自己破産 [公開日]2017年10月5日[更新日]2021年11月22日

自己破産後は結婚に影響がある?

多額の借金を抱えている場合、結婚前に自己破産をすべきか迷う方もいらっしゃいます。
婚約した相手に打ち明けている場合は、2人で相談して決めることもできますが、内緒にしておきたい場合は問題も複雑になってきます。

今回は、自己破産後の結婚にどのような影響があるのか(結婚できないことはあるのか)、相手に隠して結婚は可能なのかどうか等について解説します。

1.自己破産は結婚に影響を与える?

まずは、自己破産と結婚の関係性について理解していきましょう。

自己破産をしてしまうと「将来の結婚に不利になるのでは?」と不安になる方は少なくありません。
すでに恋人がいて、結婚を考えている場合は特に心配でしょう。

しかし、結論からいって、自己破産と結婚には直接的な関係はありません
言い換えると、自己破産をしたとしても、手続中や手続き後に結婚が制限されるということはありません。

結婚前に借金問題を整理しておきたいという方もいらっしゃいます。結婚は新しい人生の一歩を踏み出す重要な節目となりますので、結婚前に自己破産をしておいて借金問題を解決しておくのは1つの良い選択肢と言えるでしょう。

2.自己破産後に結婚する際の結婚生活への影響

自己破産による結婚の制限はないとはいえ、自己破産後に結婚をした場合、結婚生活には一定の影響を与えるでしょう。
経済的影響や生活上の不便、結婚相手への影響について見ていきます。

(1) 経済的影響:家計に負担がかかる可能性

自己破産をすることで、原則として今抱えている借金の返済義務の全てが免除されることになります(税金など一部の債務を除く)。
これは多重債務者にとって大きなメリットであり、結婚前に自己破産をしておけば、その後の生活が楽になるという利点があります。

他方、自己破産には「一定以上の財産は処分され債権者に配当される」というデメリットもあるため、これが結婚や結婚生活に影響を与える可能性は否定できません。

具体的には、自己破産をすると99万円を超える額の現金は処分されてしまいます。
また、日用品や仕事道具などの自由財産は手元に残せますが、高価なブランド品や査定額の高い車、不動産などは処分の対象となる可能性が高いでしょう。

[参考記事]

自由財産とは|自己破産しても財産が残せる!拡張は可能か?

借金から解放されたという意味では経済的には楽になりますが、自己破産後の生活自体の余裕を生み出すのには時間がかかるでしょう。

自己破産後すぐに結婚しようと考えている方は、経済的に間接的な影響が出ることも想定してプランを立てるべきです。

挙式にはお金がかかります。親族からの援助等がある場合は別ですが、これらが期待できない場合には費用が捻出できず、結婚の時期に遅れが出ることが予想できます。

(2) 生活面での不便

他にも、以下のような生活上の不便が考えられます。

  • クレジットカードが作れない
  • ローンが組めない

自己破産をすると借金はゼロになりますが、手続き後7年〜10年程度は経済的信用が必要な審査は通らなくなってしまいます

例えば、今持っているクレジットカードは使えなくなってしまいます。また、新規のクレジットカードを作成することもできません。

結婚生活に不便を感じることがあるかもしれませんし、相手に自己破産を隠している場合、クレジットカードを持っていないことを不審に思われる可能性もあるでしょう。

[参考記事]

自己破産とクレジットカード|破産後に残せる?使える?

また、結婚後はマイホームを購入したいという方も多いかと思われますが、ローンについても自己破産後7年〜10年は組むことができません。
クレジットカードと同様に信用審査が必要になるためです。仮に住宅ローンを申請したとしても、審査には落ちてしまうでしょう。

[参考記事]

自己破産後、何年でローンが組めるのか

他にも、税理士や司法書士などの士業や、卸売業者、警備員、貸金業、保険外交員などでは、資格・職業制限の問題はありますが、これは手続期間中のみの制限ですので、それほどの問題にはならないでしょう。長い場合でも半年くらいを想定していれば大丈夫です。

[参考記事]

自己破産と仕事の関係|制限を受ける職業・資格一覧

(3) 結婚相手への直接的な影響はない

自己破産をすることによる、結婚相手や結婚相手の家族への直接的な影響はありません。

例えば、結婚したことにより、相手もクレジットカードが作れなくなったり、相手の預金まで処分されたりするような事態はありませんので安心してください。自己破産の手続きの対象は、あくまで申立人個人です。

なお、結婚後は配偶者の名義で家族カードを作成し、自己破産をした人がその家族カードを利用することも可能です。

3.結婚相手に自己破産がバレる可能性

最後に、結婚相手に隠して自己破産をした場合にバレることはあるのか、そして隠して結婚が可能なのか、について解説します。

結論からいうと、相手にバレる可能性は常にあると考えておくべきです。

現在同居している場合は、個人的な経済状況も知りやすい状態にありますので、クレジットカードを使っていないことを不審に感じることがあるかもしれません。

また、結婚後は、住宅ローンや車のローンを組みたいと相手が言い出した際にバレる危険があります。うまく切り抜けられる可能性は0ではありませんが、ローンが組めない・クレジットカードもないとなると、相手が勘づくことは十分にありえると想定しておくべきです。

過去の自己破産について、これから結婚する相手に全て説明する義務はないため、隠して結婚すること自体は可能です。しかし、結婚後に自己破産の事実を知った場合、相手は裏切られたような気持ちになってしまうでしょう。

自己破産を隠していた事実そのものが法律上の離婚事由となることはありませんが、関係に亀裂が生じれば、将来的な離婚の可能性もないとは言い切れません。知った場合に相手がどのような反応をするかを予想するのは難しいものです。

自己破産の影響は 7年から10年程度続きます。長い年月の間にバレてしまう可能性はあるので、理想としてはやはり相手に事前に伝え、理解を得てから結婚するのがおすすめです。

4.自己破産の疑問は弁護士へ相談を

自己破産に関する疑問、心配がある方は、お気軽に泉総合法律事務所の弁護士にご連絡ください。

自己破産の事実は「できるだけ周囲に知られたくない」という方は多いですが、その点も弁護士にご相談いただければ、自己破産に関する書類が自宅に直接行かないように配慮した上で手続きを進めることも可能です。

[参考記事]

家族に内緒で債務整理|バレない方法はある?

結婚を間近に控えた方の自己破産も含め、個々のケースに臨機応変に対応をさせていただきますので、どうぞ安心してお任せいただければと思います。

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