子浩法律事務所から重要通知の書面が届いたら
KDDIや三菱UFJニコス、JCBへ支払いの滞納をしたとき、「子浩法律事務所」というところから警告書が届くことがあります。
これをお読みの方の中にも、既に受け取ったという方がいらっしゃることでしょう。
法律事務所から借金をした覚えはないでしょうし、聞いたこともない名前の法律事務所から突然請求を受けたら誰でも驚きます。
最近では、架空請求詐欺なども横行し、身に覚えのない督促については折り返しの連絡に二の足を踏んでしまうのも当然でしょう。
書面に法的措置を取る旨が記されていたら、「まさか、裁判にかけられるのでは?」と不安になることと思います。
子浩法律事務所から書面が届いたら、その後は一体どうなってしまうのでしょうか?また、債務者が取るべき対応にはどのようなものがあるのでしょうか?
1.子浩法律事務所とは?
子浩法律事務所は、少額債権回収代行を専門的に行っている法律事務所です。少額債権回収での先駆け的な存在で、既に35年の歴史があります(2020年3月現在)。
冒頭でも触れた通り、KDDIや三菱UFJニコス、JCBなど良く知られた会社の債権回収を多数扱っており、決してあやしい法律事務所というわけではありません。
借金の滞納に身に覚えがある方で、子浩法律事務所から連絡がきたら、これまで滞納をしている支払についての督促である可能性が高いでしょう。
子浩法律事務所が委託を受けている可能性のある主な債権者
- KDDI(au)
- 三菱UFJニコス
- JCBカード
- ドコモ
- NTTファイナンス
- NTTぷらら
- アメックス
- メルカリ(月一払い)
2.重要通知を無視するとどうなる?
子浩法律事務所からの通知書には、「至急開封」「重要通知在中」などと赤字で書かれているようです。
このような封筒がきて放置していても、電話やハガキなどの書面、ショートメール(SMS)で幾度となく請求がきます。
しかし、しつこい・怖いと思って無視を続けたり、居留守を使ったりしても問題解決には至りません。
督促を放置すると、やがては法的措置に発展する可能性があります。具体的には「支払督促」や「訴訟」になるおそれがあります。
支払督促は、簡易裁判所で行える訴訟よりも簡易な手続で、債権債務について記された書面が認められれば、速やかに強制執行=差し押さえが可能です。
差し押さえ対象になるのは、給与、預貯金、自動車、動産などです。生活に必要な家具家財や、仕事で必要な物品などの「差し押さえ禁止財産」以外は、そのほとんどが差し押さえ可能とされています。
給与が差し押さえられると、勤務先にも差し押さえがバレてしまいます。
差し押さえで仕事をクビになることはありませんが、その事実が会社に伝わると、以後は職場に居づらくなるかもしれません。
[参考記事]
借金滞納で給与差し押さえ!解除・回避のために必ず知っておくべき事
よって、できれば差し押さえに発展する前に、適切に対処をするのがベストです。
3.法律事務所から督促の連絡が来た場合の正しい対応
(1) 消滅時効の確認
現状、子浩法律事務所を語った詐欺被害というのはネット上でもそれほど多く確認されていないようなので、すぐに詐欺だと決めつけない方が良いでしょう。
(なお、子浩法律事務所のサイトでは、事務所を装った詐欺・架空請求に対して注意を促しています。)
心配な場合は、子浩法律事務所のサイトに記載されている電話番号に電話をして確認すれば確実です。
しかし、これもすぐに行動に移すのは危険かもしれません。
というのも、子浩法律事務所からくる請求は、(心当たりがない場合は特に)かなり古い債権の可能性があります。
その場合は、債務の消滅時効を成立させられるかもしれません。
しかし、安易に連絡をすると、時効が「更新」されてしまうおそれがあるのです。
貸金業者からの借金は、原則として最終弁済日から5年経過すると時効を迎えます。
しかし5年経過すれば自動的に時効が成立するのではなく、時効を「援用」することで初めて成立します。
