債務整理のデメリット一覧|クレジットカード・車・携帯電話
借金を返済できなくなった人にとっての強い味方となるのが「債務整理」です。
債務整理をすることで借金を減額したり、支払義務を免除してもらったりすることができます。
しかし、債務整理は債務者にとって一方的に有利なことばかりなのでしょうか?
実は、債務整理には一定のデメリットもあります。
もしデメリットを知らずに債務整理をしてしまうと、想定外のトラブルが身に降りかかるかもしれません。
しかし、デメリットを前もって知っておけば、そのデメリットをできるだけ回避した対策を取ることも可能です。
ここでは、債務整理を検討している人のために、債務整理のデメリットを紹介していきます。
1.債務整理とは?
まずは、債務整理についてごく簡単に説明します。
詳しく知りたい方は各リンク先をご参照ください。
(1) 任意整理
債権者と交渉して、将来発生する予定の利息や遅延損害金等をカットしてもらいます。その後、債務を原則3年程度かけて毎月少しずつ返済していきます。
減額率は高くありませんが、費用が安価で済み、手続きを早く終わらせることが可能です。
また、自己破産や個人再生と違って、整理したい債務を選択できる点もメリットです。
(2) 自己破産
裁判所に申立てをして、借金を帳消しにしてもらう手続きです。
滞納した税金などの特殊な債務を除いた借金が全て0になるので、減額効果は抜群です。
(3) 個人再生
裁判所に申立てを行い、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
多くのケースでは借金が5分の1程度になりますが、ケースによっては最大で10分の1(つまり9割カット)になる例もあります。
減額後の借金は、原則3年程度かけて毎月分割払いをすることになります。
また、住宅ローンが残っているマイホームを残したまま減額できるという点も大きなメリットです。
2.債務整理のデメリット
ここからは、本題である債務整理のデメリットについて紹介していきます。
(1) ブラックリストに掲載される
債務整理をすると、その情報が「信用情報機関」という場所に登録され、貸金業者やクレジットカード会社の間で5~10年程度共有されます。
この期間中にローンやクレジットカードを申し込むと、審査の際に債務整理の情報が参照され、「過去に債務整理をしているから、返済能力に問題があるだろう」という判断がされてしまいます。
結果として審査に落ちてしまい、ローンを組めなくなったり、クレジットカードを新規作成・更新できなくなったりします。もちろん、金融機関や銀行から新たにお金を借りることもできません。
この状態を一般的に「ブラックリストに載った」などと表現します。
一定の期間が経過すれば債務整理の情報は抹消されるため、審査に通りやすくなります。
しかし、過去に債務整理をして当初の約定通り返済しなかった会社には、別途その情報が社内で半永久的に保存されることがあります(社内ブラック状態)。
このため、10年以上経った後で申し込んでも、取引を断られる可能性が高いです。
債務整理をしてブラックリストの期間が明けた後は、それまで取引したこととない業者を選ぶのが無難です。
なお、手続き当時に利用していないクレジットカードでも、途上与信や更新の際に信用情報機関が参照されるため、債務整理後はやがて全てのクレジットカードが利用できなくなってしまうでしょう。

[参考記事]
信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)|ブラックリストとは?
(2) 財産を処分される可能性がある
これは、自己破産で特に顕著なデメリットです。
自己破産をすると、一定額以上の自分の財産が処分されてお金に換えられ、債権者への弁済に充てられます。それでも残った借金について、ようやく支払いを免除してもらえるのです。
基本的には以下の財産が処分の対象です(詳細は各裁判所によって異なります)。
- 99万円以上の現金
- 20万円以上の財産(預貯金・自動車・保険の解約返戻金など)
査定額が高額な新しい車や、持ち家などの不動産はほとんどのケースで処分の対象となります。

[参考記事]
自由財産とは|自己破産しても財産が残せる!拡張は可能か?
一方、個人再生や任意整理の場合は基本的に財産を処分する必要はありません。
しかし、個人再生において手元に残す財産の評価額が多い場合は、最終的な返済額が上がってしまう可能性があるので、弁護士と相談して対策を考えた方が良いでしょう。

