借金返済 [公開日]2018年6月22日[更新日]2024年5月7日

借金がある彼氏と結婚しても大丈夫?

「結婚を約束していた彼氏の借金が発覚しました。多額の借金があると分かればその後の生活も不安で一杯です。このまま結婚しても大丈夫なのでしょうか?」
「借金がある人と結婚すると、具体的に自分にはどのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか?」

このように、結婚前提で付き合っている彼の借金が発覚した場合、誰でもパニックになってしまうことでしょう。
借金があるならば結婚を諦めようと思う方もいれば、結婚のためになんとか借金問題を解決してほしいと望む方もいるかと思います。

ただ慌てても事が進みません。借金がある人と結婚する前に、まず冷静に状況を把握し、解決方法を模索することが肝心です。

今回は、彼氏の借金が発覚した場合に彼女としてできることや、結婚後に後悔しないための対応についてご提案します。

1.彼氏の借金が発覚した場合の正しい対応

彼氏が借金をカミングアウトしてきた場合(もしくは彼氏が隠していた借金の事実を知ってしまった場合)、彼女としては、まずは借金額と月収のヒアリングをしましょう。

(1) 借金の理由と金額・月収を聞く

多額の借金があっても、月収が多ければそれほど困ることはないかもしれません。
しかし、例えば月収が少ないのに大した理由もなく(もしくはパチンコやギャンブルなどの理由で)業者から100万円以上借りていて、毎月何万円以上も返済に充てなければならない状況であれば一大事です。

収入に見合わない多額の借金をする人は、金銭感覚に乏しい可能性が高いです。
月収と借金総額と月々の返済額を見比べ、この先返済可能かどうか把握することが第一です。

確かにお金のことは聞きにくいものですが、今後どうするか決めるためにも、意を決してしっかりと聞きましょう。

借金額を聞くときのコツは「問い詰めない」ことです。男性はプライドが高いので、お金のことで女性から責められるとお互いの関係が悪くなる可能性があります。

また、詰問口調で追い詰めると、相手が正確な情報を言わない可能性があります。
とにかく冷静に、感情的にならず、相手が正直に話せるような雰囲気にもっていきましょう。

【過払い金の有無も確認】
借金をしていた時期によっては、利息を払い過ぎている可能性もあります。特に、2010年以前にお金を借りている場合は、過払い金が発生している可能性もあります。
高額の借金があり、2010年以前から借金し続けている場合は、法定利息を上回る利息を払っている可能性があるので、実は借金は残っていないかもしれません。心当たりがある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

(2) 彼氏の態度をチェックする

彼氏の借金理由と並んで、彼氏の態度も今後どうするかの決定打になるでしょう。
以下のような場合は結婚に不安が残るため、今後について考え直してみることもお勧めします。

  • 返済の意思がない
    借金の話をしてもきちんと返済する意思が感じられない場合は、お金についていい加減な性格なのかもしれません。結婚後に何かトラブルがあっても、自分で責任をとらない可能性が高いです。
  • 借金の考え方が甘い
    多額の借金を抱えていても、具体的な返済計画も立てず、「きっと何とかなるだろう」という甘い見通しを持っているなら要注意です。金銭感覚はなかなか修正できませんので、結婚後にすれ違いが起きる可能性もあります。
  • 話し合いにならない(向き合わない)
    借金の話し合いをしても、借金額の詳細を言わない、真面目に向き合わない、聞く耳を持たない、という状況であれば結婚を前に進めるのは危険かもしれません。お金以外の点でも、一緒に問題解決していける相手ではないかもしれません。
  • お金の無心をしてくる
    開き直ってお金を貸して欲しいと言われたら、安易に応じることはやめましょう。事情にもよりますが、例えば浪費やギャンブルで作った借金払いのためにお金を無心してくるようであれば、結婚後はさらにお金を借りる可能性が高いです。

2.借金の清算方法

彼氏が借金を抱えていても、例えば「親の病気の医療費を捻出したため」「奨学金の返済で生活費が足りなくなったため」など、借金に特別な事情があったり、返済に対する責任感が感じられたりする場合は、無理に結婚を諦めることはありません。
しかし、結婚するのであれば、今後の結婚生活のためにも、結婚前に借金を清算してもらうことをお勧めします。

以下、借金の清算をする手順を紹介します。

(1) 返済計画を立て直す

彼氏の借金額と月収が分かったら、最初に収支表(家計簿)を作りましょう。

多額の借金を抱えている人でも「気づいたら借金が増えていた」ということも多く、その場合は、家計管理がきちんとできていない可能性があります。
収支表を作って無駄な支出はないか確認するだけでも、家計の支出は抑えることが可能です。また、今後、不要な借金を作ることもなくなります。