既に完成した消滅時効について援用をする旨は、内容証明郵便で伝えるのが一般的です。
しかし、最終弁済日から5年経過すれば必ず時効援用できるか?と言えば、そうではありません。先述の通り、時効は「更新」させることも可能です。
最終弁済日から5年経過したと思っても、実は時効が更新している可能性はあるので要注意です。
よって、時効援用手続は自己判断で行うのは非常に危険です。もし、随分昔の債務について請求をされた場合は、速やかに弁護士に相談をしてください。
【参考】子浩法律事務所|お心当たりがない場合
[参考記事]
借金の時効が成立する条件と、時効の援用ができないケース
請求に対してきちんと対処をしたいと思っても、架空請求詐欺に遭ったら大変です。心配な場合はすぐにリアクションをするのではなく、架空請求か否かを落ち着いて確認しましょう。
子浩法律事務所からの連絡が架空請求か否か確認するには、送られてきた書面に記された電話番号をチェックしましょう。子浩法律事務所のサイトに記載されている電話番号と同じなら架空請求ではありませんが、全く異なる電話番号だった場合は要注意です。
ただし、子浩法律事務所から電話がかかってくる場合は、番号は1つとは限りません。子浩法律事務所は大量のオペレーターを雇用しており、全国の債務者に対して督促をしているようで、発信番号も複数あるといわれています。よって、心配な場合、子浩法律事務所のサイトに記載されている電話番号に電話をして、「自分に書面を送ったかどうか」だけ確認するのが良いでしょう。
(2) 分割払い
滞納している債務について「分割払い」の交渉をするという手もあります。
債権者側も、全く支払ってもらえないよりは、分割払いで少しずつでも返済してもらえるならば、その方が良いでしょう。
現実的に実現可能な分割払いの計画を提案し、交渉すれば、受け入れてもらえる可能性はあります。
(しかし、分割回数があまりに多いと難しいでしょう。)
(3) 債務整理
「子浩法律事務所から督促がきて、金額が多額でどうしても払えない、でも時効も成立していない…」という場合は、債務整理を検討しましょう。
債務整理は、借金の返済ができなくなったとき、法的に借金を整理する制度で、主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの制度があります。
任意整理と個人再生は債務を減額してもらう制度です。
任意整理は、将来利息をカットする形で債務を減額します。裁判所を介さずに債権者と直接交渉して手続できる点で整理が早く終わり、また、費用も安いので、債務整理の中でも最も多く利用されるといわれている制度です。
個人再生では、任意整理よりも大きく借金を減額できます。裁判所に認可されれば返済はずいぶん楽になるでしょう。
しかし、提出書類が多く、任意整理に比べると手続はかなり複雑です。
自己破産は、借金を全額免除してもらえる制度です。裁判所を介する制度で、財産を処分・換価されて債権者に平等に配当されるので、メリットもデメリットも大きい制度です。
[参考記事]
債務整理とは?わかりやすく解説!|方法・種類・メリット
4.子浩法律事務所から書面が届いたら一度ご相談ください
子浩法律事務所は、少額債権回収を専門的に行う法律事務所であり、督促を放置していると最悪差し押さえになる恐れがあります。
もし連絡がきたら、書面にある電話番号が本当に子浩法律事務所のものか確認しましょう。
しかし、安易に連絡をするのも考え物です。心当たりがないほど昔の借金であれば時効援用できる可能性もあるので、最後の支払いから5年以上経っている場合は、まずは弁護士に相談をしてください。
また、どうしても支払いができない場合は、債務整理で借金を減額または全額免除してもらう方法もあります。
泉総合法律事務所は、時効援用、債務整理の経験が豊富にございます。子浩法律事務所からの請求でお困りの場合はお気軽にご相談ください。
状況を丁寧に伺った上で、ベストの解決方法をご提案させていただきます。