借金返済 [公開日]2020年5月25日[更新日]2022年4月4日

自営業・個人事業主が借金地獄でお金回らない場合どうする?

「経営が苦しい、借金の支払いができない」「借金まみれでお金が回らない」「旦那の自営業が上手くいかずに生活苦だ」
このような悩みを持つ個人事業主や自営業者の方、そしてその家族は多いようです。

自営業者の中には開業時などに借金をしている方がいますが、事業の失敗などで返済できなくなり、別の借金を重ねて借金地獄に陥っているケースも見られます。

個人事業主は経営と生活が直結していることも多く、事業の借金以外に住宅ローンなどを抱えている方もいて、それが借金問題を難しくしています。

本記事では、事業の失敗などで借金を抱えてしまった自営業の方々やその家族に向けて、借金問題を解決する方法を紹介します。

1.借金を返せない状態が続くとどうなる?

自営業者が借金をしているのは最早当たり前とも言えるでしょう。中には、借金の総額が1億円にものぼるケースがあるようです。

まずは、借金の返済を滞納していると何が起こるのかを解説します。

(1) 法的措置を取られる

支払いを滞納していると、債権者は裁判所を通じて差し押さえなどの法的措置を行います。

差し押さえの対象は売掛金、銀行口座、自営業者の財産にまで及びます。

売掛金が差し押さえられると売掛金の債権者にそのことが知られるので、取引上の信用が失われるでしょう。
また、銀行口座が差し押さえられると債務と同額の残高が減ってしまうため、資金繰りに影響が出るでしょう。

その他、営業の継続に必要な財産が差し押さえられた場合、営業の継続が難しくなります。

債権者によっては滞納から3ヶ月程度で裁判所へ訴えを起こす可能性があるので、「まだ大丈夫」と滞納を続けていると痛い目に遭うかもしれません。

(2) 廃業せざるを得ない可能性

例えば、店舗を構えるタイプの事業であれば、家賃を滞納しているとそのうち立ち退きを要求されてしまいます。

持ち家を住居兼店舗にしている場合でも、固定資産税を払えなければ差し押さえを受けるかもしれません。
差し押さえによって拠点を失ってしまったら、そこでの営業はできません。

無店舗型の事業でも、仕入れが必要な事業の場合は資金繰りの悪化とともに仕入れが難しくなるはずです。

「自分の仕事はパソコンだけでできるから大丈夫」という人でも、通信費や電気代を滞納すればネットや電気が使えなくなります。

必要な支払いを滞納していると事業の継続が困難になり、そのうち廃業せざるをえなくなるでしょう。

2.自営業者が借金苦のときに行うべきこと

ここからは、本題である借金解決の方法を紹介していきます。

(1) 支援制度を使う

政府や自治体は、様々な支援制度を設けています。
それを利用して生活苦や借金苦を乗り越えられるかもしれません(2021年9月現在)。

①納税の猶予

期限内に納税が難しい人は、税務署に相談すれば納税を最大1年間猶予してもらえることがあります。
猶予中は差し押さえをされず、延滞税もかかりません。

「事業に著しい損失を受けた人」などが対象なので、事業収入が悪化している自営業者なら利用できる可能性があります。

参考:国税庁公式HP

②衛生環境激変特別貸付

感染症や食中毒などの衛生環境の著しい変化が原因で一時的な経営難に陥り、衛生水準の維持向上に著しい支障をきたしている生活衛生関係営業者の経営を安定させることを目的とした貸付制度です。

以下の業種は生活衛生関係営業者に該当します。

飲食店・ 食肉販売業・ 理容店、美容店・ 旅館業・ クリーニング店・ 公衆浴場・ 興行場・ 氷雪販売業

融資限度額は衛生環境が激変した事由ごとに1000万円で、運転資金として使えます。

本制度は関係省庁から適用開始が宣言されたとき以外は使えませんが、金利が低いので利用できれば大きな効果が期待できます。

参考:日本政策金融公庫「衛生環境激変特別貸付<特別貸付>

③セーフティネット貸付

社会や経済の変化などで一時的に業況が悪化しているものの、中期的には業績が回復して発展が見込まれる中小企業者の経営基盤の強化を支援する融資制度です。
借りたお金は運転資金や設備資金に使うことができます。

