答弁書の書き方|借金で自己破産をする場合の書類
借金を返済できず、債権者から訴訟を起こされてしまった場合、家に「訴状」が届きます。
訴状には期日までに答弁書を提出するように書かれていますが、「何を書けば良いか」分からない方がほとんどでしょう。
そこで今回は、債権者から訴訟を起こされた場合の答弁書の書き方について解説します。
1.答弁書とは?
まずは、訴状が届いた後に送付すべき「答弁書」について、基本的なことからご説明します。
答弁書とは、訴えを起こされた被告が、訴えを起こした原告に対する最初の言い分を主張する書面のことです。
裁判所から届いた訴状の中には、相手の言い分が記載されています。これらをきちんと読み、間違っている箇所があればご自身で反論しなければいけません。
「原告の言い分が間違っている」と主張したい場合には、答弁書を作成して提出する必要があるのです。
債務に関する訴えの場合、例えば借金自体は間違いなくあったとしても、「一括では払えない」ということを伝える必要があります。
そうは言っても、多くの人は訴状が届いた時点でどう対応すべきかわからず困惑するでしょう。
ここで何もせずに放置することだけで避けてください。というのも、訴状を受け取ったのにも関わらず答弁書を提出せず放置していると、それだけで敗訴が確定してしまうからです。
つまり、自分の言い分は一切聞いてもらえないまま、その後は相手の言い分通りに事が進んでしまいます。
[参考記事]
簡易裁判所からの支払督促・訴状を受取拒否したらどうなる?
答弁書の提出期限に関しては、訴状と一緒に同封された答弁書催告状に記載されています。通常は、初回口頭弁論期日から1〜2週間程度前に設定されています。この期日までに答弁書を提出するようにしてください。
初回口頭弁論期日の当日に提出する方もいますが、できれば口頭弁論日の前日までには提出することをお勧めします。また、期日までに提出しなかったとしても不利益を受けることはありません。遅くとも初回口頭弁論期日までに提出すれば問題ないでしょう。
2.答弁書の書き方
では、答弁書の書き方を見ていきましょう。
(1) 答弁書を書く前に知っておくべきポイント
まず、答弁書を書くに際しての書式などのルール・守るべき形式面を確認しておきましょう。
【答弁書を書く場合の書式・形式】
- 用紙 A4、横書き、白
- 手書き、PC作成のどちらでも可
- PC作成の場合の書式(文字サイズ12、1行あたり37文字、1ページ26行、横3cm余白)
- ページ番号はフッターの中央に配置
- 複数枚に渡る場合はホチキスで止める
- 認印が必要
- 提出方法は、持参、郵送、FAXのいずれもOK
- 代筆も本人が応じていればOK
上記の書式・形式で答弁書を作成したら、2部コピーします。その上で1通は裁判所に送付し、もう1通は原告に送付します。
原告に直接送ることが難しい場合は裁判所から送付してもらえますので、2通とも裁判所に送付してください。
この場合は、原告に送付分の郵便切手も同封してください。
(2) 答弁書のテンプレート
次に、テンプレートと内容についての詳細の説明を示しておきます。
なお、今回は「借金自体は認めるものの、分割払いで和解したいケース」を想定した答弁書となっていますので、その場合には参考にしてください。なお、後述の通り、事案の内容によっては、テンプレート通り記載すると不適当な場合もありますので、ご注意ください。
【記載内容】
- 作成年月日
- 送達先(氏名、電話番号、住所等)
- 署名、押印
- 事件番号と事件名
- 原告、被告の氏名
- 宛先(裁判所の担当部署)
- 請求の趣旨に対する答弁、請求の原因に対する認否、被告の主張
被告の主張部分は例文ですので、ご自身の状況をご説明ください。その上で分割返済可能な額を記入してください。
また、初回口頭弁論期日(訴状に同封された呼出状において指定されています)に欠席する場合には、「欠席いたします」(※1)に変更してください。
欠席する場合は答弁書に書かれた内容を初回口頭弁論期日にて陳述したものをみなされますので、必ず答弁書を書いて提出するようにしてください。
なお、答弁書に関しては、訴状に同封されたテンプレートを利用しても構いません。
3.答弁書を自分で書く場合の注意点
最後に、答弁書を自分で作成する場合に注意すべきポイントをご説明します。
(1) 2回目の口頭弁論期日前に弁護士に相談する
答弁書の書き方をご説明しましたが、答弁書を提出すればご自身の主張が必ず認められるというわけではありません。その後も第二回、第三回と口頭弁論は続きますし、弁護士がいない場合はご自身で出席して対応しなければいけません。
答弁書の作成・提出は、「相手の主張のみでの判決が下ることを防止する」という効果を有するに過ぎないのです。
本当の裁判はこれから、ということを理解しておく必要があります。
したがって、自分の主張を認めてほしい場合には、遅くとも第二回口頭弁論期日までに弁護士に相談することをおすすめします。
もちろん、答弁書を書く段階で疑問が生じた場合には、その時点で専門家である弁護士の助言を受けることが有効です。
弁護士に相談しようと思っているが、期日までに間に合わなさそうな場合は、テンプレートの第1と2の部分のみ記載して提出し、第3の部分は記載せずにおいた方がよいでしょう。
(2) 消滅事項が援用できないかを確認
民法166条1項1号では、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」に、債権は時効によって消滅することが規定されています。
簡単にいうと、最後の返済から5年以上経過していれば、消滅時効となるため返済する義務はなくなるということです。
もっとも、債務者であるあなたが「消滅時効を援用します」と主張しない限り、時効が成立することはありません。
債権者は、消滅時効にかかっている債権であっても訴えを起こしてくることがあります。
消滅時効を援用できる可能性がある場合には、答弁書にて「消滅時効を援用する」と記載する必要があります。
長期間支払っていない債務について訴状が届いた場合や、時効が援用できるかどうかが不明瞭な場合は、弁護士に相談して援用可能かどうかを確認してください。
この場合、上記のテンプレートを参考にして第3の部分を主張してしまっていると、債務を認めてしまったことになり、消滅時効を援用できなくなるので、ご注意下さい。
[参考記事]
借金の時効が成立する条件と、時効の援用ができないケース
4.答弁書の書き方に迷ったら弁護士に相談を
訴訟に対しどう対応して良いかわからない場合や、答弁書に何を書けば良いかわからない場合には、弁護士に相談してください。
答弁書の作成だけでなく、その後裁判でも代理人としてサポートすることができます。
訴状が届いたら、どうぞお早めに泉総合法律事務所にご相談ください。