パルティール債権回収株式会社とは?通知が来た場合の対処法
突然「パルティール債権回収株式会社」から連絡が来た場合、「身に覚えがない会社名だし、無視して大丈夫かな?」「パルティール債権株式会社なんて聞いたことないし、宣伝か詐欺?」と考えてしまうのも無理はありません。
しかし、パルティール債権回収株式会社からの連絡を無視し続けることで、裁判所から訴状や支払督促が届き、さらに給料などを差し押さえられてしまう場合もあります。
もし、パルティール債権回収株式会社から手紙や電話などによって連絡がきた場合には、対応策を知ったうえで、早めに弁護士にご相談ください。
今回は、パルティール債権回収株式会社から連絡が来たときの対処法についてご紹介していきます。
1.パルティール債権回収株式会社とは
パルティール債権回収株式会社とは、法務大臣の認定を受けた債権回収会社です。特定金銭債権の買取と債権の管理回収業務をメインとしています。
つまり、パルティール債権回収株式会社は、特定の債権者から債権(借金)を買い取り、もしくは依頼を受けて、代わりに債権を回収することを生業にしている会社なのです。
パルティール債権回収株式会社から手紙が届いた場合には、まずは届いた書面(通知書)に書いてある内容をよく確認してみてください。
通知書には、パルティール債権回収株式会社に債権が譲渡される前の、元の債権者が記載してあります。
主な元の債権者をご紹介します。
- アプラス
- イオンクレジットサービス
- 武富士(TFK)
- 楽天カード
- 全日信販
- シティカードジャパン
- トヨタファイナンス
- マキコーポレーション
- 合同会社パルティールケーシー
- 株式会社西新宿投資1号
- 有限会社エスエヌアール
- ナイン
- 新生セールスファイナンス(旧:帝人ファイナンス)
最近では、アプラス・イオン・楽天などから債権譲渡を受けているケースが良く見られます(2019年8月現在)。
パルティール債権回収株式会社という名前は聞いたことがなくても、イオンカードや楽天カードを使って買い物をされたことはあるという方も多いのではないでしょうか?
また、上に挙げたような会社とも何の関係もないという方も無視しては危険です。
自分自身が債務者でない場合でも、誰かの保証人になっている場合は連絡が来ることがあります。
どちらにしても、「パルティール債権回収株式会社」から手紙が来た場合には、他の債権者から譲渡された借金の回収を計っていると考えられますので、早急に中身を確認することを忘れないでください。
2.消滅時効の可能性に注意
パルティール債権回収株式会社から通知が来た場合、その債務が時効を迎えているかどうか確認することも必要です。
まず、譲受債権の内容が書かれている書面の「支払の催告に係る債権の弁済期」という箇所をチェックしてみてください。
ここに記載されている日付が5年以上前の場合は、消滅時効の主張をできる可能性があります。
ただ、「支払の催告に係る債権の弁済期」から5年以上経過していない場合でも、時効が成立するケースもあります。
それは、元の債権者から、パルティール債権回収株式会社が債権譲渡を受けた日が「支払の催告に係る債権の弁済期」として記載されている場合です。
時効の計算をスタートする起算日は、債権譲渡があった場合であっても、あくまでも最後に取引(弁済や借入など)した日です。
そのため、もしも通知書に記載されている「支払の催告に係る債権の弁済期」から5年経過していない場合でも、5年以上返済していない覚えがある場合は安易に連絡をしたり、弁済したりしないほうが安全だと言えます。
なぜなら、たとえば債権(借金)の存在を認める言動を債権者にしてしまうと、時効が更新(改正前民法における「中断」。以後更新で統一)してしまう可能性があるからです。
「時効の更新」により、その日までの時効期間が全てリセットされてしまい、またゼロからスタートすることになってしまうのです。
[参考記事]
借金の時効が成立する条件と、時効の援用ができないケース
3.パルティール債権回収株式会社の督促への対応方法
では、パルティール債権回収株式会社から手紙だけではなく以下のような督促が来た場合、どのように対応したら良いのでしょうか?
