渉を申し込んでも、債権者が交渉に応じてくれないかもしれません。
減額・リスケジュールの話し合いどころか、任意整理のスタートラインにすら立てない状態に陥る可能性があるのです。

なんとか債権者との交渉を始められたとしても、その交渉の際に、自分のペースで話し合いができる可能性は低いでしょう。

債権者は通常、貸金業などを生業としている業者です。借金に関する法律を熟知していますし、債務者を納得させる手法も知っています。

一方、債務者の多くは法律の素人です。交渉するための武器がないことの方が多いでしょう。

任意整理の交渉をすると、債権者が債務者の知識不足につけこんでくる可能性があります。債務者が気づかないうちに不利な条件で合意させられるかもしれないリスクがあるのです。

(2) 裁判所を通す手続は難しい

個人再生と自己破産は裁判所で行う手続です。債権者と交渉を行う必要は基本的にありません。

しかし、裁判所の手続というものは手間と時間がかかるものです。
多種多様な書類を集めて裁判所に提出しなければなりませんし、裁判所が用意する書式に則った書類の作成も求められます。

裁判所に書類を提出して申立てが認められた後であっても、書類の不備などの問題が生じるおそれがあります。
足りない書類や間違った記載をした書類があると、申立てをしても門前払いされてしまいます。

仮に申立てが通ったとしても、後で追加や修正を求められ、期限までに対応できなければ手続が打ち切られることがあります。打ち切られた場合は最初からやり直しとなり、書類集めや作成から再開しなければなりません。

裁判所側も手続の難解さを理解しているらしく、弁護士の存在を前提として制度の運用をしている部分があります。

手続に失敗して手間と時間を無駄にするリスクを避けるために、最初から弁護士に依頼することを強くおすすめします。

なお、裁判所は平日しか開いていません。自分で手続を行うならば、書類の提出や各種手続のために仕事を抜け出して裁判所へ行く必要があります。

(3) 費用が余計にかかる可能性

これも、裁判所を使う債務整理で起こりがちな問題です。

例えば東京地裁で個人再生をする場合、個人再生手続を行う「個人再生委員」へ報酬を支払う必要があります。

報酬額は、弁護士がいれば15万円程度で済みます。しかし弁護士がいない場合、25~30万円程度支払わなければなりません(東京地裁の場合)。地域によっては、弁護士がいれば個人再生委員が選任されないところもあります。

自己破産の場合も、弁護士がいた方が得になることが多いです。

自己破産は費用の高い「管財事件」と、費用の安い「同時廃止」のどちらかの手続で進みます。どちらを行うかは裁判所が決定します。
弁護士に依頼すれば、できる限り管財事件ではなく同時廃止となるような対策を練ってくれるでしょう。

また、一部の裁判所では、管財事件の中でも費用の安い「少額管財」という制度を運用しているところもあります。
少額管財は基本的に弁護士がいる場合にのみ用いられるため、弁護士がいた方が、結果的に裁判所費用が安く済む可能性が高くなります。

(4) 督促が続く

あなたが債務整理の準備を行っている間でも、滞納している借金の督促が届きます
「もうすぐ債務整理をするから」と思って滞納を続けることにより、財産や給与を差し押さえられる可能性も0ではありません。

自己破産や個人再生をするときは、準備に2ヶ月程度の時間が必要なことも多いです。
痺れを切らした債権者が何らかの方法で債権を回収しようとすることは想像に難くありませんし、そのための時間も十分にあります。

弁護士に依頼すると、債権者は「受任通知」により、弁護士を通さなければ債務者とやりとりできなくなります。
督促・支払が止まるため、資金を貯めながら債務整理の準備に取り掛かることが可能です。

督促がとまる「受任通知」とは

3.リスクを回避するなら弁護士へご依頼ください

自分で債務整理を行おうとすると、様々なリスクに晒されます。債務整理に失敗してしまうことも多いです。

債務整理は、最初から弁護士に頼ることがお勧めです。

弁護士に依頼すれば、書類の収集・作成や手続を正確に行ってくれるだけでなく、裁判所への出頭も代理人として同行してくれます。

裁判所へ納める申立て費用が安くなったり、少額管財を利用できたりなどのメリットを受けられたりするなど、弁護士費用を考慮しても、弁護士に依頼した方が最終的にお得に債務整理ができる可能性が高いでしょう。

債務整理をお考えの方は、どうぞお気軽に泉総合法律事務所にご相談・ご依頼ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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