ビューカードの支払いができず滞納した場合はどうするべきか
ビューカードをお持ちの方必見です!
「ビューカード」は、JR東日本グループが発行しているクレジットカードであり、発行会社が大手の電鉄会社の関係会社であるが故に「安心感」があるかもしれません。
しかし、ビューカードの借金も嵩んでくると支払いが苦しくなりますし、解雇・転職・家族の病気(医療費の出費)など、後の様々な事情によって返済できなくなる可能性もあります。
今回は、クレジットカード「ビューカード」の支払いができなくなった場合の対処方法をご紹介します。
1.ビューカードについて
ビューカードの発行会社はJR東日本グループの一員である「株式会社ビューカード」です。正式には、ビュースイカカード(View Suica カード)といいます。
ビューカードの特徴は、交通ICカード(Suica)となっていることです(=モバイルSuica機能があります)。
ビューカードに現金をチャージしておくと、カードをかざすだけでJR東日本やその他の提携している電車などの交通機関利用料金を支払うことができます。
Suicaに対応している交通機関だけではなく、私鉄のpasmoに対応している交通機関も利用できます。
また、「オートチャージ機能」がついており、カードの残高が0になると、自動的に登録していた銀行口座内のお金から残高がチャージされる仕組みになっています。
JR東日本の定期券の機能もついているので、カード1枚で定期券の機能も果たし、電車通勤をしている会社員などの方にとっては非常に便利です。
ビューカードには、株式ビューカードが発行しているプロパーのカードと提携会社が発行している提携カードがあります。
提携カードには、アトレビュースイカカード、ビッグカメラスイカカード、ルミネカードなどがあり、それぞれによって年会費等のサービス内容が異なります。
以上のように、ビューカードは、交通利用料金の支払い、電子マネー、クレジットカード機能がついた万能型カードと言えます。1枚あるとさまざまな役割を果たすので利便性が高いカードです。
なお、ビュースイカカードの場合、基本的にキャッシング機能がありません。ビューカードは2009年4月以降、キャッシングの新規受付を停止しているからです。
また、プロパーのビュースイカカードの場合、年会費は税込524円です。
しかし、利用明細書について郵送ではなくウェブサイト上で確認する設定にすると、毎月20ポイント(50円相当)が貯まりますので、12ヶ月で600円の還元になりますので、年会費の元を取ることができます。
2.ビューカードで支払いが苦しくなるケースとは
以上のように、ビューカードでは約10年前からキャッシングの募集を停止しているので、ビューカードを新規に発行する方の場合には、キャッシングで借金が嵩むことを心配する必要はないでしょう。
ただ、クレジットカードでは「ショッピング機能」を使いすぎて支払いが苦しくなる方も多いです。
また、2009年3月以前からビューカードを利用されていた方の場合には、キャッシングで借金がかさんでいるケースもあるでしょう。
そのような時にはビューカードの借金を整理しなければなりませんが、任意整理・個人再生・自己破産のいずれか適切な方法を利用すると借金問題を解決できる可能性が高いです。
3.ビューカードを返済できないなら「任意整理」
(1) 任意整理とは?
ビューカードの借金返済が困難な状態になってしまったら、まずは「任意整理」を検討されることをお勧めします。
任意整理とは、債権者と直接交渉をして、借金の総支払い額や返済方法を決め直す手続きです。
ビューカードの場合でも、発行会社である「株式会社ビューカード」と交渉をすることにより、借金を圧縮することは可能です。
弁護士が介入してビューカードを任意整理すると、「将来利息」を全額カットできる可能性が高いです。
つまり、任意整理をすると「元本のみ」の支払いにしてもらえるので、総返済額や月々の支払い額が減って返済がかなり楽になります。
また、ビューカードを任意整理すると、多くのケースでは元本を60回払い(5年間)で支払っていくことになります。
この方法によって完済まで支払いを継続できるようになる方も多くいらっしゃいますから、支払いに困っているのであれば一度「任意整理」をご相談ください。
(2) 泉総合法律事務所でビューカードの借金を任意整理で解決した事例
以下は、当事務所においてビューカードの借金を任意整理で解決した事例です。
Aさん(40代男性)は、2008年にビューカードの契約をして、その後キャッシングをしてしまい借入と返済を継続してきました。
また、家族カードも発行しており、奥さんもショッピングなどでビューカードを利用していて、キャッシングとショッピングを合わせると借金は100万円に及んでいました。
Aさんは勤務先会社の経営状況が悪くなって給料が下がってしまったためにビューカードの返済ができなくなり、弁護士までご相談に来られました。当時の返済金額は毎月4万円程度でした。
早速弁護士が介入して任意整理を開始したところ、ビューカードと話し合い、キャッシングとショッピングの合計の借金100万円を5年払い(60回)で返済していく内容で合意できました。
これにより、月々の返済額は17,000円弱に抑えられたので、Aさんも何とか返済を継続できるようになりました。
その後、Aさんは転職して給料も上がって元のように余裕のある生活に戻り、返済も順調に続けておられます。
(3) 泉総合法律事務所でビューカードに過払い金返還請求できた事例
次に、当事務所においてビューカードに対して過払い金返還請求を行い回収できた事例をご紹介します。
Bさん(40代女性)は、2003年頃からビューカードを利用されていました。当時Bさんは就職したばかりでお金があまりなかったので、ついついキャッシングに頼ってしまったのです。