(1) 電話
まず、電話がかかってきてしまった場合、対処法として覚えておいていただきたいのが、安易に電話に出ないということです。
もしも時効期間が経過している場合、電話に出て債務に関する話をしてしまうと、債務を承認したことになってしまい、時効が更新してしまうことがあります。
電話を無視し続けるのはよくありませんが、「確かに借金があります」「少しでも支払います」という話をしてしまうと、時効更新の可能性があることに注意しましょう。
借金について「確認してみます」程度の対応に留め、その後の対応は弁護士に相談をすることをお勧めします。
(2) 自宅訪問
パルティール債権回収株式会社からの電話や手紙を無視し続けると、自宅に訪問されることがあるようです。
訪問時に自宅にいなかった場合は、不在通知で「ご連絡のお願い」という内容の書面が入り、居住の確認をされます。
自宅にいる場合は改めて催促されますが、法務大臣の認定を受けた債権回収会社であることから、しつこい督促ではなく温和に行われるようです。
ただし、突然訪問された場合であっても、借金の返済に関する具体的な話をしてしまったり、どんな少額であっても弁済したりしてしまっては、電話に出てしまった時と同様に時効が更新してしまいます。
訪問の際、債務を承認する内容の書類にサインを求められる場合もありますが、これにサインをしてしまった場合も同様です。
自宅訪問をされた際も、債務についての詳細の話は上手く避け、その後弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
(3) 裁判所からの支払催促・差し押さえ
パルティール債権回収株式会社が裁判所に訴訟を起こしたり、支払督促を申し立てたりすることがあります。
その場合は、裁判所から訴状や支払督促が簡易書留で届くことになります。
時効完成前に、この訴状や支払督促が送られると、時効が更新してしまいます。
ただし、裁判所から訴状や支払督促が送られてくるのは、パルティール債権回収株式会社が手紙や電話によって債務者に接触を試みたにも関わらず、何の返答を得られなかった場合です。
そのため、裁判所から訴状や支払督促が届き時効が更新してしまう前に、弁護士に相談をして適切な手段を取ることが大切です。
もし、訴状や支払督促を放置した場合、パルティール債権回収株式会社の請求どおりの判決が出てしまいます。
その結果、給料の差し押さえや銀行口座への強制執行を受ける可能性もあります。
[参考記事]
借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事
4.どうしても支払えない場合は債務整理を検討
残念ながら時効が完成していない場合、パルティール債権回収株式会社に相談することで債務の分割払いを認めてもらえる可能性はあります。
しかし、分割払いをしたとしても現実的に債務を支払えないという場合には、弁護士に相談して「債務整理」を行い、借金問題を根本的に解決することがお勧めです。
債務整理には「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3つの手続きがあります。
任意整理では、債権者と交渉して将来の利息等をカットし、返済計画のリスケジュールを行うという和解を成立させます。
自己破産では、原則すべての借金の返済義務が0になります。個人再生では、借金を5分の1~10分の1程度に圧縮し、残りを3年程度かけて返済します。
あなたにとってどの債務整理方法が最適か、一般の方が独断するのは危険です。目測を誤ると思うように減額ができなかったり、債務整理手続き自体に失敗してしまったりするでしょう。
弁護士に相談・依頼すれば、個別のケースに合わせてピッタリの債務整理方法についてアドバイスをしてもらえます。
そのまま手続きの代行をお願いすることも可能ですので、債務整理を検討する場合は必ず弁護士にご相談ください。
5.パルティール債権回収株式会社から連絡が来たら弁護士に相談を
パルティール債権回収株式会社から手紙や電話が来てしまった場合、ご自身の判断で話し合いや弁済を行ったり、裁判所から手紙が届いたりすることによって、完成するはずの時効が更新しまう可能性があります。
そうなる前に、出来るだけ早い段階で弁護士に相談することをオススメします。
ご自身で時効が完成しているかどうか判断できない場合であっても、請求書の内容を弁護士に伝えることで、時効を援用できるかどうかの可否を確認してもらうことができます。
また、裁判所から訴状が届いた場合は、口頭弁論期日までに答弁書を提出する必要があります。支払督促が届いた場合には、2週間以内に異議申立書を提出する必要があります。
どちらも、何をどう書いたら良いか分からないという方が多いでしょう。
パルティール債権回収株式会社からの連絡で不安を感じている方や、ご自身で手続きを進めるのは少し心配という方、債務整理を検討しているという方は、ぜひお早めに、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。