収支の目標は、月収から生活費と借金返済を引いて2万円ほど余る状態です。というのも、日常生活では冠婚葬祭、急病など、臨時出費が必要なときがでてきます。
毎月ギリギリで貯金が0だと緊急事態に対応できなくなるので、蓄えが全然ない場合は少しでも収支に余裕を持たせることが肝心です。

まずは一緒に支出表を作り、無駄な出費を把握して返済計画を立て直して見ましょう。

(2) 支払い不能とわかった場合の対策

収支表を作ってみて、最低限の生活費と返済額の合計が月収を超えてしまう場合、「支払い不能」と判断せざるを得ません。

その際、援助をして一緒に返すのは控えた方が賢明です。借金の返済を手伝うと、結婚後もあてにされる可能性が大きいです。
責任感を持ってもらうという意味でも、彼氏の借金は結婚前に自分で整理してもらいましょう。

借金の支払いがどうしてもできないときは、債務整理で法律的に借金を整理することが可能です。

債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産があり、収入や借金の状況に応じていずれかを選択します。

  • 任意整理…借金を減額する制度で、将来利息のカットと、支払期間を調整することで残りの返済をできるようにします。債権者との任意の話し合いだけでOKで、裁判所も介さずに手続きできます。
  • 個人再生…借金を大幅に減額する制度で、多額の借金を抱えた人に適しています。借金をおよそ1/5まで圧縮できますが、安定的な収入があることが条件です。
  • 自己破産…借金を全額免除してもらえる制度です(ただし、ギャンブルなどが原因の場合は免除の条件が厳しくなります)。資産価値の高い財産が一部処分される点がデメリットですが、生活必需品や最低限の資産は手元に残せます。

債務整理=破産というイメージを持つ人も多いと思いますが、日本で行われている債務整理方法で最も多いのは任意整理です。
特に、もし利息が多額で元本がなかなか減らないと言う場合には、任意整理でも十分返済の見通しが立ちます。

3.債務整理のメリットとデメリット

(1) メリット

取り立てがなくなる

債務整理を弁護士に依頼した場合は、債権者(お金を貸した業者)からの借金の取り立てがなくなります。
これは、弁護士が代理人となった後に債権者が直接債務者(お金を借りた人)に連絡を取ることを禁止する法律があるためです。

そのまま債務整理手続きが成功すれば、(新たな分割払いの計画が滞らない限り)結婚後も返済の督促に怯える必要はありません。心機一転、2人で新しい生活を築くことが可能です。

借金が減り、貯金ができるようになる

任意整理、個人再生を選べば借金は減額され、自己破産をすれば借金は全額免除となります。
債務整理をすると借金の支払い負担が大幅に軽減されるので、赤字だった収支も黒字にすることが可能です。

例え減額後の返済が残っていても、債務整理後は将来のために少しずつ蓄えることもできるようになるでしょう。

(2) デメリット

5年ほど借入ができない

債務整理をすると、いずれの制度を選択しても、手続き以後5~7年は新たに借り入れをすることはできません。これは、債務整理をしたという事実が信用情報機関に登録され、以降の金融審査に落とされてしまうからです(=ブラックリスト状態)。

結婚前であれば結婚費用も借りられなくなります。
また、結婚後もブラックリストの登録が消えるまでは、夫の名義で住宅や車のローンを借りることができません(保証人にもなれません)。クレジットカードの利用・新規作成もできなくなることも覚えておきましょう。

ただし、その間も配偶者名義(妻の名義)などでお金を借りることは問題ありません。
ブラック期間中は、収入のある家族の名義でローンを組むなどして乗り切りましょう。

ブラックリストについて詳しくは以下のコラムをご覧ください。

[参考記事]

信用情報機関とは?|信用情報機関の違い(CIC・JICC・KSC)とブラックリスト

自己破産の場合は財産を一部処分される

自己破産の場合には、借金が全額免除される代わりに、破産者(彼氏)の財産が一部処分される可能性があります。
これは、自己破産において債権者の権利を最大限確保するために、価値ある破産者の資産を換価して債権者へと配当するためです。

破産者以外の名義の物が処分されることはありませんが、例えば、あなたが共同で使っていた彼氏名義の車があるならば、そのような資産は処分される可能性があることを覚えておきましょう。

4.まとめ|借金問題の相談は弁護士へ

結婚前提で付き合っている彼氏の借金は、ともすれば大問題になります。

もし、借金理由が浪費やギャンブルで、返済の見通しも甘いようであれば、結婚を考え直すことも必要かもしれません。
しかし、生活費や医療費などやむを得ない事情による借金の場合もあるので、まずはよく二人で話し合いをしましょう。

また、どうしても返せない場合は結婚前に債務整理するのが得策です。

泉総合法律事務所は債務整理の実績が豊富にあり、ご依頼者様それぞれにとって最善の解決法をご提案させて頂くことが可能です。相談は何度でも無料ですので、お困りであればぜひ一度お越しください。
(必ず、彼氏本人を連れて相談にご来所いただくようお願いいたします。)

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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