[参考記事]
個人再生の最低弁済額|月々の支払いはいくらになるの?
なお、債務整理の対象にマイホームや車などのローンが残っている品物があると、債権者がローンの対象物を回収してしまうことが多いです。
ローンの支払中は、基本的にローンの債権者が所有権を持っているからです。
つまり、例えば車のローン支払い中に自己破産や個人再生をしようとして着手した場合、その車は債権者に引き上げられてしまう可能性が高いのです。
個人再生では、通称「住宅ローン特則」という制度を利用することで、住宅ローン支払中の持ち家は手元に残すことができますが、それ以外のローンは注意が必要です。
ちなみに任意整理では、整理を行う債権者を選ぶことができるため、ローンがある債務を整理の対象から外すことで財産の処分を免れることができます。
債務整理をしたときに携帯電話の通信料金等を滞納していた場合、通信会社が契約を強制解約する可能性があります。また、端末本体の代金を分割払いしており、債務整理時に完済していない場合も、契約が解除されるおそれがあります。
裏を返せば、「端末本体の代金を支払済み」「通信料金を滞納していない」という2点を満たしていれば、債務整理後も携帯電話を継続して使うことが可能です。
問題は債務整理後に携帯電話を新しく持ちたいときです。債務整理後は本体代金を分割払いで購入することができなくなります。
一括払いすれば問題ないので、債務整理後は一括払いで入手できる端末を選択してください。
通信契約については、通信料金の未払いがあると、新規契約も乗り換え契約もできません。
【参考】自己破産したら携帯電話やスマホは使えなくなるの?
(3) 一部の資格が制限される
自己破産をした場合は「資格制限」といって、一定期間特定の職業に就くことができなくなります。
これは、自己破産の申し立てから免責まで(長くて半年程度)の期間であり、その間に休業や休職・配置転換することで乗り切れることが多いです。
しかし、該当する職業の人は、会社などに自己破産が知られてしまうおそれがあります。
自分の職業は資格制限されるのかどうか、予め弁護士に確認しておきましょう。
(なお、法人は債務整理を理由として従業員を解雇することはできません。)

[参考記事]
自己破産と仕事の関係。職業・資格制限とは?職場にバレたら解雇?
(4) 債務整理を周囲に知られる可能性
債務整理をしたことを周囲に知られたくないという人も多いはずです。
自己破産や個人再生は裁判所を通して行うため、裁判所に通ったり、裁判所からの郵便物が届いたりすることで、家族に借金のことがバレる危険性があります(しかし、弁護士に債務整理をしてもらえば、書類等は基本的に弁護士事務所に送られるので、バレるリスクを大幅に減らすことが可能です)。

[参考記事]
家族に内緒で債務整理|バレない方法はある?
なお、自己破産や個人再生をすると、その旨が「官報」という日本国の機関紙に公開されてしまいます。
しかし、官報を日常的に読む人はほとんどいないため、ここからバレることはほとんどありません。

[参考記事]
自己破産・個人再生で官報に載るとどうなる?
こういった意味では、家族や周囲に最もバレにくい債務整理は任意整理です。
任意整理は裁判所を通さないので、必要書類も少なく、手続き期間も短く済みます。弁護士に任せておけば交渉も代行してくれて安心でしょう。
ただし、どのような債務整理をしたとしてもブラックリストには載ってしまいます。将来ローンを組もうとしたときに審査に落ちてしまい、怪しまれた結果バレる可能性は否定できません。
(5) 保証人への影響
債務整理の効果は、債務整理をした本人にのみ及びます。
保証人や連帯保証人には債務整理の効果が及ばず、当初の約定通りの支払義務が継続するのです。
そのため債務整理を行うと、債権者は保証人に借金の支払いを請求するようになります。
もし保証人に債務整理のことが伝わっていない場合、保証人としては寝耳に水の大騒ぎとなってしまうでしょう。
保証人とトラブルになることを防ぐため、債務整理をする前は保証人とよく相談しておくことが大切です。

[参考記事]
自己破産をすると連帯保証人にどのような影響を与えるか?
3.最適な債務整理方法の検討は弁護士へ相談を!
このように、債務整理には借金を減免できるメリットがありますが、一定のデメリットも存在します。
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(下二つは任意整理ならば回避できる可能性) |
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どのデメリットを回避したいのか、どのくらいの減額を望むのか、そもそもどの程度の月額支払いが可能なのかなどによって、選択すべき債務整理は変わります。
自分にピッタリの債務整理を知るには、弁護士に相談するのが一番です。
借金問題でお悩みの方は、ぜひ一度泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。