中小企業事業と国民生活事業の2種類があり、限度額は以下の通りです。

  • 中小事業:7.2億円
  • 国民事業:4800万円

使途、返済期間、担保の有無によって金利などが変動します。

参考:日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

④セーフティネット保証

経営の安定に支障がある中小企業に、一般保証(最大2.8億円)と別枠の保証を行う制度です。
以下の場合に利用できます。

  • 取引先等が再生手続等を申請した
  • 事業活動の制限
  • 災害
  • 取引金融機関の破綻
  • 大規模な経済危機等による信用の収縮等

保証があれば資金繰りをしやすくなる可能性があるので、取引のある金融機関か最寄りの信用保証協会に相談しましょう。

参考:中小企業庁「セーフティネット保証制度

⑤緊急経営安定貸付け

小規模企業共済加入者のための制度です。
経済環境の変化等が原因で一時的に売上が減って資金繰りが著しく困難な場合に、経営を安定させるための事業資金を低金利で借入れできます。

借りられる額は50万円~1000万円(掛金の範囲内)です。

下記のサイトにあるコールセンターから問い合わせができます。

参考:中小機構「緊急経営安定貸付け

⑥経営セーフティ共済

こちらも共済の制度です。
取引先が倒産したときに無担保・無保証人で掛金の10倍まで借入れができます。

参考:中小機構「経営セーフティ共済

⑦マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

商工会議所や商工会から経営指導を受けている小規模事業者が、経営改善に必要な資金を最大2000万円まで融資してもらえる制度です。

無担保・無保証人で利用できます。

参考:日本政策金融公庫「マル経融(小規模事業者経営改善資金)

⑧コロナ関連の支援制度

以下にコロナ関連の特例的な制度をまとめます。
時限的な制度も多く、変更の可能性があるので、必ず最新の情報を確認してください。

制度名 調達可能額など(上限値)
新型コロナウイルス感染症特別貸付 ・中小事業6億円
・国民事業8000万円
危機対応融資 3億円
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付 8000万円
危機関連保証 2億円
既往債務の借り換え <実質無利子化の限度額>
・中小事業:3億円
・国民事業:6,000万円
<借換え限度額>
・中小事業:6億円
・国民事業:8,000万円

(2) 債務整理をする

上記のような支援でも解決が難しい借金問題を根本的に解決するには「債務整理」がお勧めです。

債務整理には様々な種類があり、例えば「個人再生」をすれば、財産額や借金額等の条件次第ですが、裁判所が債務を最大9割までカットしてくれるうえに、原則3年程度かけて返済できるようになります。

また、「自己破産」をすると一定の財産が処分される代わりに借金が消えてなくなります。

しかし、債務整理をすると、赤字事業を止めることを条件とされる・その後の借入ができなくなるなどの理由から、事業を継続できなくなる可能性があります。

事前に弁護士と相談し、自分の場合はどうなるのかを確認してください。

[参考記事]

自営業者・個人事業主(フリーランス)が自己破産する場合の注意点

その他、「事業用店舗の賃貸契約は?」「事業のための機械などはどうすれば?」「従業員はどうなるの?」など、個々の案件によって対応すべきことは異なります。

一人で対処するのは非常に難しいので、債務整理をする場合の弁護士への依頼は必須と考えてください。

3.借金にお悩みの自営業者の方は弁護士へ

自営業者や個人事業主が事業に行き詰まった場合、まずは行政などが行っている支援を受けることをご検討ください。
それでも事業の継続が難しい場合は、借金そのものを解決するために債務整理を考えましょう。

弁護士に相談すれば、どの債務整理方法を選択すれば良いのかアドバイスを貰えますし、債務整理の手続自体も代行してもらえます。

悩んでいるだけで放置していると、利息が増えていき、取り返しのつかない事態になります。

迅速なご相談が解決のカギです。借金で苦しくなったら、すぐにでも弁護士までご相談ください。

相談は何度でも無料です。借金の悩みや不安についてお気軽に弁護士へご相談ください。
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