ただ、借金を増やすことはせず、2013年頃に自力で完済しておられます。その後、ご結婚されて子どもも育てている主婦の方でした。
しかし、過去にビューカードを利用していた場合、過払い金返還請求できるかもしれないということを聞いて、弁護士にご相談に来られました。
当事務所において過払い金の有無を調査してみると、約60万円の過払い金が発生していることがわかりました。
そこで弁護士が間に入ってビューカードに過払い金請求をしたところ、交渉によってほぼ全額の60万円を返してもらえることになりました。ご依頼から返金までにかかった期間はだいたい3ヶ月程度です。
(4) ビューカードを任意整理するときの注意点
ビューカードを任意整理すると、借金返済が苦しくなったときにも楽に支払いができるようになる可能性がありますが、注意点もあります。
それは、ビューカードを任意整理するとビュースイカカードの利用を停止されてしまうことです。
Suicaを毎日の通勤に使っている方は多いので、任意整理によって止められてしまうとICカードとしての利用ができなくなって大変不便になります。
ただ、任意整理によって使えなくなるのはクレジット機能のついたビュースイカカードのみですので、クレジット機能のない通常のSuicaカードやSuica定期券であれば、利用可能です。
(クレジット機能のない一般のスイカカードにするとオートチャージ機能は利用できないので、残高がなくなるごとに現金でチャージしなければならない手間はかかります。)
同様に、ビュースイカカードのETCカードを利用されていた方の場合には、ビュースイカカードを任意整理するとETCも止められてしまいます。
また、いったん任意整理すると、その後5~8年くらいはいずれのカード会社であってもクレジットカードを作ることができません。
4.ビューカードの借金を個人再生・自己破産する方法
ビューカード以外にも他のクレジットカードや消費者金融・銀行カードローンを併用していて毎月の返済ができない場合や、借金の総額が膨らみすぎている場合など、債務者に支払い能力がなくなっているケースでは任意整理では解決できないこともあります。
また、病気や怪我、失業などで全く支払いができなくなっている方の場合には、任意整理後の支払いを継続できません。
そのような場合には、自己破産や個人再生という手続きを利用すると解決できる可能性があります。
(1) 自己破産とは
自己破産とは、裁判所で「免責」という決定をしてもらうことにより、全ての借金の支払い義務を0にしてもらえる手続きです。
ビューカードのキャッシングやショッピングはもちろん、その他のクレジットカードや銀行カードローン、消費者金融の借金、未払い家賃など、ほとんどすべての借金を免除してもらうことができます(ただし、税金や健康保険料など、一部免除されない債務があります)。
ビューカードのキャッシングを利用した後、失業や病気などによって全く支払い能力がなくなってしまった場合には、自己破産が非常に有効な解決方法となります。
しかし、パチスロなどのギャンブルやショッピングの残債が嵩み「浪費」が原因で借金していると、「免責不許可事由」に該当して、裁判所から「免責決定」してもらえない可能性が発生します。
免責が得られなければ、借金がそのまま残ってしまうの、解決になりません。
ただ、実際には浪費などの免責不許可事由があっても、ほとんどのケースで「裁量免責」によって免責を受けることができます。
裁量免責とは、たとえ免責不許可事由があっても、裁判所が裁量によって免責を認めることができる制度です。
自己破産の全体件数のうち、免責不許可事由がある場合でも96~97%程度は免責を受けられていますのでご安心ください。
[参考記事]
免責不許可事由とは?該当しても裁量免責で自己破産ができる!
(2) 個人再生について
支払い中の住宅ローン等がある方ならば、「個人再生」をすると借金を効果的に解決できる可能性があります。
個人再生とは、裁判所の関与によって借金返済総額を大幅に減額する手続きです。
たとえば500万円の借金があっても個人再生をすれば最大100万円まで減額できます。1,000万円の借金なら最大200万円にまで減額できます。
クレジットカードや銀行カードローンなどの借金だけではなく、未払い家賃や携帯代金、買掛金などのその他の負債についても、基本的にはすべて減額の対象になります(ただし、税金など一部の債務は減額されません)。
減額された借金については、手続き後3年の間に返済していくことになり、減額された金額を完済できたら、その他の借金は免除されます。
個人再生のメリットは、財産がなくならないことです。また、住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローン返済中の家を守ることも可能です。
そこで、まとまった金額の預貯金や生命保険、価値のある車などの守りたい財産がある方や、住宅ローン返済中の家がある方には個人再生が適しています。
ただし、個人再生手続後は返済が発生するので、一定以上の安定収入がある方しか手続きを利用できません。
ご自身では個人再生できるかどうかが分からない場合、弁護士が状況をお伺いして適切に判断いたしますので、一人で悩まずにご相談下さい。
5.まとめ
以上のように、ビューカードは非常に便利なカードですが、ときにはキャッシングやショッピングの使いすぎなどによって支払いができなくなるケースもあります。
そのような場合でも、任意整理・個人再生・自己破産のいずれか適切な方法を利用すると、借金問題を解決できるものです。
また、過去にビューカードのキャッシングを利用されていた方の場合、任意整理すると過払い金が返ってくる可能性もあります。
どのような方法が最適かという判断は専門家が行う方が確実ですし、任意整理・過払い金請求をするときの交渉も専門家が対応した方が有利に進みます。
ビューカードの支払が苦しくなっているならば、是非とも一度、泉総合法律事務所までご相談ください。